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米国は軍事的な恫喝をエスカレートさせ、ロシアは外交で影響力を拡大させている
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202112150000/
2021.12.15 櫻井ジャーナル
ジョー・バイデン米大統領が「民主主義」に関するバーチャル会議を開催する直前、ロシアのウラジミル・プーチン大統領、セルゲイ・ラブロフ外相、セルゲイ・ショイグ国防相がインドを訪問、インド政府の首脳と12月6日に会談し、軍事協力を含む関係強化で合意した。懸案だったロシア製防空システムS-400のインドへの供給は今月中に始まるという。その直前、12月3日までロシアはインドネシアの領海内でASEANと合同軍事演習を実施している。
アメリカはイギリスが19世紀に始めた長期戦略、ユーラシア大陸の海岸線を支配して内陸を締め上げ、中国からロシアを制圧しようとしている。その西端がイギリス、東端が日本だ。イギリスがサウジアラビアとイスラエルを作り上げた理由もそこにあるだろう。
その戦略をまとめたのが地政学の父とも言われるハルフォード・マッキンダーで、ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もその戦略に基づいている。
アメリカは2018年5月、「太平洋軍」という名称を「インド・太平洋軍」へ変更、太平洋からインド洋にかけての海域を一体のものとして扱うことを明確にしたが、これもその戦略に沿っている。日本を太平洋側の拠点、インドを太平洋側の拠点にし、インドネシアが領海域をつなぐとされたが、インドがロシアとの関係強化を明確にし、インドネシアもアメリカと距離を置き始めている。
第2次世界大戦が終わった1945年にスカルノがインドネシアの独立を宣言、インドのネルー、ユーゴスラビアのチトー、エジプトのナセルらと1961年に「非同盟諸国首脳会議」を開催して植民地主義の清算と冷戦への不関与を打ち出した。アメリカへの従属を拒否したわけだ。
そのスカルノは1955年の総選挙と57年の地方選挙で勝利、その際にコミュニストも勢力を伸ばした。この選挙でアメリカはスカルノを中傷するプロパガンダを展開したが無駄で、そしてスカルノ政権は外国資産の国有化を始める。
スカルノたちが1955年にバンドンで開いた会議では「平和十原則」が打ち出された。基本的人権、国連憲章の目的と原則、全ての国の主権と領土、あらゆる人種の平等と全ての国の平等権などを尊重、内政への不介入と不干渉などがその内容だ。
それに対し、アメリカの私的権力はCIAを使って暴力的に体制を転覆させようとする。1957年から沖縄、フィリピン、台湾、シンガポールなどで戦闘員を訓練、兵站基地も設置した。そして1958年、スカルノが日本を訪問しているときにインドネシアで最初の蜂起が決行される。反乱グループの中心は旧貴族階級と地主で、スマトラ島を拠点としていたインドネシア軍の将校が参加していた。この蜂起は失敗し、そして非同盟諸国会議につながるわけだ。
アメリカは手先になる勢力を育成しはじめ、例えばフォード財団は貴族階級出身のインドネシア人をアメリカの大学に留学させて訓練、育成された「近代的エリート」は、後に「バークレー・ボーイズ」とか「バークレー・マフィア」と呼ばれているようになる。そうした学生のほかイスラム教徒(ワッハーブ派)がスカルノを中心とする体制を暴力的に壊し始めたのは1965年9月30日のことだった。
その4年前にバラク・オバマはハワイで生まれたとされている。母親はアメリカ生まれのスタンリー・アン・ダンハム、父親はケニヤ生まれのバラク・オバマ・シニア。1962年にオバマ・シニアはハーバード大学へ移り、64年に離婚して別のアメリカ人女性と結婚して帰国、CIAの協力者として活動するようになる。
母親のダンハムはハワイ大学の東西センターでインドネシアから来ていたロロ・ソエトロと1965年3月に再婚するが、その直後にソエトロはインドネシアへ戻る。1966年7月とする記述もあるが、65年7月ともされている。「9月30日事件」、つまりアメリカの私的権力にとって好ましくない人びとを虐殺するタイミングで帰国したわけだ。
それ以降、インドネシアではアメリカの手先として機能していたワッハーブ派の力が強かったが、ここにきてアメリカから距離を置き始めている。
アメリカは太平洋からインド洋にかけての海域を支配するために「クワド」と呼ばれる軍事同盟を組織した。メンバー国はアメリカのほか、オーストラリア、インド、そして日本だが、インドが離脱しかかっている。そこでアメリカはオーストラリアとイギリスを従え、「AUKUS」という軍事同盟を作り上げた。ネオコンなど好戦的な勢力は恫喝をエスカレートさせ、ロシアの外交による影響力の拡大を軍事的に押さえ込もうとしている。
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