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ホンジュラスの野党候補勝利を歓迎するワシントン
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2021年12月 8日 マスコミに載らない海外記事
ビル・ヴァン・アウケン
2021年12月1日
wsws.org
ホンジュラスのシオマラ・カストロ次期大統領(クレジット:hablaguate)
日曜日にホンジュラスで行われた大統領選挙で、シオマラ・カストロの地滑り的勝利が、2009年、アメリカ支援されるクーデターでこの中米の国の権力を掌握した右翼国民党による長年の支配を終わらせた。そのクーデターはカストロの夫、パジャマで軍用機にほうり込まれ、飛行機で国外に拉致された当時の大統領マニュエル・セラヤを打倒した。
ホンジュラスの全国選挙委員会(CNE)は、まだ公式にカストロを勝利者と宣言していないが、開票は火曜日の時点で、カストロが、国民党のライバル、ナスリ・アスフラをほとんど20パーセント、リードしており、票の53.3パーセント、つまり987,670票で、対して、ナスリは34.2パーセント、633,885票だと。
再び、最終結果がまだ確認されていないが、ホンジュラスの日刊紙エル・エラルドの票分析によれば、カストロの自由再建党(リブレ)が、51議席で、新国会では最大の議員を持つだろうが、カストロの次期副大統領で、テレビ司会者、右翼ポピュリストのサルバドール・ナスララのサルバドール党とで過半数を得るだろう。
リブレとその同盟者は首都テグシガルパやサンペドロスラや他の大都市でも市議会支配で勝った。
日曜、世論調査では記録的人出で、有権者の68パーセント以上が投票した。結果が確認したように、この投票者数は、過去8年間(JOHとして知られる)フアン・オランド・エルナンデスに率いられる国民党政府に対する民衆の高い敵意が動因だった。
はびこる汚職、警察国家の抑圧と暗殺団による殺害と、常に増大する国民層の赤貧への降下が特徴で、国民党は絶えざる暴力と物惜しみをしないアメリカの支持のおかげで権力を維持していた。
ワシントンによる、この犯罪体制支持は、一世紀以上におよぶアメリカ帝国主義圧政の最新エピソードにすぎない。ワシントンは、ユナイテッド・フルーツ・カンパニーとアメリカ銀行の権益を保護し、ストライキと民衆反乱を鎮圧するため、1903年から1925年の間に7回ホンジュラスを侵略した。
この国は、1954年、グアテマラで、CIAが計画した、民主的に選出されたハコボ・アルベンス・グスマン大統領を打倒したクーデターと、1980年代、ニカラグアに対して、約30,000人の命を奪ったテロ作戦、CIAコントラ戦争の両方で集結地役を演じた。
同期間中、CIAは労働組合員や左派や学生を暗殺したホンジュラス軍の3-16大隊のような暗殺団を組織するのを支援した。
これらの犯罪は、エルナンデスの国民党と、シオマラ・カストロのリブレ党が、そこから分離した自由党の両政府下で実行された。
商業メディアでは決まったように「左派」と記述されるが、カストロの選挙勝利はワシントンに歓迎された。火曜日、上院外交委員会で証言して、西半球担当国務次官補のブライアン・ニコルスは、選挙を称賛し「私はホンジュラスで我々が求めていた種類の変更を見ることを期待している。」と宣言した。
選挙の一週間前に、エルナンデスがアメリカの支持を得て、大々的な選挙違反で二期目をつかんだ2017年の繰り返しを、ワシントンは受け入れないことを明確にして、警告を発するため、ニコラスはテグシガルパに緊急派遣された。
火曜日に論説で話に加わり、ワシントン・ポストも「その後、穏健な統治となるホンジュラスでの民主主義への移行は、リオグランデにまで及ぶ安定化の影響があるだろう。それがアメリカの目的でなければならない。」という希望を宣言した
カストロ支援への移行は、ワシントンが突然民主主義に覚醒したことを意味しない。オバマ政権副大統領として、ジョー・バイデンは、アメリカが支援するセラヤを打倒したクーデターで作られた右翼政権に正当性を与えるアメリカの試みで代表交渉人を勤めた。
裕福な土地所有者で自由党候補者として選出された実業家のセラヤは、権益に対するどんな全面的な攻撃のためではなく、「ピンクの潮流」にのり、貧困に陥ったホンジュラスに安い石油を供給したウゴ・チャヴェス大統領のベネズエラ政府と日和見的に提携したため、ワシントンに標的に定められたのだった。
打倒された後、セラヤはクーデターに対する抵抗より、アメリカの継続的なホンジュラスの支配と大企業権益の優先に努めた。彼はアメリカが主催する彼を打倒した連中との「統一」政権形成協議に入り、交渉が行き詰まると、不正選挙で大統領に右翼の国立党幹部ポルフィリオ・「ペペ」・ロボを選出したクーデター政権との合併を意気地なく受け入れた。
カストロとリブレ党も同じ政治路線を進み、即座にホンジュラスの搾取工場所有者の主な連合で、2009年のクーデターの最も熱狂的な支援者だった、ホンジュラス民間企業連合(COHEP)との協議に参加した。公式発表される前に、評議会は彼女の勝利についてカストロを祝って、彼らが彼女を権益に対する脅威ではないと見ていることを明らかにした。この協議は、報道によれば、減税、外債支払い、安い労働力搾取に基づいた経済のための最良の条件を作り出す手段が中心だった。
アメリカ支配体制の観察者連中は、カストロがコマヤグアの南にあるソト・カロ空軍基地におけるペンタゴンの活動を制限するつもりも、まして閉鎖する兆しを見せなかったことをよしとした。それは中南米で最大の米軍施設で、半球全体にアメリカ戦力を投射すべく、500人から1,500人のアメリカ兵が継続的に配備されている。
カストロに対するワシントンの変化は、アメリカ司法省さえ、今年早々、ニューヨーク連邦判事が、麻薬売買の罪状で終身刑を宣告した大統領の弟トニー・エルナンデスの裁判で「麻薬国家」と表現したエルナンデス政府の信用を完全に失墜させることと関係している。大統領自身、ホンジュラス政府とその保安部隊が麻薬カルテルとのあらゆるレベルでの協力に関係する壮大な活動の共謀者だと言われている。
カルテルとのこの協力は決して国民党に限定されない。ホンジュラス麻薬カルテル、ロス・カチーロスの前リーダー、デイビス・レオネル・リヴェラ・マラディアガは、今年早々、ニューヨークでの裁判で、セラヤに50万ドルの賄賂を払ったと証言し、他方、セラヤの前最高補佐で、日曜日の選挙で自由党の三位候補者ヤニ・ローゼンタールは、麻薬関連の不正資金浄化の罪状を認めた後、アメリカで3年服役した。
犯罪暴力の驚異的な増大の要因になった腐敗以外にも、ホンジュラス人は、国民党が支配した最後の数年間、社会的大惨事に直面していた。今年7月、ホンジュラスの国立統計研究所は、ホンジュラス人世帯の73.6パーセントが貧困状態で暮らしおり、食物や住宅や他の基本的商品やサービスに関する基本的ニーズに支払うべき資源なしでいるのを示す報告を公表した。ホンジュラス人の53.7パーセントが「極貧」状態で暮らしており、飢えと適切な住宅の欠如に直面していると述べている。
ホンジュラス大衆にとって、暮らしの条件は、COVID-19流行、一年前のハリケーン・エータとイオタの衝撃や、と太平洋沿岸の何年もの干ばつによって、めった打ちにされている。去年は公式失業率が二倍になった。
バイデン政権のホンジュラスに関する最も差し迫った懸念は、アメリカ国境への移民と難民の流れを止めることだ。これはワシントン・ポストが、アメリカには「…[ホンジュラスの選挙]結果に関心を持つ多くの理由がある。正確に言えば309,000人という理由だ」という書き出しで始まる論説で大雑把に表現されている。つまり、過去一年間で、アメリカ-メキシコ国境で拘留されたホンジュラス人移民で、圧倒的多数が、違法に亡命の権利を拒否され、即座に追放されたのだ。
エルナンデスは、移民の流れを押し戻すワシントンの試みという環境で、役立たずになった後も生き残り、汚職を含め、移住の「根本原因」に対処する見せかけをしていたのだ。この見せかけは、ホンジュラスや他の「北の三角形」政府の保安部隊が棍棒や銃や銃弾で、難民の潮を戻すための資金の大幅増につながっていた。
カストロの選挙勝利を受け入れることで、アメリカ帝国主義は、中米でのその反革命主義と移民排斥政策に「民主的」外見を得ようと望んでいるのだ。
だが、何年もの国民党支配に対する地滑り的な拒否を表明した大きな社会不満は、カストロとリブレ党の下での新しい資本主義政府編成では解決策を見いだせるまい。
進むべき唯一の道は、この地域でも国際的にも資本主義を終わらせる戦いで、ホンジュラスや中米全体の貧困に陥った大衆を率いる労働者階級の独立した政治運動の発展だ。これには新しい革命指導体制、世界的トロツキー派運動部門、第四インターナショナル国際委員会の構築が必要だ。
記事原文のurl:https://www.wsws.org/en/articles/2021/12/02/hond-d02.html
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