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アメリカの私的権力は世界制覇プランを放棄できない
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2021.12.07 櫻井ジャーナル
ジョー・バイデン政権は「アメリカ後」のヘゴモニーをアメリカの私的権力に握らせようと必死だ。ウラジミル・プーチン露大統領と会談する目的の根底にもそうした意思がある。
アメリカの私的権力は1991年12月にソ連が消滅した直後に国防総省のDPG(国防計画指針)草案という形で世界支配を完成させるプランを作成した。いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」だ。ヨーロッパや東アジアは叩くべき潜在的なライバルとなり、エネルギー資源のある中東で従属度の足りない体制は破壊の対象になった。
最初のターゲットはユーゴスラビアで、さまざまな工作の後、1999年にNATOは先制攻撃している。このときにも攻撃を正当化するための偽情報が広告会社によって作成され、有力メディアを通じて流された。
ニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンにある国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されたのはその2年後。その出来事を利用してアメリカ政府は国内のファシズム化と国外での軍事侵略を本格化させた。
ソ連が消滅する前年、東西ドイツが統一された。その際、アメリカ政府はソ連大統領のミハイル・ゴルバチョフに対し、NATOを東へ拡大させないと約束していたとロシア駐在アメリカ大使だったジャック・マトロックが語っている。またドイツの外相だったハンス-ディートリヒ・ゲンシャーは1990年にエドゥアルド・シェワルナゼと会った際、「NATOは東へ拡大しない」と確約し、シェワルナゼはゲンシャーの話を全て信じると応じたという。(“NATO’s Eastward Expansion,” Spiegel, November 26, 2009)
それだけでなく、アメリカのジェームズ・ベイカー国務長官がソ連側に対し、統一後もドイツはNATOにとどまるものの、NATO軍の支配地域は1インチたりとも東へ拡大させないと1990年に語ったとする記録が公開されている。言うまでもなく、アメリカ政府はこうした約束を守らなかった。イギリスやフランスもNATOを東へ拡大させないと保証したが、守られていない。「1インチ」どころか1000キロメートル近く東へ拡大、ロシアとの国境に迫っている。
世界支配を完成させるため、アメリカは日本を自分たちの戦争マシーンに組み込もうとするのだが、日本の細川護熙政権は国連中心主義から離れない。そこでマイケル・グリーンとパトリック・クローニンはカート・キャンベルを説得して国防次官補だったジョセイフ・ナイに接触、ナイは1995年2月に「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表したわけである。その年、日本政府を震撼させる出来事があった。
2001年9月11日の出来事を利用してアメリカは侵略戦争を本格化させるが、その前に立ちはだかったのがプーチンを中心とする再生ロシア。そのロシアを倒さねば、目的は達せられない。そのロシアだけでなく、中国を倒し、ヨーロッパへの支配力を強め、中東を制圧しようとしている。そのため、本格的な戦争を始める前にターゲットを疲弊させる必要がある。そのためにCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)は使われている。
こうした戦略のベースには19世紀のイギリスで考え出された長期戦略があると見られている。海軍力を使ってユーラシア大陸の周辺部を支配し、内陸国を締め上げるというもの。その戦略をまとめたのが地政学の父とも言われるハルフォード・マッキンダーで、ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もその戦略に基づいている。大陸を締め上げる「三日月帯」の西端がイギリス、東端が日本。中東でイギリスは帯の上にサウジアラビアとイスラエルを作り上げた。
この長期戦略をアングロ・サクソンの支配者は放棄しようとはしないだろう。放棄するのは彼らの帝国が滅ぶときだ。
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