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米政権の恫喝戦法が核戦争を誘発する危険性
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202112020000/
2021.12.03 櫻井ジャーナル
アメリカのジョー・バイデン政権はロシアや中国との軍事的な緊張を高める政策を進めてきた。来年1月中にはロシアの外交官27名以上を家族と一緒にアメリカから追放するようだが、それだけでなくウクライナや台湾周辺で軍事的な恫喝を強めている。
東アジアでは微妙なバランスの下に平和が保たれていたが、尖閣諸島の領有権を巡る対立の棚上げ合意を菅直人政権が壊し、台湾の蔡英文総統はアメリカを後ろ盾として「ひとつの中国」政策を拒否したことでバランスは崩れ、軍事的な緊張が高まった。言うまでもなく、これはアメリカの戦略に基づく動きだ。
特に緊張の度合いが高いのはウクライナ周辺。アメリカと同じアングロ・サクソン系の国であるイギリスは19世紀から海軍力を利用してユーラシア大陸の内部を周辺部から締め上げるという長期戦略を維持している。その戦略をまとめたのが「地政学の父」と呼ばれているハルフォード・マッキンダー。1904年に「歴史における地理的要件」を発表している。
世界を制覇するためにはロシアを制圧する必要があり、そのためには東ヨーロッパを支配する必要があるとマッキンダーは主張した。そして注目されたのがポーランドだ。この国には「ポーランド・リトアニア連邦」の復活を夢見る勢力が存在、その「夢」はバルト海とエーゲ海に挟まれた中央ヨーロッパにカトリックの帝国を作ろうという「インターマリウム構想」と重なった。
その構想を実現しようと動いていたひとりがポーランド生まれのセフ・レッティンゲル。第2次世界大戦中はロンドンへ亡命していたポーランドのブワディスラフ・シコルスキー将軍の側近で、MI6のエージェントにもなっている。ヨーロッパをイエズス会の指導の下で統一しようとしていた。1954年に創設されたビルダーバーグ・グループの生みの親でもある。
ビルダーバーグ・グループの上部機関はアメリカやイギリスの支配者たちが1948年に組織したACUE(ヨーロッパ連合に関するアメリカ委員会)で、フォード財団やロックフェラー財団などから資金は出ていた。イギリスのウィンストン・チャーチルやアメリカのアレン・ダレスたちが参加している。
ヨーロッパを統一しようという運動は大戦の前にも存在した。イタリアの有力貴族で、ベニオ・ムッソリーニ時代にはファシストの中心メンバーでもあり、戦後はアメリカの情報機関と連携していたバレリオ・ボルゲーゼもその運動に参加していた。
ボルゲーゼをヨーロッパ統合へ向かわせたのは、貴族仲間のリヒャルト・フォン・クーデンホーフ-カレルギー。リヒャルトの父親であるハインリヒはオーストリア・ハンガリー帝国の外交官として1892年に来日、青山みつと結婚している。
アングロ・サクソンの戦略で重要な位置にあるウクライナでバラク・オバマ政権は2014年2月にネオ・ナチを使ったクーデターを実行してビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除したが、クリミアの制圧には失敗、東部地方のドンバス(ドネツクやルガンスク)では戦闘が続いている。
キエフのクーデター体制は部隊をドンバスの近くへ移動させて軍事的な圧力を強め、同時にアメリカは黒海へ艦隊を入れて軍事演習を実施してロシアを挑発している。最近ではアメリカ軍のE-8Cやイギリス軍のRC-135といった電子情報戦用の航空機がロシアとの国境近くを飛行、ロシア国防省によると、11月の始めにアメリカ軍の戦略爆撃機が核攻撃のシミュレーションを行ったという。こうした動きに対し、アメリカが一線を越えればロシアも動くとウラジミル・プーチン大統領は警告した。
アメリカやイスラエルの「外交」は「脅せば屈する」である。圧倒的に力の違う相手なら通用する戦法だが、ロシアや中国には通じない。それにもかかわらず、その戦法をアメリカは継続している。ロシアや中国が上手に対処できなければ、核戦争になる可能性は小さくない。「まさか」と考えてはならない。
本ブログでは繰り返し書いてきたように、アメリカを中心とする支配システムは揺らいでいる。そのシステムの柱は「ドル」だが、そのドル体制が崩壊するのは時間の問題。これは2013年7月から20年3月までイングランド銀行の総裁を務めていたマーク・カーニーも認めている。新たなシステムとして考えられられているのが「デジタル通貨」だ。WEF(世界経済フォーラム)のクラウス・シュワブが昨年6月に打ち出した「資本主義の大々的なリセット」の目的もヘゲモニーの維持にある。
何もしなければアメリカを中心とする支配システムは2030年まで持たないとも言われていた。勿論、座して死を待つはずはない。すでに世界大戦は始まっていると考える人は少なくないが、その戦いで勝利するため、アメリカはヨーロッパ、中東、アジアで支配力を強め、ロシアの力を弱める必要がある。そうした点において、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動」は好都合だった。
この騒動は2019年12月に中国湖北省の武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た症状の肺炎患者が見つかったところから始まる。翌年の3月11日にWHO(世界保健機関)は「パンデミック」を宣言、騒動は本格化し、その対策だとしてロックダウンや「自粛」が打ち出されて社会の収容所化が進んでいる。
そうした政策で人びとの行動は制限され、人と人とのつながりは弱くなり、物流も滞って経済活動は麻痺。個人経営の店や中小企業を中心にして経営状態が悪化して倒産に追い込まれるケースも少なくない。必然的に失業者が増え、ホームレス、そして自殺者を増加させることになった。教育を受ける権利も奪われている。
監視システムが強化され、デジタル・パスポートの導入で人びとの管理を徹底しようとする動きもある。アメリカをはじめ、「ワクチン」の強制接種を打ち出している国もある。
その先頭を走っているオーストリアではロックダウンに続き、来年2月1日から「ワクチン」の強制接種を始めるという。接種を拒否した人には思い罰金が科せられ、罰金が支払われない場合は収容所へ送り込まれるようだ。「ワクチン」を接種するような「国策」に刃向かう服わぬ人びとを拘束するわけだ。
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