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イスラエル・ロビーに蹂躙されるイギリス
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2021.10.17 櫻井ジャーナル
イギリスのブリストル大学は10月1日、イスラエルの政策やシオニストを批判していたデイビッド・ミラー教授を解任した。イスラエル・ロビーの支援を受けた学生や議員の一部による大学への圧力が実を結んだ形だ。ミラーが批判するイスラエルの政策とはパレスチナ人に対する弾圧にほかならない。
大学から追われるされる前、ミラーは労働党から追放されている。昨年4月4日に同党の党首はイスラエルの政策を批判していたジェレミー・コービンから親イスラエル派のキア・スターマーに交代、その直後のことだった。
党首の交代は2017年や19年の総選挙で労働党が敗北した結果だが、その背景には有力メディアの「報道」がある。コービンやその支持者を「反ユダヤ主義者」だと攻撃したのだ。
その「反ユダヤ主義」宣伝には根拠がない。党首交代の後、根拠のない主張でコービンたちを攻撃していたグループが党の幹部にいると指摘する党内部の報告書がリークされた。党で反コービン工作を指揮していたとされているのは親イスラエル派のイアン・マクニコルで、コービン派の党員をパージしてたという。
イスラエルの建国が宣言されたのは1948年5月14日のことだが、そこには多くのアラブ系住民が住んでいた。「パレスチナ人」と呼ばれる人びとだ。
その住民を追い出すため、シオニストの武装勢力はその年の4月上旬に「ダーレット作戦」を始めている。これは1936年から39年にかけてシオニストがアラブ系住民を殲滅する作戦を展開した作戦の延長線上にあるとも見られている。
シオニストの軍隊、ハガナの副官だったイェシュルン・シフはエルサレムでイルグンのモルデチャイ・ラーナンとスターン・ギャングのヨシュア・ゼイトラーと4月6日に会談、その3日後にイルグンとスターン・ギャングはデイル・ヤシンという村を襲撃、住民を虐殺した。
襲撃の直後に村へ入った国際赤十字の人物によると254名が殺され、そのうち145名が女性で、そのうち35名は妊婦だった。イギリスの高等弁務官、アラン・カニンガムはパレスチナに駐留していたイギリス軍のゴードン・マクミラン司令官に殺戮を止めさせるように命じたが、拒否されている。(Alan Hart, “Zionism Volume One”, World Focus Publishing, 2005)
こうした虐殺に怯えた少なからぬ住民は逃げ出した。約140万人いたアラブ系住民のうち、5月だけで42万人以上がガザやトランスヨルダン(現在のヨルダン)へ移住、その後1年間で難民は71万から73万人に達したと見られている。国際連合は1948年12月11日に難民の帰還を認めた194号決議を採択したが、現在に至るまで実現されていない。そしてイスラエルの建国が宣言された。
しかし、シオニストは「建国」の際、予定していた地域を全て占領することができなかった。そこで現在に至るまで領土拡張を続けている。そのためにパレスチナを攻撃して建造物を破壊、人びとを虐殺し続けているわけだ。
こうして誕生したイスラエルをイギリスの労働党は支持していたのだが、イスラエルのパレスチナにおける破壊と殺戮は党内の雰囲気を変化させていく。決定的だったのは1982年9月にレバノンのパレスチナ難民キャンプのサブラとシャティーラで引き起こされた虐殺事件だ。
この虐殺はベイルートのキリスト教勢力、ファランジスト党のメンバーが実行したのだが、その黒幕はイスラエルだった。ファランジスト党の武装勢力はイスラエル軍の支援を受けながら無防備の難民キャンプを制圧、その際に数百人、あるいは3000人以上の難民が殺されたと言われている。
労働党がパレスチナ人支持へ傾いていくことにアメリカやイギリスの私的権力は危機感を抱く。そしてアメリカのロナルド・レーガン政権はイギリスとの結びつきを強めようと考え、メディア界の大物を呼び寄せて善後策を協議した。そこで組織されたのがBAP(英米後継世代プロジェクト)で、少なからぬメディアの記者や編集者が参加することになる。
そうした中、イギリスで台頭してくるのがトニー・ブレア。1994年1月に彼は妻と一緒にイスラエルへ招待され、3月にはロンドンのイスラエル大使館で富豪のマイケル・レビーを紹介された。その後、レビーはブレアの重要なスポンサーになる。言うまでもなく、レビーの背後にはイスラエルが存在している。
そのブレアが労働党の党首になるチャンスが1994年に訪れる。当時の党首、ジョン・スミスがその年の5月に急死、その1カ月後に行われた投票でブレアが勝利して新しい党首になったのである。
レビーだけでなく、イスラエルとイギリスとの関係強化を目的としているという団体LFIを資金源にしていたブレアは労働組合を頼る必要がない。1997年5月に首相となったブレアの政策は国内でマーガレット・サッチャーと同じ新自由主義を推進、国外では親イスラエル的で好戦的なものだった。
ブレアはジェイコブ・ロスチャイルドやエブリン・ロベルト・デ・ロスチャイルドと親しいが、首相を辞めた後、JPモルガンやチューリッヒ・インターナショナルから報酬を得るようになる。それだけ富豪たちにとってブレアの功績は大きかったのだろう。
こうしたブレアのネオコン的な政策への反発に後押しされて2015年に労働党の党首となったのがコービン。彼の政策はブレアのスポンサーたちにとって好ましいものでなく、アメリカやイギリスの情報機関もコービンを引きずり下ろそうと必死になった。
彼に対する攻撃には偽情報も使われたが、その重要な発信源のひとつが2015年に創設されたインテグリティ・イニシアチブ。イギリス外務省が資金を出している。
そして登場してきたのがスターマー。この人物は党首に就任するとすぐにイスラエルへ接近、自分の妻ビクトリア・アレキサンダーの家族はユダヤ系だということをアピールしている。彼女の父親の家族はポーランドから移住してきたユダヤ人で、テル・アビブにも親戚がいるのだという。
イスラエル・ロビーに攻撃された学者のひとりにノーマン・フィンケルスタインという人物がいる。フィンケルスタインはアメリカのデポール大学で働く任期制の教員で、終身制の教授になることが内定していたのだが、ハーバード大学のアラン・ダーショウィッツ教授など親イスラエル派が大学に圧力を加え、追放させている。
フィンケルスタインの母親はマイダネク強制収容所、父親はアウシュビッツ強制収容所を生き抜いたというユダヤ系の人物だが、パレスチナ人弾圧を許さないという立場。こうしたユダヤ人は親イスラエル派から「自己憎悪(Self-hating)」派だと批判される。一時期、日本で盛んに使われた「自虐史観」という表現と似ている。
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