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AUKUSへの反発:露国と中国への恫喝が通じず、孤立するアングロ・サクソン陣営
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2021.09.21 櫻井ジャーナル
オーストラリアは潜水艦の艦隊を編成するため、フランスから12隻の潜水艦を総額900億ドルで購入する計画だった、これを破棄し、アメリカとイギリスの技術を使い、原子力潜水艦を建造することにしたと報道されている。オーストラリア、イギリス、そしてアメリカの3カ国は中国を仮想敵国とする軍事同盟AUKUSAを組織しようとしているが、その一環のようだ。当然のことながらフランス政府は怒り、アメリカとオーストラリアの大使を召還して抗議、フランス国防相はイギリス国防相との会談をキャンセルした。
オーストラリア、イギリス、アメリカのアングロ・サクソン系3カ国は、日本とインドを含めた5カ国で「クワド」と呼ばれる軍事同盟を結んでいるが、インドは腰が引けている。「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)」の問題でもインドはアメリカを信頼せず、ロシア製の防空システムS-400の購入を諦めていない。その一方、中国との関係修復の動きもある。そのインドとフランスが接近しても不思議ではない。
アメリカやイギリスはユーラシア大陸の周辺部を支配し、内陸部を締め上げて不安定化させ、最終的にはロシアを制圧するという長期戦略を放棄していない。アメリカ軍は2018年5月に太平洋軍をインド・太平洋軍へ作り替えたが、これはそうした意思を鮮明にしたものだ。
アメリカは中国に対する軍事的な恫喝を続け、中国は対抗して緊張が高まっている。こうしたことを続けていれば軍事衝突に発展する可能性があり、そうなれば東アジアは戦乱で破壊されてしまう。戦争の最前線になるであろう日本は第2次世界大戦の時のような被害ではすまないだろう。
そうした事態を避けるため、アメリカのマーク・ミリー統合参謀本部議長は中国側に対し、大統領が中国を軍事攻撃することを許さないと伝えたとドナルド・トランプや共和党の議員は主張している。事実だとしても、狂気を許さないということであり、問題はないだろう。
インド・太平洋軍は日本を太平洋側の拠点、インドを太平洋側の拠点とし、インドネシアが領海域をつなぐとしていた。ところがインドはアメリカとの距離を置き始め、インドネシアはロシアとの関係を強めている。アメリカやイギリスの長期戦略に対抗し、内陸国のロシアや中国は鉄道、道路、パイプラインを建設し、経済で地域を安定化させようとしている。
アメリカ政府はロシアに対する恫喝も続けていた。6月28日から7月10日にかけては黒海で軍事演習「シー・ブリーズ」を実施したが、その直前、6月23日にイギリス海軍の駆逐艦「ディフェンダー」がロシアの設定している領海を侵犯、クリミアのセバストポリへ接近している。
ロシアの警備艇は警告のために発砲したが、イギリスの駆逐艦は進路を変えなかった。そこでロシア側はSu-24戦術爆撃機を派遣し、4発のOFAB-250爆弾を艦船の前方に投下した。その後、ロシア政府の広報官を務めるドミトリー・ペスコフは、同じことが行われたなら次は撃沈すると警告した。その後、アメリカに目立った動きは見られない。
アメリカと中国の外交責任者がアンカレッジで会談したのは3月18日のこと。アメリカからブリンケン国務長官と国家安全保障補佐官のジェイク・サリバンが、また中国からは中央外事活動委員会弁公室の楊潔篪主任と王毅外交部長がそれぞれ出席した。
アメリカ側は中国の「人権侵害」を批判したというが、中国側は「馬鹿馬鹿しく、全く事実に基づかない主張だと」反論、主権や安全保障に関してアメリカに妥協する意思がないことを明確にし、国土を守る中国の決意を過小評価するなと警告したと伝えられている。
7月25日にウェンディ・シャーマン国務副長官が天津を訪問し、翌日には謝鋒外務次官や王毅国務委員兼外相と会談したものの、中国の外交分野におけるトップである中央外事活動委員会弁公室の楊潔篪主任には会えなかった。バイデン大統領は習近平国家主席と会談しようとしているが、拒否されていると伝えられている。脅せば屈すると思っていたのだろうが、アメリカは相手にされなくなり、孤立し始めている。
かつて、アメリカとイギリスの情報機関はOAS(秘密軍事機構)を利用し、シャルル・ド・ゴールを暗殺しようとしたことがある。この組織は1961年4月にマドリッドで秘密会議を開き、アルジェリアでのクーデターについて話し合っている。アルジェリアの主要都市を制圧した後でパリを制圧するという計画だった。
CIAはクーデターを支援、4月22日にクーデターは実行に移されるのだが、ジョン・F・ケネディ大統領はジェームズ・ガビン駐仏大使に対し、必要なあらゆる支援をする用意があるとド・ゴールへ伝えるように命じる。アルジェリアにいるクーデター軍がパリへ侵攻してきたならアメリカ軍を投入するということだ。それを知ったCIAは驚愕、クーデターは4日間で崩壊した。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015)
OASは1962年に休戦を宣言するが、ジャン-マリー・バスチャン-チリー大佐に率いられた一派は同年8月22日にパリで大統領の暗殺を試みるが、失敗。暗殺計画に加わった人間は9月にパリで逮捕された。全員に死刑判決が言い渡されたが、実際に処刑されたのはバスチャン-チリー大佐だけだ。
暗殺未遂から4年後の1966年にフランス軍はNATOの軍事機構から離脱、翌年にはSHAPE(欧州連合軍最高司令部)をパリを追い出した。フランスがNATOの軍事機構へ一部復帰すると宣言したのは1995年のこと。NATOへの完全復帰は2009年にニコラ・サルコジ政権が決めている。すでにド・ゴール派は壊滅状態だと言われているが、今後、再びフランスとアメリカとの関係が悪化する可能性は小さくない。
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