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アフガニスタンからのアメリカの脱出は、もう一つの人道的危機を引き起こす
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2021年8月20日 マスコミに載らない海外記事
2021年8月11日
ウラジーミル・ダニーロフ
New Eastern Outlook
アフガニスタンからのアメリカの脱出は、もう一つの人道的危機を引き起こしかねないとスウェーデンのSvenska Dagbladetが書いている。
先日、アメリカ国務省のネッド・プライス報道官が、アフガニスタンでの内戦と危機の増大する脅威について述べた。
以前、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、アフガニスタンにおけるアメリカ任務の完全な失敗を語り、この国における状況の急速な悪化を指摘した。ラブロフは、米軍が、かなりの量の武器放棄して、アフガニスタンから逃げていると述べた。モスクワはCSTO加盟諸国とウズベキスタンに、アフガニスタン・イスラム共和国で悪化する状況のため、彼らの能力を再考するよう求めることを強いられた。特にロシアで活動を禁止されている過激組織ダーイシュの戦士は、アフガニスタン北部で一層活発になっている。
今アフガニスタンでは、アメリカだけでなく、ヨーロッパの安全保障政策が「破綻」していると、ディ・ヴェルト紙のクラウス・ガイガー外交政策部長が主張している。
20年後、NATO諸国は軍隊を撤退し、(ロシア連邦で活動を禁止された組織)タリバンが攻撃を進めている。この全てがアフガニスタン人不法入国者のヨーロッパへの増大する波をもたらす。
これまでのところ、タリバンから逃げる人々は、パキスタン、イラン、ウズベキスタンとタジキスタン国境に集まったが、彼らの最終目的はトルコ、更に、ヨーロッパだ。アフガニスタン・イスラム共和国から新たな攻撃がある時に、アンカラはまだ、財政や、社会福祉や、医療制度上の重荷であるシリア人を「吸収する」時間がない:650万人のアフガニスタン人が今トルコに移住する危険がある。アフガニスタンからの移民の波はシリアからの移民より更に大きい津波に変わりかねない。自国のこの大惨事を恐れて、トルコはアフガニスタン難民を避けるため、イランとの国境に、長さ約300キロの壁を建設している。先週だけで1万5000人拘留された。トルコは既にシリア国境にも類似の塀を築いた。
世論調査では、トルコにおける反移民感情の増大と、「開いた国境」政策への不快感が示され、来る選挙で、国民合意政府に新しいリスクをもたらしている。これらの全てが犯罪の急増、負担過剰の福祉と医療制度や、コロナウイルス的流行によって悪化している。同時に、反西洋感情が増大している。「彼らがこの混乱を作ったのだ。彼らにそれを片付けさせろ。アンカラは他人の利益のために火中の栗を拾わない」。
今世紀、アフガニスタン戦争の余波は、過去そうだったものとは非常に違っているように見える。今アフガニスタンは、完全な再建が必要な領域と、地雷が点在する果てしない地域だ。難民がいる。何十万人も、何百万人も。
国連アフガニスタン支援派遣団(UNAMA)が発表した新報告で、国連は、国際軍隊が退き始めた5月から、殺害と負傷の急激な増加を含め、2021年前半、アフガニスタンにおける記録的な数の民間人死者を記録している。5月と6月で、約25000人の一般人が殺害されたが、前の4カ月の、死者数とほぼ同数だ。2021年前半、女性と子供が全民間人犠牲者の半数近くを占めるのは特に懸念される。合計の32%が子供で、14%が女性だった。この点に関し、UNAMAは暴力の本格的な段階的縮小がなければ、アフガニスタンでは、2021年、民間人犠牲者の最多記録になると警告している。
アフガニスタンMinistry for Peace Affairsによれば(ロシア連邦で活動禁止されている組織)タリバンは一般人を積極的に採用し、砲弾の餌食として戦うよう彼らを送り出する。タリバンは非常に用心深く戦っている。メディア報道によれば、これまでの20日に、タリバンとアフガニスタン国防治安軍(ANDSF)間の戦闘のため、カンダハルだけで、少なくとも22,000家族が家を追われ、今緊急人道援助を必要としている。
アフガニスタン・イスラム共和国で、米軍で働いた人々や家族の命が特に危険にさらされている。アメリカ軍が撤退するにつれ、アフガニスタンの約100,000人の軍労働者が家族とともに成り行きに任されかねないとフォーブスが報じている。一方、2020年、わずか19人のアフガニスタン人通訳とアメリカ機関従業員364人がビザを受けた。国際難民支援プロジェクトによれば、1,000人以上の政府支持者と家族がビザを待つ間に殺された。ビザ給付を拒否されたアフガニスタン人は、アメリカが彼らを捨てたと正当に信じている。
7月8日、アフガニスタン人通訳やアフガニスタンで米軍に協力した人々の家族を、タリバンが彼らを殺す前に避難させるとジョー・バイデン大統領は約束した。だが、避難計画がまだ同意されていないため、この誓約は依然有効だ、アメリカ兵の大部分が既にアフガニスタンを去ったとアメリカの刊行物Task & Purposeが強調している。これまでの20年間、アメリカ兵は、イラク人とアフガニスタン人通訳を避難させようとして、官僚的悪夢に直面している。アメリカ合州国にたどり着けた人々は、通常ではなく例外なのだ。
彼らの約18,000人が既にアメリカ合州国移住が可能になる特別移住ビザプログラムに申し込んだことを想起して、米軍で働くアフガニスタン人の窮状についてCNNが報じている。だが、それは彼らがアメリカに移住したり、タリバンの死の脅迫から完全に逃れられたりすることを意味しない。契約が不公平に無効にされたと感じる何百人ものアフガニスタン人通訳がいるが、アメリカ当局は、この問題を再検討しないと言っている。対照的に、通訳自身は、もし彼らがアフガニスタンに留まれば、死ぬと恐れている。
7月24日、ジョー・バイデン大統領は、アフガニスタンから、アメリカ兵へ様々な支援を提供したアメリカ国民を避難させるため最高1億ドルを認可した。これは7月23日、アメリカ大統領から、アンソニー・ブリンケン国務長官に送られた通知に明記された。アメリカ国務省が述べる通り、現在、わずか約2,500人のアフガニスタン人しか、特別な合衆国移住ビザの資格がない。
だが、欧米メディアによれば、2,500人ではなく、通訳を含め、アメリカ兵に手を貸した約18,000人のアフガニスタン人と、約53,000人の家族が、このようなビザを受けるのを望んでいる。彼らの運命はどうなるのだろう? ワシントンは、またしても、協力者を運命のなすがままに放棄するのだろうか? 悲しい予想は、8月2日「(ロシア連邦で活動を禁止されている組織)タリバンによる報復を恐れるアフガニスタン人は自力でアメリカに来るべきだ」というアメリカ国務省代表の特別電話ブリーフィング声明で確認された.
現在、アフガニスタンからのアメリカ撤退は失敗だと多くが語っているが、トルコのジュムフリエット新聞が報じているように、別の側面もある。アメリカは意図的に、この国に、外国勢力撤退を要求する強い中央政府ができないようにしておいて、今になって、彼らが去った後、この状況を維持する「経営者」を探しているのだ。
アフガニスタンに対するアングロサクソンの意図と計画については、別の評価がある。例えば、イギリスの出版物Rai Al Youmは、アメリカは、撤退前に、安全保障をイスラム主義反政府派と交渉しないことで、カブール政府を見捨てたと考えている。アメリカは彼らの敵を、この地域じゅうからアフガニスタンに惹きつけることを計画している。結局、もし彼らがアフガニスタンで違うプロジェクトを実行し始めれば、最も強力な資源さえ燃やせる大変な困難に直面するだろう。だから、アメリカは、中国、ロシアやイランが開始するアフガニスタンでのプロジェクトを妨害する準備ができているのだ。
アフガニスタンは、影響と結果が不明な紛争の温床だ。国際的、地域的利害関係の対立や、アフガニスタンという舞台の様々な当事者によって、どんなことでも起きかねない。だが現在既に全員にはっきり見えているのは、ワシントンと同盟諸国の冒険によって起こされたもう一つの人道的危機の増大だ。これに対し、アメリカは世界の大衆に答えなければならない。
ウラジーミル・ダニーロフは政治評論家、オンライン誌「New Eastern Outlook」独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/08/11/us-flight-from-afghanistan-triggers-another-humanitarian-crisis/
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