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プロテスタントが考え出した「大イスラエル」を目指すイスラエルの新首相
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2021.07.25 櫻井ジャーナル
イラクのムスタファ・アル・カディミ首相はアメリカに対し、戦闘部隊を撤退させるように求めている。イラクの現体制は2003年3月にアメリカ主導軍の先制攻撃でサダム・フセイン(スンニ派)が排除されて出来上がった。これはシオニストの一派であるネオンコンの戦略に基づくのだが、親イスラエル派の体制を樹立することに失敗、シーア派(親イラン派)の体制が出来上がる。それ以降、イラクとアメリカとの関係は良くない。
イラクへの軍事侵略を含む国際面を指揮していたのは副大統領だったディック・チェイニーだと言われている。チェイニーはドナルド・ラムズフェルドと同じようにジェラルド・フォード政権で表舞台に出てきたネオコン。
ちなみに、フォード政権は共和党だが、ネオコンの若手を育てたヘンリー・ジャクソン上院議員は民主党で、1972年の大統領選挙では民主党の候補になったジョージ・マクガバンを落選させるため、CDM(民主党多数派連合)を組織している。ネオコンは超党派の勢力だと言えるだろう。
チェイニーの主席副補佐官を2003年から05年にかけて務め、イラクへの侵略に深く関与したと言われている人物がネオコンのビクトリア・ヌランド。その前に彼女はビル・クリントン政権でストローブ・タルボット国務副長官の下で働き、NATO常任委員次席代表を務めた。チェイニーの下を離れた後、2005年から08年にかけてNATO常任委員代表としてヨーロッパ諸国をアフガニスタンでの戦争へ引きずり込んだ。
ネオコンのイラク侵略は成功しなかったため、ジョージ・W・ブッシュ政権はフセインの残党を含むスンニ派の戦闘集団を編成、手先として使い始める。こうした動きは調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュが2007年3月にニューヨーカー誌で書いている。その記事によると、ブッシュ政権はイスラエルやサウジアラビアと手を組み、シリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラを叩き潰そうと考えた。そこでアル・カイダ系の武装集団、あるいはダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)が生み出される。
こうした戦闘員を送り込んでいたサウジアラビアはイギリスによって作り出された。イギリスは1916年5月にフランスと「サイクス・ピコ協定」を結び、オスマン帝国を解体し、その地域を盗もうとする。大雑把に言って、ヨルダン、イラク南部、クウェートなどペルシャ湾西岸の石油地帯をイギリスが支配、フランスはトルコ東南部、イラク北部、シリア、レバノンを支配下に置くとされた。
協定が結ばれた翌月、「アラブの反乱」が始まる。その「反乱」で中心的な役割を果たしたのはデイビッド・ホガースを局長とするイギリス外務省アラブ局。そこにはマーク・サイクスやトーマス・ローレンスもいた。一般に「アラビアのロレンス」とも呼ばれている、あのローレンスだ。
イギリスは第1次世界大戦の際、ウィリアム・シェークスピアというエージェントを後のサウジアラビア国王、イブン・サウドに接触させるが、このエージェントは1915年1月に戦死。そこでジョン・フィルビーが引き継いだ。
しかし、この頃、イギリスはイブン・サウドとライバル関係にあったフセイン・イブン・アリを重要視するようになり、ローレンスもイブン・アリを支援。このイブン・アリは1915年7月から16年1月にかけてイギリスのエジプト駐在高等弁務官だったヘンリー・マクマホンと書簡でやりとりをしている。その中で、イギリスはアラブ人居住地の独立を支持すると約束した。いわゆる「フセイン・マクマホン協定」だ。
イブン・アリは1916年、アラビア半島西岸にヒジャーズ王国を建国し、1924年にカリフ(イスラム共同体を統合する指導者)を名乗るものの、イスラム世界から反発を受けて追い出される。ヒジャーズ王国は1931年にナジェドと連合、32年にはサウジアラビアと呼ばれるようになった。
その一方、1917年にはイギリスのアーサー・バルフォア外相がロスチャイルド卿宛ての書簡で、「イギリス政府はパレスチナにユダヤ人の民族的郷土を設立することに賛成する」と約束している。この書簡を実際に書いたのはアルフレッド・ミルナーだ。その延長線上にイスラエルの建国はある。
今年6月からイスラエルの首相になったナフタリ・ベネットは宗教的な妄想を現実世界へ持ち込もうというタイプの人間だ。例えば、2017年にアル・ジャジーラの番組に登場、パレスチナがイスラエルのものだということは(旧約)聖書に書いてあると平然と口にしている。狂信的なシオニストだと言えるだろう。
しかし、ユダヤ教のトーラ(モーセ5書)などでは土地は神の物だとされている。ユダヤ人はトーラを守るという条件の下で、その土地に住むことを許されただけである。トーラのみを聖典だと考えるユダヤ教に一部がシオニズムやイスラエルを批判し、パレスチナ人と友好的な関係を結んでいる一因はここにある。
ユダヤ人が永遠に無条件でユーフラテス川とナイル川で挟まれている地域を支配できるという「大イスラエル」の主張はプロテスタントが言い始めたことである。その背後にはプロテスタント国の戦略が存在していた。そして一部のユダヤ人がこの戦略に乗ったわけだ。そのひとりがナフタリ・ベネットだ。
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