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腺ペストを生物兵器のように使っても「黒死病」は再現されなかった
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202107130000/
2021.07.13 櫻井ジャーナル
多くの人びとは「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)」を悪霊のように恐れている。イメージとしては「黒死病」や「スペイン風邪」だろう。勿論、イメージと実態は違う。
14世紀の中頃、ヨーロッパ、中東、北アフリカにかけての地域で「黒死病」が流行し、7500万人から2億人が死亡したと推測されている。病気の原因は腺ペストだと考えている人が多い。
その腺ペストを含む病原体を日本軍は生物兵器にしようと考え、中国大陸で生体実験を続けていた。そうした実験を行うために「関東軍防疫部(731部隊)」や「関東軍軍馬防疫廠(100部隊)」が組織された。同じ目的で、「南方軍9420部隊」、「北支那方面軍1855部隊」、「南支那派遣軍8604部隊」も編成されている。こうした部隊を動かしていたのが軍医学校で、東京帝国大学医学部や京都帝国大学医学部と協力関係にあった。
中でも有名な「731部隊」は当初、加茂部隊や東郷部隊とも呼ばれていた。この部隊の隊長を1936年から42年、そして45年3月から敗戦まで務めたのは石井四郎中将、1942年から45年2月までは北野政次少将である。
日本の敗北が不可避になると石井たちは日本へ逃げ帰り、1946年にはアメリカ軍の対諜報部隊CICの尋問を受けていることになる。が、これは厳しいものではなかった。
その過程で石井はGHQ/SCAPの情報部門G2の部長を務めていたチャールズ・ウィロビー少将と親しくなり、日本側の資料や研究員はアメリカにおける生物化学兵器の研究開発で中心的な存在であるキャンプ・デトリック(55年からフォート・デトリックに格上げされた)へ運ばれている。日本とアメリカは生物化学兵器の研究開発で手を組んだわけだ。そのキャンプ・デトリックから1947年4月にノーバート・フェルという研究者が来日し、731部隊の幹部を尋問している。
そして1948年1月、東京都豊島区にあった帝国銀行椎名町支店で行員12名が殺されるという事件が引き起こされた。午後3時過ぎに支店へひとりの男が現れ、「GHQのホーネット中尉」の命令で来たと告げ、「集団赤痢が発生した」として液状の「消毒薬」を16名の銀行員に飲ませたのだ。そのうち12名が死亡した。
この事件は中国で内戦が続く中で引き起こされた。副大統領から昇格したアメリカのハリー・トルーマン大統領は蒋介石に中国を支配させるために20億ドルを提供、軍事顧問団を派遣していたこともあり、中国は国民党が支配すると見られていた。
ところが、1947年夏になると、農民の支持を背景として人民解放軍(47年3月に改称)が反攻を開始、48年の後半になると人民解放軍が国民党軍を圧倒するようになる。そして1949年1月に解放軍は北京に無血入城、コミュニストの指導部も北京入りし、5月には上海を支配下に置いた。
アメリカでは第2次世界大戦後に破壊工作を目的とする極秘機関OPCが創設され、中国の拠点は上海に置かれていたのだが、国民党軍の敗北が明らかになると拠点を日本へ移動させた。その中心は厚木基地だったと言われている。
その当時、日本では労働運動が盛り上がっていた。そうした運動を一気に沈静化させる事件が国鉄を舞台に引き起こされる。1949年7月5日から6日にかけての下山事件、7月15日の三鷹事件、そして8月17日の松川事件である。この事件とOPCが無関係だとは考えにくい。
そして1950年6月に朝鮮半島で戦争が始まるが、その2年後に朝鮮の外務大臣はアメリカ軍が細菌兵器を使用していると国連に対して強硬に抗議している。また戦争で捕虜となった約30名のアメリカ人パイロットが生物兵器を投下したと告白するが、アメリカ政府はプロパガンダだとして全面的に否定。パイロットたちは帰国すると国家反逆罪に問うと脅され、告白を取り消したが、実際に使われた可能性は高い。使用した細菌兵器には炭疽菌や腺ペストが含まれていたと見られている。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015)
腺ペストを日本軍は中国で、アメリカ軍は朝鮮半島で生物兵器として使ったようだが、黒死病のような事態にはならなかった。散布しても限られた地域で感染するだけ。離れた場所で散布し、感染者が出ても人為的に撒いたと疑われてしまう。それを避けるためには、その病原体が広範囲、例えば地球全体に広がっていると人びとに思わせる必要があるだろう。
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