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エリートのパワーゲームで納まらなくなったパレスチナ問題
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2021.05.24 櫻井ジャーナル
5月6日に始まったパレスチナとイスラエルの戦闘は21日に停戦が実現した。大きな犠牲を払わされたのはガザの住人だが、パレスチナやイランの人びとはイスラエルが負けたと主張している。
戦闘の途中、イスラエルの地上部隊がガザへ侵攻したとする情報も流れたが、嘘だった。イスラエル軍にそれだけの力がないことは2006年7月から9月にかけてのレバノンにおける戦闘で明らかになっている。その戦闘でイスラエルの地上部隊がヒズボラの部隊に敗北、その際にイスラエルが誇るメルカバ4戦車も破壊されているのだ。その後、イスラエルは航空機を使うようになり、地上からの攻撃もミサイルだ。
今回も地上部隊をガザへ侵攻させられなかったのだが、これまでと違うのはテル・アビブへの攻撃が激しかったことだろう。東エルサレムではイスラエルの治安部隊によるパレスチナ人に対する暴力的な弾圧が繰り広げられ、アル・アクサ・モスクが襲撃され、ガザではイスラエル軍による攻撃で高層住宅が破壊されたのだが、その直後から3日間にハマスはガザから1500発以上のミサイルをテル・アビブに向けて発射、テル・アビブの南東にあるロドでは非常事態が宣言され事態になっている。
5月12日にロシアのウラジミル・プーチン大統領とトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が電話で会談、パレスチナ情勢がさらに悪化しないよう、国連が決議した「2国家解決案」に従って自体のさらなる悪化を防ぐべきだということで意見が一致したというが、これで戦闘が収まると考える人は多くなかっただろう。
5月15日にイスラエル軍はAPやアル・ジャジーラが入っていたガザのビルを破壊、その4日後にAPはひとりの記者を解雇した。スタンフォード大学を昨年卒業、5月3日からAPの編集部で働き始めたばかりのエミリー・ワイルダーだ。ソーシャル・メディアに関する会社のガイドラインに違反したという理由だが、具体的に何が問題だったのかをAPは明らかにしていないという。
この人物はユダヤ系なのだが、学生時代からイスラエルによるパレスチナ人弾圧に批判的で、入社後もメディアの姿勢も批判していた。「パレスチナ」ではなく「イスラエル」、「包囲攻撃」や「占領」ではなく「戦争」というという表現を使うこともおかしいとしていた。イスラエルは軍事力が相対的に弱くなっているものの、政治的な力は健在で、目障りな人物を排除することができるということだろう。
しかし、そうした政治力を維持しているのはエリートの世界。EUを中心にBDS(ボイコット、資本の引き揚げ、制裁)が展開されてきた。そうした動きを象徴する国がイギリスである。
歴史的にイスラエルの労働党は親イスラエルなのだが、イスラエルのパレスチナ人弾圧に対する批判が党内で高まり、1982年9月にレバノンのパレスチナ難民キャンプのサブラとシャティーラで引き起こされた虐殺事件で党の方針が親パレスチナへ変更された。
この虐殺はベイルートのキリスト教勢力、ファランジスト党のメンバーが実行したのだが、その黒幕はイスラエル。ファランジスト党の武装勢力はイスラエル軍の支援を受けながら無防備の難民キャンプを制圧し、その際に数百人、あるいは3000人以上の難民が殺されたと言われている。イギリス労働党の内部ではイスラエルの責任を問い、パレスチナを支援する声が大きくなった。
そうした情況を懸念したアメリカのロナルド・レーガン政権はイギリスとの結びつきを強めようと考え、メディア界の大物を呼び寄せて善後策を協議。そこで組織されたのがBAP(英米後継世代プロジェクト)である。アメリカとイギリスのエリートを一体化させることが組織の目的で、少なからぬメディアの記者や編集者が参加していた。
そうした中、イスラエルに接近していったのがトニー・ブレア。1994年1月に彼は妻と一緒にイスラエルへ招待され、3月にはロンドンのイスラエル大使館で富豪のマイケル・レビーを紹介された。その後、ブレアの重要なスポンサーになるのだが、言うまでもなく真のスポンサーはイスラエルだ。
そのブレアが労働党の党首になるチャンスが1994年に訪れる。当時の党首、ジョン・スミスがその年の5月に急死、その1カ月後に行われた投票でブレアが勝利して新しい党首になったのである。
レビーだけでなく、イスラエルとイギリスとの関係強化を目的としているという団体LFIを資金源にしていたブレアは労働組合を頼る必要がない。1997年5月に首相となったブレアの政策は国内でマーガレット・サッチャーと同じ新自由主義を推進、国外では親イスラエル的で好戦的なものだった。ブレアはイラクへの先制攻撃を正当化するため、偽文書を作成している。
ブレアはジェイコブ・ロスチャイルドやエブリン・ロベルト・デ・ロスチャイルドと親しいが、首相を辞めた後、JPモルガンやチューリッヒ・インターナショナルから報酬を得るようになる。
こうしたブレアのネオコン的な政策への反発に後押しされて2015年9月から党首を務めめることになったのがジェレミー・コービン。アメリカやイギリスの情報機関もコービンを引きずり下ろそうと必死になり、有力メディアからも「反ユダヤ主義者」だと批判された。
そして2020年4月4日に労働党の党首はキア・スターマーに交代、イスラエルに接近し、自分の妻ビクトリア・アレキサンダーの家族はユダヤ系だと語り、彼女の父親の家族はポーランドから移住してきたユダヤ人で、テル・アビブにも親戚がいるのだということをアピールしていた。今回のイスラエルによるガザの住民虐殺についてスターマーは沈黙している。
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