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ワシントンによる、いくつかの単純なウソ:誰がテロリストで、誰が被害者なのか?
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2021年5月22日 マスコミに載らない海外記事
フィリップ・ジラルディ
2021年5月20日
Strategic Culture Foundation
イスラエル人にパレスチナ人を殺すのを許しても、アメリカが得る実質的な恩恵は皆無なのだとフィル・ジラルディが書いている。
パレスチナとイスラエル間で勃発した紛争に、ほとんど驚きはない。アメリカと西ヨーロッパのメディアの多くを、がっちり支配できるイスラエルは、分かりやすい表現でそれを描写することに決めた。パレスチナの「テロリスト」集団ハマスがユダヤ人国家を攻撃したので、自己防衛のため、相応の措置をとった。遥かに複雑な一連の応酬の対する、この極端に単純化した表現が、アメリカで、政治論評として語る評論家の多くや、完全に腐敗したワシントンの政治家連中に、そのまま使われた。
イスラエルによる一般人の殺害が増加するにつれ、議会においてさえ、そうした感情が増大しているのに、数十年にわたるパレスチナ人の苦境に対する、どんな同情であれ表現する発言は驚くほど稀だ。実際、当初私は、ガザ、エルサレム、ヨルダン川西岸で、アラブの一般人が苦しまされているのを本気で遺憾に思う民主党議員のわずか五つの声明しか見いだすことができなかった。一つは最近の紛争をひき起こした一連のパレスチナ人住居乗っ取りに関するエリザベス・ウォーレン上院議員の発言だ。彼女はTwitterで書いた。「シェイフ・ジャッラーハにおける長年のパレスチナ住民の強制退去は忌まわしく、許されない。政権はイスラエル政府に、これら強制退去が非合法であることを明らかにすべきであり、即座に止めなければならない。」バーニー・サンダース上院議員もニューヨーク・タイムズで「アメリカはネタニヤフの擁護者をやめなくてはならない」という題の痛烈な論説で主張した。彼はイスラエル首相は「益々不寛容で、権威主義的な形の人種差別的愛国心を養成した」と表現している。
「私は爆撃下にあるイスラエルの人々を支持し、ハマス・テロリストを非難する。NYCの人々は、テロに勇敢に立ち向かい、耐えているイスラエルの我々の兄弟姉妹を常に支持する。」とTwitterでつぶやいたニューヨーク市長候補アンドリュー・ヤンに対するアレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員の短い非難もある。AOCは「ヤンが、9人の子供を殺害した攻撃に対する威勢のいい声明をした後で、イド・アル=フィトル[ラマダン開けを祝う大祭]に現われるとは、実に恥ずべきだ」と反論した。
遥かに強い発言は、ソマリア人家系で、彼女自身の党の、この問題の現実に直面するやる気のなさを非難したイルハン・オマール下院議員のものだ。彼女はTwitterで、こう呟いた。「シェイフ・ジャッラーハへの言及は皆無だ。アル=アクサー・モスク襲撃への言及は皆無だ。空襲で殺害された無辜の13人の子供への言及は皆無だ。野外刑務所の何百万もの人々に対して続く占領への言及は皆無だ。あなたは人権に優先順位を置いていない。あなたは圧制的占領を支持している。」オマールは、他ならぬ元国務大臣マイク・ポンペオから「反ユダヤ主義だ」と、その後非難された。
そして、パレスチナ系のラシダ・ラシダ・タリーブ下院議員が議会で行った演説にはこう言う言葉がある。「バイデン大統領やブリンケン長官やオースティン大将や両党指導部の声明を読んでいると、パレスチナ人が存在していることなど、ほとんど、わかるまい。今東エルサレムで、自分の家から引き離されるパレスチナ家族への攻撃や、家の破壊についての認識は皆無だ。拘留されたり、殺されたりしている子供への言及は皆無だ。彼らの最も神聖な場所の一つ、アル=アクサー・モスクで、ひざまずき、祈り、最も神聖な日々を祝う礼拝者に対して、祈っている間、暴力、催涙ガス、煙に囲まれていることへの言及は皆無で、イスラエル警察が続けている、いやがらせとテロ・キャンペーンの認識は皆無だ。」
どのコメントも、ホワイトハウスにどんな実際の影響も与えず、ヤンが、その歓心を買っている、かなり多数のユダヤ人住民がいる都市で市長に立候補しているが、彼はアメリカ外交政策とは全く無関係なのでAOCの非難は、まずかった。AOCは自身の党指導部に批判を向けるべきだったが、彼女は、もちろん、そうしないと決めたのだ。
アメリカの、いわゆる指導者連中の、ほとんどの発言は、予想通り、好戦的だ。ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、「私はシオニストだ」という大統領の意見を引き合いに出し、ジョー・バイデンが「イスラエルの安全保障、自身と国民を守る正当な権利に対する大統領の支持は、根本的なものであり、決して放棄することはない。我々はエルサレムに対するハマスや他のテロ集団により継続中のロケット攻撃を非難する。」これは、より熱烈なシオニストの前大統領、その特徴が、攻撃的で、無知にあふれたドナルド・トランプのばかばかしい応答を引き起こした。彼はTwitterで呟いた。「私の在職時、もしイスラエルが攻撃されたら、アメリカ合州国が強くイスラエルと共に立ち上がり、素早い懲罰があることをイスラエルの敵が知っていたので、我々は平和大統領職として知られていた。バイデン下で、バイデンのイスラエルに対する支持の弱さと欠如が、我々の同盟国に対する新しい攻撃を招いているため、世界は一層強暴で、一層不安定になっている。アメリカは常にイスラエルを支持し、パレスチナ人は、暴力やテロやロケット攻撃を終わらせなければならないことを明らかにし、アメリカは、自身を守るイスラエルの権利を強く支持することを明らかにしなくてはならない。」
だが、「イスラエル知事」の肩書きを持つと主張し、彼の州のナンバー・プレートに「フロリダ州はイスラエルを支持する」とスローガンを書いているロン・デサンティス・フロリダ州知事の気の利いた言い回しを破るのは困難だ。ロンよ「フロリダ州はアメリカを支持する」はどうだろう?デサンティスは「ハマスはテロ組織で、イスラエルはテロ攻撃から自身を守る権利を持っている」と言った。実際「イスラエルは自身を守る権利を持っている」という歯切れのいいセリフは、アメリカで、あまねく使われている。非武装のパレスチナ人にも同じ権利があるかどうかは、どうやら多くのアメリカ人にとって関心事ではないのだ。
フロリダでは「イスラエルかハマスかという誤った選択に、どうか、だまされないでほしい。もし私がテロ組織と、我々の民主的な同盟国から選ぶよう頼まれたら、私はイスラエルを支持する。」という主張を推進するテッド・ドイッチ民主党下院議員の似たようなメッセージもある。テッドはユダヤ人で、主にユダヤ人の選挙区の代表だ。
もちろん、テッドは状況を本人の好みに合わせて解釈している。多くの民主党政治家と同様、彼は大多数が民主党支持のユダヤ人だとされる主要政治資金寄贈者に耳を傾けている。イスラエル系アメリカ人のハリウッド・プロデューサーで、大口寄贈者のハイム・サバンが言う「私は民主党員だ、不幸にして、アメリカの利益のための教育を利用できる民主党極左がいる。イスラエルに関して議論があってはならない。イスラエルは地域で唯一の民主主義国で、我々の最も確固とした同盟国だ。」
もちろん、サバンは、イスラエル支援に関し、自分に快い主張を繰り返しているのだ。イスラエルは同盟国でも民主主義国家でもなく、その行動は、完全にアメリカの本当の利益に反するのだから、それはウソだ。客観的に言って、パレスチナは、ユダヤ人国家の被害者であり、その逆ではなく、人々が一体どう説明しようと決めるにせよ、イスラエルは大量虐殺や大量殺人や民族浄化で告訴されかねないのだ。過去70年間にわたり、ユダヤ人イスラエルのせいで、イスラム教徒やキリスト教徒の先住アラブ住民が耐えなければならなかった人権侵害や戦争犯罪の記述なら何ページでも続けられる。
法律上はイスラエル国民ながら、ほとんど全員がパレスチナのキリスト教徒とイスラム教徒で構成される、権利が劣る20%の住民がいるのに、イスラエルは、法的に、ユダヤ人国家だとさえ宣言している。国民ではないパレスチナ人は、ヨルダン川西岸で、イスラエルが課した戒厳令下にあり、生存権を含め全く権利がない。子供を含め非武装のアラブ一般人を殺すため発砲するイスラエル兵士は、ほとんど決して罰せられず、彼らの一部は実際英雄として称賛される。
ノーム・チョムスキーはアラブの視点から状況を説明している。「あなたは私の水を奪い、私のオリーブの木を焼き、私の家を破壊し、私の仕事を奪い、私の土地を盗み、父親を投獄し、母親を殺し、私の国を爆撃し、我々全員を飢えさせ、我々全員に屈辱を与えるのに、私が責めを負うべきだという。私はロケットを撃ち返した。」イスラエルがアパルトヘイト国家で、歴史的なパレスチナに残っているアラブ人は、事実上の野外刑務所に暮らしていることは、今一般に認められている。これに対して、非武装のパレスチナ人が、時折、できる限りの反撃をすると、手製ロケットに対して、「工業的」最先端兵器を使った圧倒的な軍事力のイスラエル反撃をもたらし、今まさに起きてているような、不釣り合いな虐殺になるのだ。
ガザで起きていることへのアメリカ政府の対応で特に気掛かりなのは、イスラエル人にパレスチナ人を殺すのを許しても、アメリカが得る実質的な恩恵は皆無なことだ。全く逆に、ワシントンは、当然、ほぼ全員から、イスラエルの行動を可能にしたと非難されるだろう。同様に、気掛かりなのは、現実をぼやけさせ、今とっている立場を正当化するために使われるうそ八百と意図的な虚偽の主張だ。ワシントン政治家の口や、提携する主流メディアから言われることを、実に多くのアメリカ人が、もはや信頼したり、信じたりできると思わないことに何の驚きがあるだろう?
フィリップ・ジラルディは博士で、Council for the National Interest事務局長。
個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2021/05/20/some-simple-lies-out-washington-who-is-terrorist-and-victim/
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