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サウジアラビアは、なぜイランと交渉しているのか?
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2021年5月19日 マスコミに載らない海外記事
2021年5月17日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook
2017年5月、サウジアラビア皇太子ムハンマド・ビン・サルマーン(MBS) は、イランとの直接対話の可能性について問われて、そのような冒険の可能性を否定した。当時、MBSは政治的に強力で協力で、彼は欧米、特にアメリカにとって遥かに好ましく、彼は、少なくとも本人自身の計算では、イランに対して、一挙両得が可能だった。そこで、当時MBSは、イランと、あらゆる可能な手段で対決する用意ができていた。“我々はイラン政権の主要標的だ”と2017年のテレビ・インタビューでイランの革命イデオロギーでは、イラン指導者との交渉は不可能だと主張してMBSは言った。“我々は戦争がサウジアラビア内で行われるまで待つつもりはない。そうではなく戦争はイラン内で行われるようにするつもりだ。”
2021年、MBSは、数年前よりもずっと柔軟で‘実利的’だ。彼はイランと進んで交渉するのみならず、この地域の安定にとって必要不可欠だと考えている。“我々には、この地域と全世界の繁栄と成長を駆動するサウジアラビアの権益がイランにあり、彼らもサウジアラビアにイランの権益がある”と先週、彼はサウジアラビア国営テレビで放送されたインタビューで述べた。この変化は、何で説明できるだろう?
いくつか根本的変化が起きているのだ。CIAは、MBSが、ジャマル・カショギ殺害に関与しているとした。MBSのアメリカ内の主要同盟者、トランプとジャレド・クシュナーは、二期目就任に失敗し、バイデン政権は、イランに、新たな核合意を強いるためのトランプの“最大圧力戦略”を最初利用したが、失敗し、アメリカの参加と、双方による遵守を確保するためJCPOA復活のためのイラン交渉を開始している。それに加えて、バイデン政権がアメリカが、他の場所で行いかねない‘本当の戦争’のために移転することを考慮して離脱しようとしている地域、中東ではなく、アジアや太平洋で中国やロシアに注力している事実がある。
従って、サウジアラビアを含め中東は、外部, 特にイランの脅威から守ってくれていたはずの伝統的な安全保障の傘を失いつつあるのだ; そこで、交渉という論理だ。
イスラエルは、イランのいわゆる“核の野望”との対決を継続しているが、サウジアラビアは、イスラエルのイラン核施設サイバー攻撃を密かに尊敬しているかも知れないが、サウジアラビアは、イランの一流人科学者殺害さえした、そのような攻撃も、イランに屈伏を強いることはできず、ましてバイデン政権が、JCPOA再加入のためのイランとの交渉再開を阻止することもできないのを知っている。これに加えて、イランに、シリア国内での駐留撤退を強いるアメリカとイスラエルが支援する取り組みも、ほとんど失敗した。イランは、貧弱な経済資源にもかかわらず強固で、約5000億ドルと推計される中国投資の出現で、金運も変化する可能性がきわめて高い。
中東内でさえ、サウジアラビア王国をイランに反対する指導者として進んで受け入れる同盟国は多くない。一方、UAEは、かなり‘独自な’政策を推進しており、イスラエルとの関係も強化し、F-35戦闘機も入手する可能性が高く、イエメンへの関与も減少し、サウジアラビア率いる‘アラブ同盟’は壊滅した。サウジアラビア率いるイスラム対テロ軍事同盟、約40の国で構成される、いわゆる‘アラブのNATO’は、決してイスラム世界内の効果的なサウジアラビアの権力基盤とは思えない。バイデン政権も、アメリカもサウジアラビアのイエメン戦争に対する支援を大幅に縮小している。
だから、変化しつつある中東には、サウジアラビア覇権の余地は、ほとんど、あるいは皆無で, サウジアラビアに、以前リヤドでは想像もできなかった政策を推進するよう強いている。同盟諸国からの支援が薄れ、壊滅状態のサウジアラビアは、今や1000億ドル以上の重い財政負担をしているだけでなく、フーシ派が戦争をサウジアラビア領内に持ち込むことも可能なイエメンでの戦争を終わらせるためにイランとの対話がより有効なことに気づいている。フーシ派指導部は、サウジアラビアに、弾道ミサイルやドローンで多数の攻撃を実行できるだけでなく、サウジアラビア自身の空爆や大規模爆撃作戦も国際的に、無差別で無効な爆撃の見本と見なされるようになっている。
それゆえ、アメリカとイスラエルの長期間の直接協力によって、イランを屈伏させそこね、イランが支援するイエメンのフーシ派も打倒し損ねており、サウジアラビアは、アメリカの支援をもはや得られず、イデオロギー上のライバルに対する代替戦略を追求する以外、他にほとんど選択肢はないのだ。
サウジアラビアは、イランとの、ある程度の和解を実現しようとしているが、これは今中東で起きている変化は、アメリカの継続的な離脱だけの結果ではないのだ。これはむしろ、結果戦争がもたらしたサウジアラビア自身の政治的、経済的、軍事的疲弊だ。
サウジアラビアは、要するに、もはや、彼ら版の対イラン“最大圧力”に固執する立場にないのだ。彼らは論理的に、イエメンで本物の泥沼になってしまったものを解決するための“最大の交渉”をしたいと思っているのだ。サウジアラビアは、アメリカが、アフガニスタンで学ぶのに20年かかった教訓を学んだのだ、つまり、特に敵が、ただの聖戦民兵ではなく、その国内に根づいた組織的軍事行動である場合、交渉で実現できることが、軍事的手段によっては実現できないのだ。
Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交、国内問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/05/17/why-is-saudia-talking-to-iran/
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