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ロシア政府を脅そうとしたバイデン大統領は窮地に陥った
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2021.04.19 櫻井ジャーナル
イギリス海軍は駆逐艦とフリゲート艦を今年5月に黒海へ派遣すると伝えられている。4月上旬、トルコ政府は「モントルー条約」(ボスポラス海峡、マルマラ海、ダーダネルス海峡の通航制度を定めた条約)の締結国に対し、アメリカの軍艦2隻が4月14日か15日に地中海から黒海へ入り、5月4日か5日まで留まると通告、これを受けてロシア国防省は「演習」のため、1隻のフリゲート艦と2隻のコルベット艦を黒海へ入れると発表した。ロシアの艦船はいずれも対艦ミサイルが装備されている。英軍艦の黒海入りの報道は米軍艦の予定がキャンセルされたと伝えられた直後のことだ。
アメリカ空軍は4月に入ると1週間の間に少なくとも3度、物資を空輸していると伝えられた。ドイツのラムシュタイン空軍基地からC-130輸送機とC-17輸送機がキエフへ飛来したほか、アメリカからリビウへC-17、そしてポーランドのポズナンからイギリスのBae 146-200がキエフへそれぞれ来ているという。
その前、3月14日には少なくとも2機のC-17A輸送機がトルコからウクライナへ空輸、それ以外にカタール空軍が5機の輸送機を使い、トルコを経由で物資を運んでいると伝えられている。トルコが提供した物資の中に含まれていたドローン(無人機)はキエフのクーデター体制への屈服を拒否したドンバスやクリミアの上空を飛んでいるようだ。トルコは物資だけでなく兵士150名をウクライナへ派遣している。
そのトルコをウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は4月10日に訪問、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と会談、その直後にトルコの情報機関は「ジハード傭兵」を集め始めた。トルコはそうした傭兵をシリアのイドリブで使っているが、そこからウクライナへ移動する戦闘員も出てくるだろう。
こうした傭兵はトルコだけが使っているわけではない。ズビグネフ・ブレジンスキーは国家安全保障補佐官だった1979年にNSC(国家安全保障会議)でアフガニスタンの「未熟な抵抗グループ」への「同情」を訴え、CIAはゲリラへの支援プログラムを開始しているが、そのゲリラとはサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を中心とするジハード傭兵だった。
この傭兵を送り込んでいたのはサウジアラビアで、CIAが訓練している。こうした訓練を受けた戦闘員のリストが「アル・カイダ」だとロビン・クック元英外相は2005年7月にガーディアン紙に書いた記事の中で説明している。なお、クックはその記事が出た翌月、良好先のスコットランドで心臓発作のために死亡した。
ブレジンスキーの教え子と言われているバラク・オバマもジハード傭兵を使った。2010年8月にはムスリム同胞団を使った体制転覆プラン、PSD-11を承認しているのだ。そして始められたのが「アラブの春」。ムスリム同胞団が全面に出ていたが、サラフィ主義者も参加していた。
こうした傭兵を使うという案はジョージ・W・ブッシュ政権で考えられていたと言われている。アメリカ主導軍でイラクを先制攻撃してサダム・フセイン体制を倒したものの、その後の占領に失敗、フセイン時代の軍人を含むジハード傭兵を編成しようとしたのだ。
シーモア・ハーシュが2007年3月にニューヨーカー誌で書いた記事によると、ブッシュ政権はイスラエルやサウジアラビアと手を組み、シリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラを叩き潰そうと考えた。
その記事の中で引用されたジョンズホプキンス大学高等国際関係大学院のバリ・ナスルの説明によると、資金力のあるサウジアラビアは「ムスリム同胞団やサラフィ主義者と深い関係」があり、そうしたイスラム過激派を動員することができるという。
しかし、ナスルはこの案に反対のようで、その勢力は「最悪のイスラム過激派」であり、彼らが入っている箱を開けたなら、2度と箱の中へ戻すことはできないと警告していた。
ウクライナにおけるアメリカ、イギリス、トルコなどの動きはウクライナ軍の動きと連動している。大規模なウクライナ軍の部隊が東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)やクリミアの近くへ移動している。
ウクライナにおける軍事的な緊張が高まっていることは明白だが、その原因を作っているのはウクライナ、アメリカ、イギリス、トルコなどである。そうした中、3月16日にジョー・バイデン米大統領はABCニュースのインタビューを受けた。インタビュアーから「プーチンは人殺しだと思うか?」と問われたバイデンは「その通り」と答えている。それから間もなくして、アメリカ政府は2隻の軍艦を黒海へ入れようとしたのだ。
黒海に軍艦を入れるということは、ロシアの喉元にナイフを突きつけるようなものである。ロシアの国防大臣はアメリカ/NATO軍がロシアとの国境沿いに4万人の部隊を配置していると指摘、それに対抗してロシア軍は2方面軍と3空挺師団を西側の国境近くへ移動させたと説明している。このロシア軍の移動をアメリカ国務省のネッド・プライス報道官は記者会見で「挑発行為」だと主張した。
そして4月13日、バイデンとウラジミル・プーチン露大統領は電話で会談、バイデンは差し向かいで会談することを提案したが、ジェーク・サリバン国家安全保障補佐官は4月18日、両大統領は「適切な環境の中で会う」と述べている。約束を取り付けられなかったのだろう。ネオコンの「脅せば屈する」という戦法は中国、ロシア、イランといった国々には通用しない。
バラク・オバマ政権はそのネオ・ナチを使い、2014年2月にウクライナでクーデターを成功させているが、現在でもウクライナはネオ・ナチの影響下にある。そのクーデターで成立した体制にバイデン大統領は弱みを握られている。弱みを握っているであろうネオ・ナチはアメリカ/NATO軍を使ってロシアを倒したいと望んでいる。
クーデターの2カ月後にバイデンの息子、ハンター・バイデンはウクライナの天然ガス会社ブリスマ・ホールディングス(本社はキプロス)の重役に納まる。その会社をウクライナの検察当局は捜査していた。
その捜査を指揮していたのは検事総長を務めていたビクトル・ショーキン。FOXニュースのジョン・ソロモンによると、2015年終わりから16年初めにかけての数カ月間、副大統領だったバイデンは検事総長を解任するようウクライナ側に圧力をかけていたと6名ほどのウクライナの高官が語っている。ウクライナの議員、アンドリー・デルカチによると、バイデンはブリスマからロビー会社を介して90万ドルを受け取っていたという。
ジョー・バイデンが検事総長を解任するように求めたことはバイデン自身が認めている。彼は2018年1月23日、CFR(外交問題評議会)で、10億ドル欲しければ検事総長だったビクトル・ショーキンを6時間以内に解任しろと恫喝、実際に解任されたと自慢しているのだ。
このスキャンダルのため、バイデンは大統領候補者選びの争いから離脱するという話もあったが、突如支持率が上昇して大統領に選ばれた。ウクライナが捜査を継続していたなら違った展開になっていただろうが、弱みを握る道を選んだ。その弱みのため、バイデン政権はウクライナの軍事的な緊張を急速に高めることになった。コントロール不能の状態になっても不思議ではない。
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