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独禁法違反で処罰されたアリババの背後に中国政府は何を見ているのか
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202104130000/
2021.04.13 櫻井ジャーナル
中国の国家市場監督管理総局は4月10日、電子商取引大手のアリババグループに対し、独占禁止法に違反したとして罰金182億元(約3000億円)を科すと発表した。
同グループを創業した馬雲は中国の規制制度を批判していた。中国は1970年代から新自由主義を取り入れているが、1980年代の半ばになると貧富の差が拡大して社会を不安定化、軌道修正を図ることになる。それでも新自由主義的な制作を推進して規制緩和しろと馬雲は主張していたわけだ。
1980年代に新自由主義的な政策を中国で推進していたのは胡耀邦や趙紫陽を中心とするグループで、学生から支持されていた。このふたりの後ろ盾だったケ小平も軌道修正側に与し、学生運動の高まりに対する責任を問われて胡耀邦は1987年に総書記を辞任、89年に死亡した。その死を切っ掛けに天安門広場で大規模な抗議活動が始まり、5月に戒厳令が敷かれ、6月を迎えることになる。
現在、COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動のために社会は世界規模で収容所化している。生産活動や商業活動は麻痺して多くの企業や店の経営は悪化、失業者、ホームレス、そして自殺者が増えることになった。
その一方で一部の富豪は資産を大幅に増やしている。昨年3月18日から5月14日にかけてアメリカでは3600万人が職を失っているが、同じ期間に10億ドル以上の富豪は資産を3688億ドル増やしたという。
人びとの行動が制限されたこともあり、店舗による商売が苦戦しているが、人との接触が少ない、あるいは必要としないアマゾンやアリババのような通信販売は大儲けしている。グーグルやフェースブックのようなデジタル空間で稼いでいる企業も好調だ。こうしたシリコンバレーのハイテク企業がCOVID-19を煽るのは必然だろう。
フリードリッヒ・ハイエクやミルトン・フリードマンの「教義」に基づく新自由主義が拡大し、独占禁止法(反トラスト法)の骨抜き化は加速度的に進んだ。そのひとつの結果として、巨大金融機関の場合は、大きすぎて潰せない、大きすぎて処罰できないということになっているわけだ。
新自由主義は一部の富豪へ力と資金を集中させ、私的権力を強大化、国を上回る力を与えようとしている。すでに西側の政府は強大な私的権力によってコントロールされているが、政府という媒介物をなくし、そうした権力が直接統治する仕組みを作ろうとしているのだろう。
欧米の私的権力はTPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)を作り上げようとしていたが、その目的も同じ。
こうした協定に含まれるISDS(投資家対国家紛争解決)条項によって私的権力は国を上回る力を獲得することになる。例えば、企業活動や金融システムに対する規制、食糧の安全、環境汚染の防止、労働者の権利保護などを各国の政府や議会で決定することが不可能になり、庶民は巨大企業に生殺与奪の権を握られる。アメリカでは公的な教育や医療システムがCOVID-19騒動の前から崩壊しているが、さらに酷いことを世界へ広めようとしているのだ。
ソ連を消滅させたボリス・エリツィンが大統領を務めていた時代のロシアでは、クレムリンの腐敗グループと手を組んだ私的権力はロシア国民の資産を盗み、西側の巨大資本へ渡していた。クレムリンの腐敗勢力の中心にいたのはエリツィンの娘であるタチアナであり、その周辺にはソ連時代にKGBの幹部だったグループがいたと言われている。その下で活動し、巨万の富を築いた若者は「オリガルヒ」と呼ばれるようになった。
COVID-19騒動でも明らかになったが、中国の富豪やエリートの中にもアメリカの私的権力と結びついている人びとがいる。そうした人びとを放置していると、西側の私的権力と結びついた中国の経済独裁者をコントロールできなくなり、中国という国自体が危うくなることは明白。アリババに対する処罰にはそうしたことを懸念する中国政府の考えが反映されているのだろう。
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