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NATOの零落を示す、シリアのファーストレディーへの恫喝
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2021年3月23日 マスコミに載らない海外記事
Finian Cunningham
2021年3月18日
Stratregic Culture Foundation
戦争犯罪での起訴で、シリアのファーストレディ、国家のヒロインを恫喝するのはNATO諸大国の零落を示しているとFinian Cunninghamが書いている。
アメリカとNATO同盟諸国が、シリア政権を転覆するため衝撃的な秘密侵略戦争を開始した時から、今週で10年だ。10年後、このアラブの国は戦争から再建で苦闘しているが、アメリカと欧州連合に課された経済封鎖のため、この取り組みは一層困難になっている。
シリアとロシア、イラン、イラクとレバノンのヒズボラの同盟軍は、NATOに武装させられ、シリア内に送り込まれた傭兵テロ戦士の大群を破り戦争に勝った。ほぼ50万人のシリア人が殺され、戦前は2300万人だった人口の半分は強制退去させられた。
だが悲劇的にも、戦争はまだ終わっていない。それはシリアに対する欧米の制裁と封鎖という形での経済戦争という新しいハイブリッド段階に移行している。
シリアに対する欧米制裁の残酷さは、破壊的なメディア言説という隠蔽を必要としている。
これが、シリアのバッシャール・アル・アサド大統領の妻アズマ・アル・アサドが戦争犯罪のかどで、ロンドン警視庁に調査されているというイギリス・メディア報道の大騒ぎの説明になる。アズマ(45歳)はロンドンで生まれ、そこで教育を受け、イギリス国籍を持っている。彼女はシリア家系だが。
今イギリス当局は、彼女の国籍剥奪を考慮し、ばかげたことに彼女が戦争犯罪をほう助した罪、一般人に対する化学兵器の使用のかどで、彼女の引き渡しを求めている。ほとんど起訴の可能性はないが、それはイギリスの目的ではない。全てがシリア指導体制を中傷し、本当に重要な問題から世界の注意をそらすのが狙いだ。問題は、シリアに対するNATOの戦争と、シリアを破壊するため進行中の経済戦争の犯罪性だ。
これまでの10年間、広範囲にシリアを旅したアイルランドの平和活動家、作家のデクラン・ヘイズはこう述べている。「アズマ・アル・アサドに対するイギリスの法的にばかばかしい非難には多くの目的がある。シリアの2021年大統領選挙の合法性を認めないためだ。国外居住シリア人とイギリスの人道主義者を脅かすためだ。文書で十分に立証されたNATOの戦争犯罪から目をそらすためだ。シリア、イラク、リビアやイエメンでのNATOの戦争犯罪における傭兵、メディア、政治家や非政府組織連中との共謀から目をそらすためだ」。
アズマは2000年にバッシャールと結婚した。戦争が2011年3月に勃発する前、彼女は女性的美しさと静かな話し方の率直な人格から、欧米西メディアで「砂漠のバラ」と称賛された。心臓病専門医の娘で、シリアのファーストレディーになる前、投資銀行業務という経歴を持ったアズマ・アル・アサドは、後にしおれた花でないことを示した。戦争が荒れ狂う中、彼女は、ダマスカスを去り、子供たちと快適な亡命をするのを拒否した。
彼女は夫の側に忠実に留まり、国民を慰める役割を引き受け、殺された兵士の家族や、NATOテロのギャングによる民間人被害者を、しばしば訪問している。
ストレスで、アズマが2018年に無事治療された乳がんで苦しむ結果になったのは疑いない。
戦争初期の年月、窮地が迫り来る中、アサド大統領と妻はシリア国民側についた。2015年10月にロシアが歴史的同盟者を支持して介入した時、戦争の流れは、NATOの政権転覆計画に、決定的に不利になった。アサドは、アメリカ、イギリス、フランスとイスラエルに対する反帝国主義姿勢のため、政権転覆対象に選ばれたのだ。前フランス外務大臣のローランド・デュマが明らかにしたように、ロシア、イランとレバノンのヒズボラとの同盟は、破壊の標的になった。デュマは、2011年3月に紛争が勃発する2年前、イギリス政府が、シリアでの戦争計画を持っていたことを明らかにした。この文脈で、いわゆる「蜂起」は入念に画策された偽旗だったのだ。
南部の都市ダラーでの、警官と抗議行動参加者の神秘的な射撃は、国際的にアサド政府を汚すのに役立ったが、2014年2月、ウクライナでのクーデターを引き起こしたキエフのマイダン広場で狙撃殺人を実行したNATO秘密部隊が使った手口と同じだった。
シリアに対するNATO戦争開始から今週で10周年を祝う欧米メディアの主要ニュースは残忍で吐け気を催すようだ。
シリアが直面している窮乏と飢えを、いい気味だと満足そうに眺める雰囲気がある。
シリアに「待ち行列共和国」というレッテルを貼っているAP通信の記事は、一般人がどのように食物と燃料不足で苦闘しているか、ほとんど大喜びで報じている。
アメリカのCIAとイギリスのMI6が、ティンバーシカモア作戦を運営して、傭兵をどのように武装させ、シリア人を威嚇するよう指示したかについての言及は、マスコミ報道のどこにもない。ばかばかしいことに、欧米メディアは、依然、シリアの戦争が「無情なアサド政権」に弾圧された「民主化運動蜂起」から始まったと主張している。
アメリカ、イギリスと欧州連合が、戦争で荒廃した国を野蛮な制裁で絞め殺し、再建を阻止している事実もほとんど触れられない。経済テロの犯罪性は、失敗した犯罪的な秘密侵略戦争の当然の帰結だ。
シリアに対する欧米政策の忌まわしい現実は隠蔽しなければならない。戦争犯罪での起訴で、シリアのファーストレディ、国家のヒロインを恫喝するのはNATO諸大国の零落を示している。
Finian Cunninghamは主要報道機関の元編集者・記者。国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。
個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2021/03/18/threatening-syria-first-lady-shows-nato-depravity/
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