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クアッド最初のサミット開催
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2021年3月22日 マスコミに載らない海外記事
2021年3月19日
ウラジーミル・テレホフ
New Eastern Outlook
今年3月12日に開催された、アメリカ、日本、インドとオーストラリアを含む、いわゆる「クアッド」諸国の最初の(ビデオ)サミットは、「グレート世界ゲーム」の現在の段階に関する最重要の催しなのは確実だ。この構成は、その創始者アメリカによって、冷戦期間中に、NATOが演じたのと、ほぼ同じ課題を解決することを目指す、本格的な政治・軍隊組織を形成する過程の「酵母」と見なされているためだ。
当時、NATOは、ソビエト社会主義共和国連邦という形の主要な地政学的競争相手を阻止することに取り組んだ。将来の「アジアNATO」の基盤は、計画によればクアッドのはずだが、同様、阻止問題を解決するよう意図されている。だが新しい「グローバルな脅威の主要源」は、中国という形で出現している。クアッドの全加盟国が「なぜ、この全てが起きているのか」という質問に答えて、さまざまな度合いの率直さで中国を非難している。
(2007年の)発端以来ほとんど常に記憶喪失にあったが、2019年末からクアッド・プロジェクトは生きている兆候を見せ始め、世界政治の現状を分析する際、益々議論の基盤となりつつある。このプロジェクトの運命は、主要な疑問の一つになると言っても、決して誇張ではない。
NEOは、定期的に、クアッドの話題をあつかっているが、最新のものは、参加国外務大臣の2月18日の会議に関連するものだ。その主な結果には、この形式を制度化する新たな兆しもある。外相会議を定期的にする狙いだ。クアッド最初の重要な共同活動は、2020年9月のマラバール共同海上軍事演習だが、これは本来、1990年代初期から主にアメリカ-インド二国間の形式だった。
それにも拘わらず、クアッドを、現在のフォーラム以上のものに向ける兆しは、東京での(2020年10月6日)前回の外相会談での、参加国最初のサミットを行う原則の決定だった。確定日の3月12日はインドと日本首相の3日前の電話会話で発表されていた。
まず第一に、クアッド四メンバーの、二人のリーダー間の、もう一つの接触という事実に注意を払おう。長い間明白だった日本-インドの和睦の全般的傾向と一致するが、明らかに、現在のナレンドラ・モディ首相が率いるインド人民党政府が、2014年に権力の座について以来、政治的に表面化しているものだ。
このプロセスの背後にある主な動機の一つは、この会話にもあった単語「中国」にこめられた、あらゆる地政学的要素によって決定される。その現実は議論されていないが、二国間でも、クアッド・メンバーとしても、当然のことと考えている中国の「挑戦」に東京とニューデリーは対抗するつもりなのだ。
インドと日本指導者間の前述会話の間に、この「挑戦」はこの構成の参加者間の様々な接触時に必ず発言される、しっかり確立したミームで示された。「自由で開かれたインド-太平洋地域」。それはクアッド最初のサミットでも聞かれた。
ナレンドラ・モディと菅義偉の会談では、二国間関係の主な問題の一つとして、防衛と安全保障に簡単に触れた。この点に関して、去年12月22日、言及された「領域」が、より詳細に、具体的に議論された、防衛大臣のラージナート・シンと岸信夫間の(やはり電話の)会談に注目しよう。特に、その進展の証拠の一つとして、前述の「マラバール」演習に触れられた事実は重要だ。
ナレンドラ・モディと菅義偉がクアッド・ビデオサミットの期日を設定した翌日、オーストラリアのスコット・モリソン首相と、アメリカのジョー・バイデン大統領が参加する意志を発表した。
その結果で注目すべき最初のものは、(少なくとも短期的に)地域規模での本格的な政治・軍事構造出現の目に見える兆しがないのが見えることだ。これまでのところ、中国(とロシア連邦)に対する戦いでの関係者の努力は、主に「ワクチン外交」分野に焦点を合わせている。すなわち、その狙いは、一般的に「欧米諸国」が明らかに示しているSARS-CoV-2流行に対する戦いでの失敗の結果を、何らかの方法で修正することだ。
その結果は最も深刻な(今日、到底完全に予見できない)政治的結果を招きかねないので、クアッドによる「ワクチン外交」の優先順位付けは理解できる。サミット直前に、コロナウイルス流行と戦いでの成功の結果、第三世界での、中国とロシアの増大する影響力についての懸念が表明された。この「脅威」をかわすため、これらの国々に近いインドに頼ることが提案されている。クアッド・メンバーが、この場合とるつもりの行動案は、日本の読賣新聞社が報じている。
サミット参加諸国は、2022年末までに、コロナウイルス・ワクチン約10億回分を生産することに同意した。大いに不適当な時期の政治的「ゴキブリ競争」という悲しい印象を残しながらも、概して称賛に値する意図だ。世界は非常に壊れているので(「どこかから送られた」)SARS-CoV-2という形の緊急警告さえ、言い聞かせて、道理を分からせることができないのだろうか?
もう一つの主題が、クアッド・サミットで重要な役割を演じた。問題は特定の技術的プロセスにおける、いわゆる「サプライチェーン」安全保障問題で、これは前政権に始められたものだ。これは最もしばしば、(現代の先端技術で重要な役割を果たす)レアアース金属について言われるが、その供給で中華人民共和国が世界市場を絶対独占している。
「レアアース爆弾」を使う北京の脅威とされるものの前例は、特に2012年秋、帰属問題で係争中の尖閣/釣魚島を「所有者」から日本政府が「買い戻した」時の中日関係の悪化時期と結び付けられる。中国に対抗する欧米諸国は、現在、環境汚染の主な原因の一つで、中国にとって極めて喫緊の問題である全てのレアアース金属採掘産業を近代化する計画に慎重だった。
だが、再び、クアッド・サミットの主な結果は、それが「アジアNATO」のようなものが近い将来出現するという明白な兆しを産み出さなかったことだ。今のところ、クアッドはまだそれが2000年代末に生まれた時のままだ。つまり、いくつかの主導的なインド・太平洋地域の国々が、さまざまな地域問題を議論するためのフォーラムとして生まれた時のものだ。地域には(世界全体でも)多数のこのようなフォーラムがある。多くの場合、それは政治家集団が集まり、重要な話題について話をしても、害はない。
前にNEOで指摘した通り、地域と世界全体で安全保障の基本的問題を解決する上でのクアッド参加国の手法の重大な相違は、この形の最初のサミット中に明らかになった。
上記の見地に対する疑わしさは「グレート・ワールド・ゲーム」を良い方向に進める責任があるグローバル大国としての中国自身の認識の増大によるものだと著者は考える。この責任の表示の一つが、ラダックでの紛争に関するインドとの(不必要な)緊張を緩和する最近の努力だ。だが、おそらく、そのような主要な証拠は、クアッド指導者、すなわちアメリカとの関係確立が、中華人民共和国の益々明らかな願望となっていることだ。
この点、アラスカへの旅行前日、3月11日の李克強首相記者会見は非常に注目に値する。中国エリートが(他のあらゆる国同様)外交政策分野で多様な好みの異なる集団から成立していると考えることは可能だ。特に対米関係に関する最も重要な要素に関して。
だがアメリカ新政権下の、これらの関係の状態や短期的見込みは別の集中的な検討に値する。
ウラジーミル・テレホフは、アジア太平洋地域問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/03/19/the-first-summit-of-the-quad-took-place/
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