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事実に追い詰められている有力メディア
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202102250000/
2021.02.26 櫻井ジャーナル
ニューヨーク・タイムズ紙が2月18日に掲載したチャーリー・ウォーゼルの記事は読者に対し、自分たち有力メディアの能力を信じろとしたうえで、「ウサギの穴」の誘惑に抵抗しろと訴えている。自分で調べ、考えようとして「陰謀論者」の話に陥らないよう、自分たちのような優秀なメディアを信じろということだろう。何かの宗教を広めようとしている伝道師のようだ。
本ブログでは繰り返し書いてきたが、ニューヨーク・タイムズ紙を含む西側の有力メディアはCIAの影響下にあり、そのCIAは強大な金融資本、つまり私的権力によって生み出された。メディアは私的権力の洗脳装置になっているとも言える。
情報機関や警察が登場する映画やテレビドラマは少なくないが、少なくとも最近の作品の場合、悪いことをするのは個人か一部の集団で、システム全体は健全だとされる。ドナルド・トランプの支持者もこの枠組みから抜け出せていない。
しかし、ノンフィクションの場合、システム自体が犯罪の主体だと主張されることもある。そうしたときに浴びせられる呪文が「陰謀論」だが、その呪文が盛んに使われるようになったのは1960年代後半以降だと言える。
1963年11月22日にジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された後、アール・ウォーレン最高裁長官を委員長とする調査委員会が設置された。そのメンバーはウォーレンのほかリチャード・ラッセル上院議員(当時。以下同じ)、ジョン・クーバー上院議員、ヘイル・ボッグス下院議員、ジェラルド・フォード下院議員、アレン・ダレス元CIA長官、ジョン・マックロイ元世界銀行総裁がいた。主席法律顧問はリー・ランキンだ。
ダレスがウォール街の弁護士だということは本ブログで繰り返し指摘してきた。このダレスを委員会のメンバーにするよう働きかけた人物はリチャード・ヘルムズ。国際決済銀行初代頭取の孫にあたり、OSS時代からヘルムズの下で活動、1966年6月から73年2月まではCIA長官を務めている。マックロイはウォール街の大物で、大戦の後に世界銀行の総裁を経てドイツの高等弁務官としてナチスの大物たちを守った。フォードはJ・エドガー・フーバーFBI長官に近く、ランキンはCIAとFBIにつながっていた。この委員会で専従だったのはダレスひとりだ。
ウォーレン委員会は1964年9月24日に報告書をリンドン・ジョンソン大統領に提出したが、3週間後の10月12日にひとりの女性が散歩中に殺される。その女性とは、ケネディ大統領と親密な関係にあったマリー・ピンチョット・メイヤー。銃弾の1発目は後頭部、2発目は心臓へ至近距離から撃ち込まれていた。プロの仕業だと考えられている。
マリーが結婚したコード・メイヤーはCIAの秘密工作部門で幹部だった人物。ふたりは1945年に結婚したが、コードは51年にアレン・ダレスの誘いでCIAに入った。その後ふたりの間に亀裂が入り、1958に離婚している。
マリーのCIA人脈はコード以外にもあった。大学時代の友人が結婚した相手がOSS時代からアレン・ダレスの下で秘密工作に従事、ファシストやイスラエルとつながっていたジェームズ・アングルトンだったのだ。姉が結婚したベン・ブラッドリーはニューズウィーク誌やワシントン・ポスト紙の編集幹部だったが、CIAとつながっていたと言われている。
マリーは殺されて何も話せなくなったが、少なからぬ学者やジャーナリストがケネディ大統領に関する調査は行い、リー・ハーベイ・オズワルドの単独犯行だとするウォーレン委員会の結論に異を唱えた。そうした異論は事実の裏づけがあるため、反論で墓穴を掘る可能性もあった。そこで使われるようになったのが「陰謀論」という呪文だ。権力への信仰と権力が唱える呪文で事実を封じようとしてきた。
そうした信仰と呪文が揺らいでる。ウォーゼルの記事はそうした焦りの反映なのかもしれない。
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