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新たな手強い難題に直面するオーストラリアの対中国関係
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2021年2月20日 マスコミに載らない海外記事
2021年2月15日
ジェームズ・オニール
New Eastern Outlook
何年か前、シンガポール首相故リー・クアンユーリーは、オーストラリアは「アジアの貧乏白人」になると予想した。彼の言葉は当時オーストラリア政治全体に衝撃を与え、猛烈に否定された。結局、オーストラリアは、当時、アジア近隣諸国と最大の貿易増大を享受しており、誰も黄金時代が無限に続かないことを想像できなかったのだ。
当時も今も、オーストラリアはアメリカ軍事陣営の強固な一員だ。当時は、冗談半分にアメリカの「副保安官」とさえ呼ばれた。それはオーストラリア政治指導者に着実に宣伝されたイメージだ。彼らが、リベラル国民連合、労働党のいずれに所属するかは重要ではなかった。アメリカへの傾倒は、オーストラリア政治で最強の基礎のままだ。
結局、当時新たに権力についた中国共産党を打倒するアメリカ窮余の企みの一環だったのが明らかなのにもかかわらず、オーストラリアは朝鮮戦争(1950年-53年)に進んで参戦した。中華人民共和国を中国の合法政府と認めるには、進歩的なホイットラム労働党政府の短期支配(1972年-75年)が必要だった。その選択がワシントンのニクソン政権が、中国の合法政府として、まさに台北から北京に鞍替えするのと同時だった事実に全く気付かず、ホイットラムを攻撃した野党自由党に多大な苦悶をもたらした。
外交上、中華人民共和国を承認したにもかかわらず、アメリカが、台北と大陸間の比較的狭い海峡を、海軍艦隊の一部に頻繁に巡視させて、台北への誓約を守っているのは辛らつな歴史の皮肉の一つだ。当時台湾政府が常に彼らは中国の一部だと主張していたのは、それ以上の運命のいたずらだ。中国には「おかしな政府」があっただけなのだ。彼らは、いつの日か中国政府として再復帰できるという夢に執着した。その夢は消えていない。
アメリカ軍国主義へのオーストラリアの固執は、もちろん朝鮮では終わらなかった。以来、オーストラリアは、アメリカが選ぶ戦争の熱心な参加者だ。各国政府が、オーストラリア(や他の外国の)軍駐留を歓迎しないことを益々明らかにしているにもかかわらず、オーストラリア軍はアフガニスタンとイラクとシリアにも駐留している。
その間、アジア、特に中国とのオーストラリア貿易は終始増大し続けた。オーストラリアの最大貿易相手国16カ国中、12カ国がアジアで、中でも中国と日本は、オーストラリア全輸出のほぼ60%を占める。これまで10年間、リーの予測は間違いで、オーストラリアは、終始アジアとの重要なつながりを維持しながら、アメリカの大義への献身という綱渡り芸を維持しようとしているように見えた。
政治では、一週間が長時間ならば、12カ月は、まるで一生のように思われるはずだ。オーストラリアの中国との関係は大きく変化している。2018年、中国がオーストラリア首相や彼のどの閣僚も北京招待を拒否した初期兆候があるが、その移行が一体いつ始まったか正確に特定するのは困難だ。両国の指導部が国際会議で出会った際、オーストラリアは、あからさまに言えば、中国に無視された。
オーストラリア首相が、今世界に押し寄せているコロナウイルスの起源における中国の役割を、軽率にも公的に問うて、状態は更に悪化した。彼がそういう行動をしたのは、アメリカのドナルド・トランプ大統領にけしかけられたのは、ほとんど疑いようがない。もっともなことだが、激怒した中国から見て、ほとんど正当化の余地はない。それ以後のあらゆるウイルスの起源について知識が、中国の見方を裏付けているが、オーストラリア首相からは撤回も謝罪の一言もない。
2020年中、中国は次第にオーストラリアからの輸入を禁じたり高額関税を課したりした。上辺の理由は中国が体裁の悪いものを隠しているだけだ。明らかにオーストラリア輸出に損害を与えることが狙いで、それは成功し、中国に輸出された商品の量は、2020年から2021年に劇的に減った。
影響を受けたのは輸出だけではなかった。中国はオーストラリア大学で、外国人学生の最大源、数十億ドルの財源だった。文字通り何百人ものオーストラリア大学職員がここ数カ月で解雇された。中国政府は、他の国で教育を受けるよう学生に助言している。
オーストラリア政府の反中国政策は、オーストラリアに対する中国投資にも及んでおり、今、中国の投資提案は、決まったように不許可になる。
この過程の奇妙さの一つは、彼らの輸出収入や中国学生や海外投資で起きていることをオーストラリア主流メディアがほぼ完全に沈黙していることだ。自国経済に対する、この膨大な損害に、主流メディアと政治家が極めて静かなのは不思議だ。
オーストラリア商品を求めて行列している代替市場があるわけではない。オーストラリアのアジアの主要貿易相手国も中国に大きく依存しており、そのため中国との主要取り引きや他の関係を大きな危険にさらすようなことを、したり言ったり、しそうにない。
アジア世界自身が変化しており、近年非常に多くの貿易関係が出現しているが、中でも、上海協力機構は、おそらく最も有名だが、唯一の例からはほど遠い。アメリカ、日本、インドとオーストラリアの代替ブロックを作るアメリカの取り組みが最近復活した。だがオバマ政権時代、このようなブロックを作る独創的な試みが失敗したのと同じ理由で、失敗する可能性が高い。国益こそ全ての国の優性形質であり、アメリカのお世辞にもかかわらず、日本とインド両国は、心の中で、これを最重要と考えている。
中核的な問題は世界の経済変化の性質だ。欧米の影響力が勝った三世紀の後、重心はしっかりアジアに戻ったのだ。欧米は権力の損失を喜んでおらずが、日ごとに益々明らかになりつつあるパターンを変えようとして、益々必死で動いている。
そこで我々は、リーによるオーストラリアの未来の見方に戻る。オーストラリアは、明らかに、下落しつつある欧米にしがみつく政治選択をした。それは近代地政学上の大失敗の一つだったと分かるだろう。インドネシアとニューギニアを含め、オーストラリア近隣諸国、特に後者は、キャンベラに狼狽を引きおこし、着実に中国とのつながりを増している。オーストラリアはニューギニアが提携相手を変えたのを快く思っておらず、オーストラリアは、自国領のすぐ近くでの中国経済活動を、あからさまな警戒感で見ている。
自国の経済的繁栄を犠牲にして、益々アメリカとの「提携」に固執することに対して支払わねばならない代償という帰結的意味を、オーストラリア・メディアが認識している証拠は皆無だ。おそらく更に悪いことに、世界最有力の経済大国としての中国の再出現に対する最初の対応が、ある種の軍事的脅威と誤って語られているのだ。これは、オーストラリアが途方もない代償を払うことになる判断ミスだ。
ジェームズ・オニールは、オーストラリアを本拠とする元法廷弁護士で地政学専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/02/15/australia-s-china-relationship-facing-new-challenges/
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