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米英の対ロシア戦略におけるポーランドの役割(4/4)
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202102140002/
2021.02.15 櫻井ジャーナル
ここにきてアメリカの弱体化が明白になってきた。そこでEUとロシアは天然ガスの取り引きを通じて接近するが、これをアメリカやイギリスは許さない。バラク・オバマ政権がウクライナで2014年2月にネオ・ナチを使ったクーデターを実行した一因はここにある。
そこで、2015年にはロシアからEUへバルト海経由で天然ガスを運ぶ新たなパイプライン、ノード・ストリーム2の建設が決まり、すでに9割程度は完成している。その段階でアメリカは強引に建設を止めさせた。そのためにCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動も利用されている。
現在、EUではアメリカの私的権力に忠誠を誓う勢力が力を持っているようで、モスクワを訪問したEUのジョセップ・ボレル外務安全保障政策上級代表(外相)はアメリカ政府の意向に沿った発言をしている。その中でボレルはアメリカの傀儡であるアレクセイ・ナワリヌイを釈放するように求めたが、相手にされなかった。
ロシア/ソ連に対する攻撃のひとつの山場は1982年6月7日のロナルド・レーガン米大統領とポーランド出身のローマ教皇、ヨハネ・パウロ2世の会談だろう。両者はバチカンで50分間にわたって話し合い、ソ連圏の解体を早めるための秘密工作を実行することで合意している。
その2年前の9月にポーランドでは反体制労組の「連帯」が創設されているが、そこへはNEDなどを経由してCIAの工作資金が流れ込み、ローマ教皇庁や西側の労働組合が持つ銀行口座も利用されていた。イタリアの大手金融機関だったアンブロシアーノ銀行やバチカン銀行(IOR/宗教活動協会)から連帯へ不正送金されていたことも発覚している。(David A. Yallop, “In God`s Name”, Poetic Products, 1984/日本語版では送金が違法だったとする部分は削除されている)
バチカン銀行の不正行為で中心的な役割を果たして身のポール・マルチンクス頭取。マルチンクスはローマ教皇パウロ6世(ジョバンニ・バティスタ・モンティニ)の側近で、このパウロ6世はモンティニ時代からCIAと緊密な関係にあった。
また、当時のポーランドでは入手が困難だったファクシミリのほか、印刷機械、送信機、電話、短波ラジオ、ビデオ・カメラ、コピー機、テレックス、コンピュータ、ワープロなどが数トン、ポーランドへアメリカ側から密輸されたと言われている。(Carl Bernstein, “The Holy Alliance,” TIME, Feb. 24, 1992)
連帯の指導者だったレフ・ワレサも自伝の中で、戒厳令布告後に「書籍・新聞の自立出版所のネットワークが一気に拡大」したと認めている。(レフ・ワレサ著、筑紫哲也、水谷驍訳『ワレサ自伝』社会思想社、1988年)
フレデリック・ショパンやアンジェイ・ワイダを生み、大国と戦ってきた弱小国と考える人が少なくないポーランドだが、20世紀おける米英の対ロシア/ソ連工作では重要な役割を果たしてきた。そのポーランドが置かれた現在の状況は厳しいが、それはポーランド人自身が招いたことでもある。(了)
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