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サウジ以上の産油国であるベネズエラをバイデン政権が狙っている可能性は大きい
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2021.01.28 櫻井ジャーナル
石油を含むエネルギー資源は現代社会を支えている。どの国もエネルギー資源がなければ存続しえない。ジョー・バイデン政権もエネルギー資源の支配に力を入れるだろう。アメリカがエネルギー資源を支配、石油や天然ガスの供給を止めることができるということになれば、多くの国はアメリカの命令に逆らえなくなる。
アメリカにとって石油はそれ以上の存在でもある。ドル体制を支えてきたのだ。基軸通貨であるドルを発行する特権によってアメリカの支配力は支えられてきた。
1971年にリチャード・ニクソン大統領がドルと金の交換を停止すると発表、金という後ろ盾を失ったドルが基軸通貨の地位に留まることができたのはそれなりの仕掛けがあったからである。
そのひとつは金融規制の大幅な緩和によって投機市場を肥大化させたことにあり、もうひとつは石油取引の決済をドルに限定させたことにある。アメリカはサウジアラビアをはじめとするOPEC(石油輸出国機構)に決済をドルに限定させ、その代償としてその国の防衛だけでなく、支配者の地位と収入を保障したのだ。
産油国に集まったドルはアメリカの財務省証券や高額兵器を購入するなどという形でアメリカへ還流、また産油国を支配する人びとの預金や投資という形で金融システムや投機市場へ流れ込む。それによって現実世界に流通するドルを減少させ、ドルを発行する余裕を作ることができる。
アメリカを中心とする支配システムにおいて、サウジアラビアの果たしている役割は大きいというこということだが、現在、サウジアラビアで大きな影響力を持っているモハメド・ビン・サルマン皇太子はサルマン国王の息子。新自由主義の信奉者で、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とも友好的な関係にある。2016年のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプが勝ったことを受けてビン・サルマンは皇太子になったことを考えると、昨年の選挙でトランプが敗北した影響は避けられないだろう。
ビン・サルマンは腕力で物事を解決しようとする傾向があるが、イエメンへの軍事侵攻はサウジアラビアを疲弊させている。イエメンでサウジアラビアと戦っているフーシ派は2019年9月にUAV(無人機。ドローンとも呼ばれる)と巡航ミサイルでサウジアラビアのアブカイクとハリスにあるアラムコの石油処理施設を攻撃、サウジアラビアの屋台骨が揺らいだ。
この施設の周辺には88基のMIM-104 ペトリオット・システムが配備され、ペルシャ湾にはアメリカ海軍に所属する3隻の駆逐艦(イージス艦)がいたのだが、機能しなかったということだ。サウジアラビア王室のアメリカに対する信頼度が低下して当然だ。
アメリカ国内の情勢もサウジアラビアに悪い影響を及ぼしている。バラク・オバマ政権やジョー・バイデン政権はネオコンの影響を強く受けているが、そのネオコンの暴力的な手法が失敗、状況を悪くしたのである。
バラク・オバマ政権時代の2014年2月にアメリカはウクライナでクーデターを成功させた。ネオ・ナチを使ってビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除して傀儡政権を作り、ロシアとEUとの関係を断ち切ろうとしたのだろう。ロシアとEUを結びつけているのは天然ガスだ。
同じ時期にアメリカ政府はイギリス政府と共同で中国に揺さぶりをかけた。香港で反中国政府の「佔領行動(雨傘運動)」を仕掛けたのだ。共通の敵が出現したことでロシアと中国は接近し、戦略的な同盟関係に入った。
しかし、ヤヌコビッチの支持基盤だったウクライナの東部と南部の制圧にアメリカは手間取る。オデッサでは住民を虐殺して制圧したが、東部では戦闘が続き、クリミアはウクライナから離脱した。キエフの惨状を知ったクリミアの住民がいち早く動いた結果だ。
クリミアはロシアの黒海艦隊が拠点にしてきた。このクリミアを制圧することでロシア軍を追い出そうとアメリカ政府は考えたのだろうが、失敗に終わった。
西側ではロシア軍が軍事侵攻したと宣伝されたが、2014年当時、1万6000名のロシア軍が駐留していた。ロシアとウクライナが1997年に結んだ条約でロシア軍はクリミア半島に2万5000名までの部隊を駐留させられることになっていた。駐留していた部隊を西側は侵略してきたと宣伝したわけである。
クーデターを成功させたものの、ロシアにダメージを与えるという目論見には失敗したアメリカ政府は新たな経済戦争を仕掛ける。ロシアの資金源であるエネルギー資源の相場を下落させたのだ。ソ連を消滅させる際に成功した手口を再び使ったのである。
WTI原油の場合、2014年5月に1バーレル当たり110ドルを超す水準にあったが、年明け直後には50ドルを切る。2016年1月には40ドルを割り込んだ。値下がりが始まって間もない2014年9月11日にアメリカのジョン・ケリー国務長官とサウジアラビアのアブドラ国王は紅海の近くで会談、それから加速度的に下げ足を速めたことから原油相場を引き下げる謀議があったとも噂されている。
ところが、原油価格の下落はロシアでなくサウジアラビアやアメリカの経済にダメージを与えることになった。ロシアの場合、石油相場と同じようにロシアの通貨ルーブルも値下がりしたことからアメリカ支配層が望んだような効果はなかったのである。2014年にサウジアラビアは約390億ドルの財政赤字になり、15年には約980億ドルに膨らんだと伝えられている。
オバマ政権の政策を引き継ぐことが予想されたヒラリー・クリントンが2016年の大統領選挙で敗北したこともあり、サルマン国王は2017年10月にモスクワを訪問、ロシア製防空システムのS-400を購入したいという意向を伝え、ロシア側は受け入れる姿勢を示した。
サウジアラビアはイランとの関係修復にも乗り出す。イラクを仲介役にして話し合いをはじめ、2020年1月3日にはサウジアラビアへの返書を携えてイランのガーセム・ソレイマーニーがバグダッド国際空港に到着した。そのソレイマーニーをアメリカはイスラエルの協力を得て暗殺している。アメリカ政府はサウジアラビアとイランとの間で進んでいた緊張緩和の動きを壊したのだ。
バイデン政権は中東における攻撃の目標をシリアに集中しようとしているようだが、戦乱が拡大すると中東からの石油供給は困難になるだろう。地中海の東部、リビア、エジプト、パレスチナ、イスラエル、レバノン、シリア、トルコ、ギリシャに面した場所に膨大な天然ガスが存在していると言われているが、これで全てが解決されるとは言えない。
現在、石油の生産量はアメリカがトップだが、アメリカで大きな比重を占めるシェール・ガスやシェール・オイルは生産コストが高く、石油価格が下落するとビジネスとして成り立たなくなる。しかもこの生産方法は地下水を汚染して農業生産にダメージを与える可能性が高い。
現在、最も石油の埋蔵量が多いと言われている国はベネズエラである。第2位がサウジアラビア。バイデン政権、いやアメリカの支配者はベネズエラを制圧したいだろう。
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