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公明“黒い上級議員” 遠山清彦の本性
銀座高級クラブ常連、中国企業の“代理人”
週刊文春 2021/11/17
公明党の“プリンス”と呼ばれた遠山清彦元衆院議員(52)が、コロナ禍の緊急事態宣言中の深夜、銀座のクラブを訪れた問題で議員辞職したのは今年2月。
その後、コンサル会社の代表として再起を図る彼の前に立ちはだかったのは、東京地検特捜部だった。
8月4日、地検特捜部は遠山氏の会社や福岡県にある自宅などを家宅捜索した。
司法記者が解説する。
「端緒になったのは、太陽光発電関連会社『テクノシステム』による巨額詐欺事件です。金融機関から計11億円を詐取していたとし、今年5月に同社の生田尚之社長らを逮捕。その中で特捜部が着目したのは、生田と親しい遠山氏らが、テクノ人脈を起点に100件を超える日本政策金融公庫(以下、公庫)の融資の口利きに関わっていた問題です。その数は貸金業の仲介を“業”として行なっているレベルで、無登録だったことから貸金業法違反が家宅捜索の容疑となりました」
創価高校から創価大学に進み、英国留学も経験した学会エリートの遠山氏。2001年の参院選で、公明党公認で比例区から初当選した。その後、衆院に移り、安倍政権で財務副大臣など要職を歴任。昨年、比例九州ブロックから神奈川6区に鞍替えし、将来の代表候補と目されてきた。
ところが、宣言中のクラブ訪問で議員辞職を余儀なくされる。ただ、遠山氏は深夜の繁華街では以前から有名な存在だった。銀座クラブのオーナーが明かす。
「遠山氏は、座って5万円、10万円という銀座の“常連”です。ワインが好きで、とにかく自分が話題の中心にいたいタイプ。プライドが高く、異論を挟まれると不機嫌になるんです」
口利きを巡る2つのルート
資金繰りに窮した複数のクラブママから融資の相談を受け、「困っている社長がいたら、僕の名刺を渡していいから」と声を掛けることもあったという。
赤坂にある老舗の高級会員制クラブ。この店には、遠山氏と彼の元政策秘書が度々姿を見せていた。
「遠山氏は09年の衆院選で落選していますが、落選中は中国人の企業経営者から金銭面での援助を受けていたそうで、店の支払いはほぼその方だった。代わりに、帰化の手続きや業績が悪化した上場企業を傘下に収める相談にも乗っていました」(店の関係者)
そんな遠山氏の“飲み仲間”の一人が、テクノの生田氏だったのだ。
「19年9月に副大臣に就任して約1カ月後、生田氏は公庫融資の借り換えを遠山氏に依頼。銀座のクラブで、遠山氏に100万円を手渡しています。遠山氏は、当時の政策秘書に公庫窓口を紹介するよう指示。実際に公庫から約4億円の融資が実行されました。遠山氏は任意の聴取で『融資のお礼ではなく、政治家の私への支援』と説明していますが、特捜部は贈収賄での立件も視野に詰めの捜査を行なっています」(同前)
そして、捜査を進める過程で浮かび上がってきたのが、融資の口利きを巡る2つのルート。キーワードは「中国」である。
「遠山氏の中国関係のパイプは親中派が揃う党内でも随一。超党派の議連『日中次世代交流委員会』では会長も務め、毎年中国を訪問し、党幹部らと会談してきました」(公明党関係者)
その遠山氏ら公明党関係者が関わる口利きルート。一つは、テクノ相談役で、通販会社「日中eビジネス」元代表・K氏のルートだ。
「K氏は公明党の実力者・漆原良夫元衆院議員の元政策秘書を通じ、公庫融資の口利きを行なっており、企業側から融資額の3%を手数料として受け取っていた。漆原氏の元秘書はその中から報酬を貰い、総額は1500万円を超えると見られています」(同前)
もう一つが、テクノ最高顧問で、地球環境保全機構という団体を率いるM氏のルート。この団体は、かつて日中協力会の名称で活動していたという。M氏は山口組系暴力団の事務所に出入りする一方、公明党の重鎮、藤井富雄元都議の懐刀として政界に人脈を築いた。生田氏が遠山氏に100万円を渡した銀座のクラブにも同席していたとされる。
そのM氏本人が言う。
「遠山との付き合いは藤井先生の紹介で7年くらい前からです。彼はあんなことで議員辞職せず、神奈川6区で小選挙区を勝ち抜いていれば、国交相が約束されていた。(融資先の)中国企業は遠山が自分で見つけていました。100万円を渡す現場にも居ましたが、立件されるなんてあり得ません」
さらに――。
実は特捜部が今回、家宅捜索した先には、こんな企業もあった。
地検関係者が語る。
「検察当局が家宅捜索を行なった関係先の中に、長崎県と佐世保市が共同で推進しているIR事業に関わっていた会社が含まれているのです。遠山氏は、IR導入に反対だった公明党の中では、数少ない推進派の一人。公明党IRプロジェクトチームの座長も務めていた。九州の比例代表だっただけに、早くから長崎側にコミットしていました」
ここに一通のメールのコピーがある。19年12月に長崎県のIR推進室の職員が、東京出張で面談した人物や団体をリストアップし、関係者への報告として送ったものだ。メールには〈遠山衆議〉との記載があり、今回、特捜部の家宅捜索を受けた会社の代表らの名前も残されているのだ。
「オシドリの関係者と電話で」
「この会社に加え、特捜部が注目しているのは、香港のカジノ業者『オシドリ・インターナショナル・デベロップメント』と、遠山氏との関係です。同社のバックにも、共産党と近い中国の不動産グループが付いているとされますが、遠山氏はオシドリの“代理人”のような動きを見せていました。19年にオシドリが福岡市内で開いたIR誘致のイベントでは、遠山氏も挨拶しています」(同前)
今年8月の二次審査直前まで、長崎県のIR事業者として最有力視されていたオシドリ。ところが実際に選ばれたのは、「カジノ・オーストリア・インターナショナル・ジャパン」だった。
「審査直前、経済安全保障の観点から中華系業者が排除されたと言われますが、一方でオシドリを巡っては、渋谷区内の会社の銀行口座を舞台に不透明な資金移動の痕跡があったとされる。こうした動きにも遠山氏がどう関わったのか、捜査が進められています」(同前)
遠山氏は今年8月、小誌の取材にこう認めていた。
「長崎や佐世保の知名度もIR関係の方々にはなかなか広まっていなかった。香港に人脈のある私が現地の起業家にお声掛けし、それでオシドリが手を上げた。顧問契約はないですが、オシドリの関係者とは電話でやり取りをしています」
オシドリに事実確認を求めたところ、
「(遠山氏に)顧問料やアドバイザリー料等の如何なる名目においても金銭をお支払いしたことはありません」
政治部デスクが語る。
「今回の衆院選で、公明党は3議席増の32議席を獲得しました。しかし、朝日新聞に高木陽介選対委員長の秘書が税務調査を巡り国税庁に再三要望していた疑惑を報じられ、遠山氏の立件も迫っている。自民党が維新の会と接近する構えも見せており、党として厳しい状況に陥っています」
綱領で「庶民の党」と謳う公明党。だが、“黒い上級議員”の存在は、党の実態を露呈したのだった。
https://bunshun.jp/denshiban/articles/b1963
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