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2020年6月25日 05時55分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/37658
新型コロナウイルスに感染した人やその家族、医療従事者らへの差別や誹謗中傷を見て、「ハンセン病患者を官民が一体となって強制隔離した歴史の再現だ」と指摘する専門家がいる。「菌やウイルス=感染者という図式の下、患者自身も感染症と同様に『撲滅すべき敵』と見なされ、人権が無視される。同じ過ちを繰り返してはならない」と警鐘を鳴らす。(石原真樹)
「新型コロナ対策で、国は、住民の意識や価値基準に頼って外出自粛を要請するなどした。まさにハンセン病で行われた『無らい県運動』と同じ構図」。ハンセン病問題に詳しい内田博文九州大名誉教授はこう批判する。
官民一体でハンセン病患者を見つけ出し隔離した「無らい県運動」は1929(昭和4)年に愛知県で始まった。31年に患者の強制隔離を定めた「らい予防法」(旧法)が制定された前後から全国的に強化されていった。
国は住民に密告を奨励。患者は強制的に療養所に連れて行かれたり、地域でひどい差別を受けて療養所を選ばざるを得なくなったりした。国は戦後も第2次無らい県運動を展開、隔離政策を推し進めた。
「ハンセン病は感染力が弱いにもかかわらず、国が強制隔離を進めるために市民をあおり、市民は『隔離は良いこと』という誤った理解の下で積極的に参加した」と内田さん。市民はハンセン病を学ぶことなく恐怖感を膨らませ、患者や家族を加害者扱いし、長年にわたり深刻な差別を引き起こした。らい予防法(新法)が96年に廃止された後も、差別は続いているとする。
新型コロナでは、安倍晋三首相が記者会見などで「ウイルスとの闘い」という言葉を繰り返した。テレビでは感染症専門家が「クラスター(感染者集団)つぶし」「(感染者が)野に放たれる」など、患者を敵に見立てるような言葉を使った。患者の治療に当たった医療従事者の子どもが保育園への登園自粛を求められるなど、差別的な対応が各地で起きた。
内田さんは「科学や医学の知識のない市民は『うつるかもしれない』という漠然とした不安から、『感染者=感染させる人は加害者。自分は被害者』と考え、感染者や疑いのある人、集団に偏見を持つのは当然。それが差別、人権侵害につながる」と懸念。国の自粛要請に従わず外出や営業をした人に嫌がらせする「自粛警察」も同じ流れにあるとみる。
「外出自粛という国策を下支えしている自負があるだけに加害者意識は乏しく、思考停止になっている。それでは同じ過ちが繰り返される」と差別の実態調査や検証が必要だと訴える。
◆「正しい知識を学んでほしい」 元ハンセン病患者が訴え
「初めて差別を経験した人が、つらい思いをしているのでは」。ハンセン病回復者、石山春平(はるへい)さん(84)=川崎市宮前区=は、新型コロナ患者らへの差別が横行する状況を憂えている。
石山さんは小学6年の夏休みにハンセン病と診断され、診断書を提出した日に学校を追い出された。近所の子は家に近寄らなくなり、歩いていると石をぶつけられた。自宅の納屋で4年ほど過ごした後、静岡県の療養所・神山復生病院へ。
入所者には、家族を養うため療養所に行かなかったのに、住民に通報され、畑仕事の最中に無理やり連れて来られた人もいた。「患者が出て行った後、自宅には大量の石灰がまかれた。病気には何の効果もないのに。それを見れば、ハンセン病は恐ろしい病気だとみんな思う。家族も差別されるようになった」
差別をなくすために、知識を得ることが大事だと訴える。「コロナはまだ分からないことも多いから不安になるのも分かる。でも正しい知識があれば、患者への偏見はなくなるはず。ちゃんと学んでほしい」
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