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モデルナアームは9割が女性 コロナワクチンで起きうる皮膚の副反応を皮膚科医が解説
−現役皮膚科医がつづる “患者さんと一緒に考えたいこと、伝えたいこと”−
AERAdot. 2021/10/01 07:00
https://dot.asahi.com/dot/2021092800006.html
コロナのワクチン接種が進むなか、副反応についての情報が国民の関心事となっています。世界中で報告された副反応の論文などから、近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師が皮膚の副反応について解説します。
COVID−19に対するワクチンを2回接種した人が国民の5割を超えました。副反応で発熱が起きた人、注射部位が赤く腫れるモデルナアームを経験した人、さらにはわきの下のリンパ節が腫れた人など、さまざまな報告を耳にします。
私は皮膚科医なので、ワクチンの副反応と思われる皮膚疾患を多く診てきました。世界中から皮膚の副反応をまとめた報告が相次いでいます。そこで今回はCOVID−19に対するワクチンで起きうる皮膚の副反応についてまとめたいと思います。
まず最も有名な皮膚の副反応であるモデルナアーム。これは9割が女性というデータが国内外から出ています。出現時期は1回目の接種から1週間前後、2回目の接種からは1、2日後に起きやすいと言われています。ワクチンの種類ではモデルナで多いわけですが、ファイザーのワクチンでも報告があります。治療は抗アレルギー剤の内服とステロイド外用剤を用いるのが一般的です。
次に、じんましん。COVID−19に対するワクチンを接種した後にじんましんが出現した患者さんも多くいらっしゃいました。スペインからの報告では、ワクチン後のじんましんを経験した人は約3割が中等症以上だったようです。一般的にじんましんは抗アレルギー剤を内服すれば治まるのですが、これだけでは不十分だったようです。抗アレルギー剤を2倍量内服したり、ほかの抗アレルギー剤を併用したり、じんましん診療ガイドラインに従ってH2受容体拮抗薬を一緒に飲んでもらう症例もありました。ちなみに、じんましんはCOVID−19に感染した際も出現する皮膚の症状なので、ワクチン特有の反応ではありません。
はしかのようなブツブツも報告されています。私たち皮膚科医がよく診る皮疹の一つにウイルス疹と呼ばれるものがあります。さまざまなウイルス感染症にともなって皮疹が出現します。二重丸のように見える皮疹、多形滲出性紅斑(たけいしんしゅつせいこうはん)もその仲間です。COVID−19に対するワクチンを接種した後、このようなブツブツが出現した患者さんを多く診察しました。
ちなみに、はしか様の皮疹はファイザーのワクチンで多いようです。このような皮疹を診たときに難しいのは、COVID−19だけでなくほかのウイルス感染でも同様の皮疹が出現することです。血液検査で疑わしいウイルスに対する抗体値を測り、どれも違うと否定してはじめてコロナワクチンによるブツブツだった可能性が高まります。現段階では、状況証拠的にワクチンとの因果関係を考えるしかありません。
ワクチン接種後のヘルペスも多く報告されています。唇や陰部にできる単純ヘルペス、いわゆる「熱の花」というもの。また、帯状疱疹(たいじょうほうしん)も出現しやすいと報告があります。論文では、ワクチン接種後に13.8%の人がこれらのヘルペスウイルスの再活性化が起きたと報告されています。
ヘルペスの出現もコロナワクチン特有の副反応ではなく、COVID−19の感染でも報告されています。さらに、ほかのワクチンでのヘルペスウイルスの再活性化の報告例もありますのでコロナワクチン特有というわけではないようです。治療は一般的な帯状疱疹と同じです。この帯状疱疹ですが、帯状疱疹に対するワクチンも登場しています。本邦では50歳以上の人が適応となります。帯状疱疹は痛みが長く続く人も多く、防げるならそれに越したことはありません。
以上、コロナワクチン接種後に起きる代表的な皮膚の副反応についてまとめてみました。原因がなんであれ、上記のような症状が皮膚に起きれば治療は同じです。気になるブツブツが出たら皮膚科に受診するのが良いでしょう。
参考文献:Br J Dermatol. 2021 Jul 13;10.1111/bjd.20639. doi: 10.1111/bjd.20639.
大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman
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