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「認知症は予防できる!?最新研究とその方法」(みみより!くらし解説)/牛田 正史・nhk
2021年09月17日 (金)
牛田 正史 解説委員
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/454278.html
9月は世界アルツハイマー月間です。
アルツハイマー病などの「認知症」について。理解を深める期間とされています。
この認知症で最近、研究が進んできているのが「予防」です。
どうすれば認知症を予防できるのか、牛田正史(うしだ・まさふみ)解説委員がお伝えします。
【認知症が増加する中、予防の研究が進む】
今、認知症の人は増加し続けています。
9年前の2012年には462万人でしたが、去年は600万人を超えたと推計されています。(各年齢の認知症有病率が上昇する場合)
4年後の2025年には730万人と、65歳以上の5人に1人にのぼり、その後もさらに増加すると予想されています。
認知症は、本人や家族の生活に大きな影響を与えます。
例えば介護です。介護が必要になる主な要因で最も多いのは「認知症」です。
17%あまりと、「脳卒中」や「高齢による衰弱」などよりも多くなっています。
こうした深刻な事態が進む中で、今、研究が進んでいるのが「予防」です。
この予防、認知症の発症そのものを完全に防ぐことは残念ながらまだ難しいとされていますが、発症や進行を遅らせることが可能だということがより詳しく分かってきました。
【認知症の前段階にも注目を】
認知症は様々な種類があり差はありますが、認知症の中でも特に多いアルツハイマー病などは、ある日突然発症するわけではなく、時間をかけて徐々に進行していくと考えられています。
そもそも認知症とは、認知機能が低下して日常生活全般に支障が出てくる状態のことです。
実は脳が健康な状態から認知症の発症に至るまでの間には「前段階」があります。
それはどういう状況かと言いますと、例えば周りの人が気付くほどではないけど、軽い物忘れなど自分だけが異変に気付く。
あるいは、仕事や家事で物忘れやミスが増え、周囲の人が徐々に気づき始める、などといった段階です。
こうした時期を中心に、何らかの手を打っていけば、すべてではありませんが、発症や進行を遅らせることが可能だと考えられています。
【いつごろから予防は必要なのか?】
では、何歳のころから予防を実践するべきなのでしょうか。
日本老年精神医学会の前理事長で、アルツクリニック東京院長の新井平伊(あらい・へいい)医師は、特にアルツハイマー病について「慢性の疾患で徐々に進行していき、その途中で症状が明らかになるという長いスパンで考えるべきです。このため40代から50代の方々が対策を考えるのがとても重要になってきている。そういう時代だと思います」と話していました。
【認知症の危険因子とは】
では具体的に何をすれば、予防に繋がるのかをみていきます。
最新の研究から、何が認知症を進行させるのか、その危険因子が分かってきました。
去年、イギリスの医学誌「ランセット」で、改善可能とされる12の危険因子が公表されました。
例えば、高血圧や肥満は、そうでない人に比べて、認知症を発症するリスクが1.6倍にあがるといいます。
また、糖尿病は1.5倍。これらは生活習慣病と呼ばれますが、血管がダメージを受けることで、脳に悪影響を与えるなどと考えられています。
さらに聴力低下や抑うつ、社会的孤立はコミュニケーションが低下することなどで、リスクが高まると言われています。
認知症の要因はこれ以外にもいくつかあり、そのすべてを予防することはできないんですが、これらの要因を改善していけば、最大で認知症になる人の40%は、発症や進行を遅らせられる可能性があると考えられています。
【具体的な予防策とは】
そして、ここからは具体的な予防策についてお伝えしていきます。
WHO=世界保健機関は、2年前に初めて、認知症リスク低減などのガイドラインを公表しています。たばこやアルコールの抑制、それに高血圧や糖尿病の管理といった対処法が示されています。
そして、これらのガイドラインや研究を基に、専門家がまとめた、認知症全般のより具体的な対処法をご紹介したいと思います。
40年以上、認知症の治療にあたってきた新井平伊医師に聞きました。
まず「生活習慣病を治す」と「聴力低下の改善」。
先ほどもお伝えした通り、認知症の大きな危険因子とされるので、それを改善することが必要です。
特に新井医師は、糖尿病が脳にダメージを与える“最大の敵”だとして、生活習慣の改善などに取り組んでほしいとしています。
▽次に「お酒とたばこの抑制」です。
新井医師は特に飲酒は、脳に直接的なダメージを与えると警鐘を鳴らしています。
一度に大量の酒を飲むより、毎日飲む習慣の方が深刻で、脳の萎縮を進めるおそれがあるといいます。物忘れを自覚したら、できるだけ飲酒を控えてほしいということです。
そして「適切な睡眠」です。
実は人間は、寝ている間に、脳の中の老廃物を、脳の外に洗い流しています。
これが寝不足になると、老廃物が脳にたまり続けてしまいます。
また寝すぎてもダメということで、新井医師は最適な睡眠時間は、おおむね6時間半から7時間だと話しています。
さらに「睡眠時無呼吸症候群」は、睡眠不足に陥り、脳卒中などを引き起こすおそれもあり、必ず治療してほしいとしています。
さらに「対人ゲーム」。
計算ドリルやパズルなど1人で行うものではなく、囲碁、将棋、トランプなど、人とのかけひきや会話を楽しむゲームというのがポイントです。
相手とコミュニケーションを取ることで脳が活性化するということなんです。
そして「運動」です。
認知症の予防でいうと、激しい運動よりも、呼吸しながらゆっくり行う有酸素運動が有効です。歌を歌いながらジョギングするなど、運動しながら頭も働かせる「ながら運動」は、より効果的だそうです。
また、今ご紹介した以外にも「社会参加」や「体重管理」なども重要だということです。
【認知症予防を実践する】
この認知症の予防については、地域で広げていこうという取り組みも始まっています。
東京・新宿区では、ことし4月に、認知症の専門医や大学の研究者が、予防法を実践する場を新たに設けました。
「健脳カフェ」と呼ばれ、例えば、写真や画像を基に過去の思い出を語り合ったり、みんなで体操をしたりして、予防プログラムを進めています。
認知症を発症した人や、その家族が集う場としては「認知症カフェ」が全国に作られていて有名ですが、こうした予防を実践する場はまだ限られています。
1人でも多くの人が、やってみようと思うきっかけになるような場が、今後、広がっていくことも期待したいと思います。
認知症は誰がなってもおかしくありません。
予防は早ければ早いほど良いということで、是非、多くの人に関心を持ってもらいたいと思います。
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