コロナ帝国と日本 2021年9月5日 田中 宇 2020年の初め以来、「コロナ帝国」が隠然と世界を支配し続けている。「帝国」とは、国家を超えた国際的な支配のことだ。その国の政府でなく、帝国の中心地の当局が、その国の政策を支配しているのが帝国の体制だ。顕然とした支配を「帝国」、隠然とした支配を「覇権」と呼ぶので、コロナ帝国というより「コロナ覇権」と呼ぶべきかもしれない(わかりにくくなるので題名はコロナ帝国にした)。コロナ(新型コロナウイルス)は表向き、世界的な伝染病・感染症だ。WHOや国連など「世界的な上の方」は、世界の人々がおそろしい感染症にならないよう、各国政府に都市閉鎖や外出禁止、マスク義務、ワクチン接種の義務化、店舗の強制休業などの政策をとらせている、というのが建前だ。しかし実際、コロナの「おそろしさ」は誇張されたものであり、コロナ危機が延々と続くような仕組みが作られている。おそろしさを誇張して義務を強要するのがコロナ帝国のやり方だ。 (“It’s all for your own good”) (The medical-industrial complex, like the military-industrial complex, is a threat to democracy)
誇張の手口は偽陽性の放置だ。コロナ感染の有無を判断するPCRなどの検査は偽陽性がとても多い。世界的に陽性者の大半が偽陽性で、コロナでないのにコロナと誤診されている。そしてWHOなどは、偽陽性多発の状況を改善せずずっと放置してきた。発熱や肺炎でも、偽陽性なら他の病気だ。しかし現状では、真の陽性か偽陽性か確かめられず十把ひとからげにコロナの感染者とみなされ、コロナが大変な病気であると誇張する喧伝に使われている。偽陽性の問題を解決せずコロナの問題を実際よりはるかに大きいものに見せておく巨大な詐欺の策略は、WHOなど世界の上の方の国際筋が、各国政府(とくに欧米諸国の政府)に強要しているものだ。各国政府は、WHOなど国際筋の意向を無視してコロナの誇張や詐欺をやめていくことが難しい。この点が、コロナの政策に関して国際筋が各国政府を支配しているコロナ帝国体制の中心にある。(米国などはコロナ判定用のPCRをやめていく方向だが、PCRの代わりにどんな検査が主流になるのかまだ見えてない) (コロナ危機誇張の要諦はPCR検査) (PCR検査をやめ、より巧妙な誇張へ?) 世界各国で毎日たくさんの人がコロナに感染していると報じられている。しかしそのほとんどは偽陽性であり、本当は感染していない。コロナウイルスは一般に半年ぐらいで流行が終わる。新型コロナのウイルスがいまだに地球上に存在しているかどうかわからない。新型コロナがもう存在していないなら、陽性者のすべてが偽陽性だ。発熱や肺炎のすべてが他の病気だ。これは確かめようがないが、誇張することに政策の要点があるので、まだウイルスが存在しているかどうかはもはや重要でない。豪州などは厳しい都市閉鎖を続け、全国民にワクチン接種を強要しているが、それでも感染者(陽性者)が減らない。陽性者のほとんど(もしくはすべて)が実はコロナでない偽陽性なのだから、コロナを減らすためのいろんな策を厳しくやっても(偽)陽性者が減らないのは当然だ。(都市閉鎖は経済を自滅させるだけの愚策だが、それ以前の話だ) (永遠のコロナ) (Australian newspaper The Age comes out against extended lockdown in fiery editorial) コロナ危機は、偽陽性多発の仕組みによって意図的に誇張されている。偽陽性多発の仕組みがある限り、都市閉鎖などの対策をやってもやらなくても偽陽性は減らず、コロナ危機が解決している感じが醸成されず、危機が延々と続く。欧米の多くの国でワクチンの接種率が高まっているが、感染者(偽陽性者)が減っていない。接種したのに感染(実は偽陽性)する人が多発している。偽陽性はコロナウイルスの有無と関係なく発生するので、ワクチン接種者が増えても偽陽性者は減らない。ワクチン自体の効果を疑問視する声が多いが、それ以前に偽陽性多発のからくりが放置され、新型コロナウイルスがまだ存在しているかどうかも不確定なのだから、ワクチンの効果以前の話である。 (Top 2 FDA People Overseeing Vaccines are Quitting Because They are Being Ignored) (都市閉鎖の愚策にはめられた人類) 変異株が猛威をふるっていると喧伝されている。コロナウイルスは変異するものだが、変異するほど感染力が増すと同時に、病気としての威力・重篤性が低下する。変異するほど、感染しても発症しにくい弱いものになり、感染力が増すので短期間に社会全体・人類全体に感染して集団免疫に達する。ふつうなら最初の発症から1年も経つと、もう誰も発症しないウイルスに変質している。今回の新型コロナは、変異しても重篤性が維持されていることになっているが、これは事実なのだろうか。すでに書いたような新型コロナをめぐる詐欺的な構図から考えると、この話もきっと詐欺なのだろうと思えてくる。偽陽性多発の仕組みと、マスコミのプロパガンダ発信力を使えば、すでに「コロナのおそろしさ」の詐欺を軽信している人類に「変異種の猛威」を信じ込ませるのは簡単だ。 (Harvard Epidemiologist Says the Case for COVID Vaccine Passports Was Just Demolished) 「これは詐欺だ」と叫んでも無駄だ。私のように妄想屋のレッテルを貼られて終わる。WHOなど上の方がマスコミ権威筋を経由して喧伝する公式論から外れた話は、すべて危険な大間違い・陰謀論とみなされている。恐怖心を使って人々を軽信させている。巨大な詐欺の構図が世界的に確立しており、転換できない。欧米では、公式論から外れた行動をするコロナ否定論者たちが逮捕・解雇・差別されている。世界はすでに北朝鮮並みになっている。個人だけでなく、政府の上層部も、公式論から外れると内外の権威筋から猛批判されるので自滅策をやめられない。 (The Media's Addiction To COVID 'Fear Porn' Is Perpetuating An Ever-Worsening Cycle Of Societal Damage Across The World) (Vaccinated Australians To Be Granted New “Freedom”; Government Sanctioned “Hour Of Recreation”) コロナ危機は、医学のふりをした国際政治の策略だ。世界の上の方は、なぜこんな策略をやるのか。私の以前からの見立ては「これは隠れ多極主義の覇権転換策だろう」というものだ。世界の上の方(米英諜報界など)では昔(第一次大戦前)から、米英の世界支配の恒久化をめざす覇権重視派(帝国の側。軍産複合体)と、米英が自分らの覇権維持のために貧困地域に陥れ続けてきた非米側・発展途上諸国(人類の大半が住む地域)の経済発展を誘発するために米英覇権を自滅させようとする経済重視派(資本の側。隠れ多極主義者)との対立、帝国と資本の相克が続いてきた。コロナ危機は、資本の側が引き起こした謀略だと私は考えている。コロナ危機の開始以来、同盟諸国の外務省など軍産系の米覇権傀儡勢力は、各国政府内で冷や飯を食わされている。世界の上の方から各国へのお達しは、米覇権傀儡である外交官でなく、中共・隠れ多極のうっかり傀儡である医療専門家を経由して行われている。 (Israeli Study Shows Natural Immunity 13x More Effective Than Vaccines At Stopping Delta) (資本の論理と帝国の論理) 8月11日の記事に書いたようにコロナ危機は、アングロサクソン(米英など)とNATO(独仏など)の欧米諸国に経済と政治社会の両面で大打撃を与えている。半面、中国やロシアなど非米諸国の多くはコロナをうまく乗り越えて経済発展を再開しており、政治社会的にも強くなっている。コロナが長引くほど米国側から非米側への覇権転換や多極化が進む。コロナ危機の発生以来、人々の国際移動が極度に抑えられ、米国側のマスコミや諜報界が非米諸国で情報を集められなくなり、非米諸国の状況が見えにくくなっている。日本などではいまだに「中国(中共)はいずれ滅びる」と軽信している人がけっこういるが、実際は中国国内で習近平や中共が全権を把握し続け、共産党から自立した権威を持っていたネット企業や著名人らを次々に失墜させて独裁を強化している。国際的にも中国はユーラシア全域で覇権拡大してブイブイ言わせている。日本自身の国際的なジリ貧と対照的だ。 (アングロサクソンを自滅させるコロナ危機) (田中宇史観:世界帝国から多極化へ) 中国はロシアや途上諸国と組んで国連の運営権を米欧から剥奪している(トランプら米国側が国連を嫌って捨てた主導権を中国が拾った)。WHOは、コロナ危機開始から中国の影響力が強かった。加えて、ダボス会議で「大リセット」を提唱・推進してきた連中など、米欧側でコロナや温暖化の分野を主導している勢力は、米欧側を自滅させる策ばかりやっている。彼らは隠れ多極主義者である疑いが濃い。中共と、米欧の隠れ多極主義者が裏で組んでコロナ危機を長期化し、米覇権の自滅と中国の台頭、覇権の多極化を進めている感じだ。地球温暖化問題も、中国とダボス会議系が主導している。中国は温暖化対策をやるふりだけして実際は石炭を使いまくり、中東などの石油ガス利権をかき集めている。対照的に、欧米は石炭も石油ガスも原子力も放棄してエネルギー政策的に自滅している。温暖化問題も、多極化を加速するための巨大な詐欺である。 (大リセットで欧米人の怒りを扇動しポピュリズムを勃興、覇権を壊す) (コロナの次は温暖化ディストピア) コロナ危機前、アフガニスタンやイラクへの稚拙で過激な軍事侵攻の挙げ句に米国が軍事外交面の信用を(意図的に)失墜したテロ戦争や、金融バブルを膨張させて下手くそに潰してドル崩壊の始まりとなったリーマン危機、同盟体制や米中経済協調を潰したトランプ政権など、資本の側の謀略がいくつかあったが、いずれも1回の大打撃になったものの、そのあと米国覇権は延命しており、覇権潰しの決定打となっていない。それらに比べてコロナ危機は、米国の覇権が潰れるまでこれから何年でも、変異種だ何だと、米国側を経済と政治社会の両面から自滅させていく事態を継続させられる。 (ワクチン強制も超愚策) (米中逆転を意図的に早めるコロナ危機) これから重要になりそうなのは、欧米の各国政府が国民にワクチン接種を強要しているうちに、ワクチンのマイナス面が露呈していくことだ。ワクチンの効果がないことや、接種の副反応で死ぬ老人が実は多いのに隠蔽されていること、何度も追加のブースター接種をせねばならないこと、度重なる接種で自然免疫が低下して逆に感染しやすくなること、広範な接種によってワクチンが効かない変異種の発生が誘発されること、などのマイナス面が指摘されている。これらの一部が現実であると認められると、コロナワクチンは「人類史上最大の薬害」になる。危険を知りながら国民に接種を強要した欧米各国政府の「人道上の罪」が問われだす。ロシアのプーチンは先日、先を見越したかのように「ワクチン接種を国民に強要するのは間違っている」と表明した。 (Vaccine-Induced Covid Variants: The More the Scarier, the Better to Force Your Acceptance of Tyrannical Social Control) (Putin Opposes Mandatory Jabs, Says People Should Get Vaccinated Without Coercion) ワクチン強要が大間違いの人道上の罪、巨大な薬害であるとわかってくると、最初は「そんなことを言っているのは妄想屋だけだ」と言っていたマスコミ権威筋こそが大間違いの犯罪者であるという話になっていく。欧米は、都市閉鎖による経済的な自滅に加え、ワクチン強要などコロナの超愚策の愚策性の露呈による政治社会の混乱が加わり、欧米全体の弱体化や覇権低下、そして多極化が進む。コロナ危機は最初のころ、有事体制として政府権力者の優勢を増加させるものだった。だが今夏あたりから、ワクチン強制に加えて、次々に変異種が出てきて危機の長期化が確定的になり、コロナは政府の権力者にとってやっかいなものへと変質している。コロナ危機は、政府を優勢にする「前半期」から、厳しい対策をやっている欧米にとってマイナスが大きくなる「後半期」に入っている。 (Americans Have Traded Their Freedoms for Safety from COVID, And Now We Have Neither) (コロナ危機を長引かせる方法) 今後コロナが長期化するともに、いずれ米国でQEによる穴埋めの速度を上回ってインフレの悪化が加速していき、巨大な金融バブルが崩壊してドルが基軸性を喪失していく。米国側(米欧)は現時点ですでに、軍事的にも消費市場としても製造業でもエネルギー利権でも、中国側(中露)に比べて絶対優位でなくなっている。ロシアの迎撃ミサイルS400は米軍を不能にした。今後の世界最大の消費地域は中国主導のユーラシアだ。製造業も世界一は中国だ。中東などの石油ガスの多くが中露イランのものだ。金融バブルとドルが崩壊すると、最後に残っていた米国側の優位が失われる。コロナの長期化は、この多極化の過程を前倒しする。中共と、大リセット屋(諜報界の隠れ勢力)が組んでWHOを牛耳ってコロナを長期化して欧米を自滅させ、多極化を前倒している、というのが私の見立てだ。 (Absolute Power Is No Covid Safety Net) (中露のものになるユーラシア) (放置される米国のインフレ) 米覇権が十分に喪失して多極化が一段落したらコロナは終わる。それまであと短くて3年ぐらいか。当初からコロナは3-5年続くと言われていたが、すでに1年半が過ぎている。アングロサクソンやNATOの欧米諸国は、まだまだひどい目にあう日々が続く。中国とその傘下の諸国はこっそり発展していく。欧米と中国の間にいる日本はどうだろう。日本はこれまで、都市閉鎖やマスク強要、ワクチン強制などの厳しいコロナ対策をできるだけやらないようにしてきた。これは日本政府の意思というよりも、WHOなど世界の上の方(中共+隠れ屋)の意図が欧米潰しであり「中国が東アジアの覇権国になるなら日本は対中従属でいいですよ」と言っている親中的な日本に対して寛容だったからだ。 (Prepare For 3-5 Years of “Turmoil” Due To Credibility Collapse of Medical Establishment) (地政学の逆転と日本) 日本でもマスコミ権威筋はいまだに時代遅れの対米従属で、表向き中国敵視論が幅を利かせているが、実際の日本の権力層は安倍晋三の時代から米覇権衰退を見越し、対中従属を強めている。WHOなどを握る中国は、日本に欧米並みの自滅的なコロナ対策を取らせて潰すと、その後の日本にポピュリスト色が強い政権ができたりして何をしでかすかわからない(日本は追い詰めない方が良い)ので、日本を今のまま生かしておくことにしたのかもしれない。 (米国の中国敵視に追随せず対中和解した安倍の日本) 日本政府はWHOなどから寛容にやることを許され、都市閉鎖もやらず、ワクチン接種の普及も遅く、当初はPCR検査にも消極的だった。すでに書いたように、都市閉鎖もワクチンもPCRもやらない方が良いものだ。しかし日本の中でもマスコミや左翼・野党は、欧米のリベラル派と連動して、自滅性に気づかないまま「ワクチンやPCRをもっとやれ。厳しいコロナ対策をやれ」と言い続けてきた。日本政府が欧米並みの厳しいコロナ愚策をやらないことは「正しい」ことだったが、マスコミを軽信する人々はそう思わず「コロナに関して日本は劣等生だ」と勘違いしてきた。勘違いは今も強い。日本国内での劣等生のレッテルは、もともとカリスマ性がない菅義偉に対して貼られ、世界的なコロナの長期化が確定的になるほど菅の人気が低下した。 (永遠の都市閉鎖 vs 集団免疫) 菅は昨年、コロナと日米関係についてカリスマ性のある安倍晋三が続投するより、安倍が辞めてカリスマ性のない菅が「いないふり戦略」をやった方が良いという転換に基づいて首相になったが、このまま人気低下が続く菅が続投すると今秋の総選挙で自民党が負け、豪州並みの自滅的なゼロコロナ策などをやりたがる野党が勝つ事態になりかねない。それは日本全体の大損失になるので、自民党の政権を維持するため、菅が辞めて、もっと人気が出そうな河野あたりを首相にすることにしたのでないか。 (安倍から菅への交代の意味) 順当にいくなら、誰が次の首相になっても、日本は無意味な損失が少ない寛容なコロナ政策を続け、もっと厳しい策をやれとマスコミなど旧軍産筋から言われ続ける。だがそのうちに、厳しい策をやっている豪州など欧米の崩壊がひどくなり、日本は寛容な策で良かったという話になっていく。劣等生が実は優等生だったことになるが、それが公式論になるかどうかはわからない。格好つけたがる虚栄心が強い者が首相になって旧軍産筋に騙されるなどして、この順当な道筋が何かの理由で崩れると、日本も都市閉鎖やワクチンの強要など欧米・豪州のような間抜けな自滅策をやり出して国民が大損失をこうむる。 ('Zero COVID' catastrophe: participating nations see new records across the board) http://tanakanews.com/210905corona.htm
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