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<コラム 筆洗>丁半バクチの下手な男の小咄(こばなし)がある。(東京新聞)
2024年4月28日 06時58分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/324014?rct=hissen
丁半バクチの下手な男の小咄(こばなし)がある。この男が丁(偶数)と賭ければ半(奇数)、半と賭ければ丁と出る。
腹を立てた男はヤケになって丁と半の両方に賭ける。壺(つぼ)を開けるとサイコロが二つ重なって勝負なし…
品のないたとえだが、丁と半の両方に賭けるというのは外交の世界では珍しいことではないらしい。「賭場」は米大統領選である。トランプさんの勝利にも賭けたか。自民党の麻生太郎副総裁が大統領選挙に出馬しているトランプ前大統領と約1時間会談したそうだ。
岸田政権は再選を目指すバイデン大統領と良好な関係にあるが、選挙戦がどう転ぶかが見えず、トランプさんの勝利の可能性も見据えての会談と伝わる。日本としてはバイデンさんにもそのライバルのトランプさんにも賭けておこうというわけである。
英国なども既に「トランプ詣で」を済ませたそうだ。日米同盟を外交の基軸とする日本としては「次期大統領」との親密な関係は欠かせないのは理解するにしても丁半両方とはいささか品位には欠けまいか。
岸田さんは先の訪米でバイデンさんから歓迎を受けたばかりというのもきまりの悪い話だろう。麻生・トランプ会談を日本政府は「一議員の訪米で政府は無関係」と説明するが、それでバイデン政権が笑って納得してくれるか。バイデン再選の場合、先方にわだかまりも残りそうなバクチにも見える。
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