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2023年2月5日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/229381
<「約束」はいま〜英EU離脱から3年〜>
英国が欧州連合(EU)を離脱してから3年が過ぎた。「主権を取り戻す」とうたい、離脱すれば経済も暮らしも良くなると訴えた政治家たちのさまざまな「約束」はどうなったのか。現状を追った。(ロンドン・加藤美喜)
英国のEU離脱 2016年6月の国民投票で離脱賛成が52%に達し、20年1月末にEUを離脱した。移民の大量流入への危機感などを背景に離脱派は「主権を取り戻す」と訴えて賛成を広げた。しかし離脱後は労働力が不足し、EUとの貿易手続きも複雑に。先月の世論調査では離脱が「間違いだった」との答えが54%に上った。
◆緊急手術が16時間待ち
救急外来の待合室は疲れ切った表情の老若男女であふれていた。いすが足りず、多くの人が立ったまま痛みに耐えていた。英紙「バイライン・タイムズ」記者のジョサイア・モーティマ(29)は昨年10月、急性虫垂炎に襲われ、ロンドンの大学病院に電車と徒歩で駆け込んだ。救急車を呼んでも数時間は来ないと分かっていたからだ。
モーティマは「医師も看護師も不足していた」と振り返る。転倒して運ばれてきた高齢の女性患者は何時間も放置されていた。精神的に不安定となった患者が病院スタッフを平手打ちする光景も見た。モーティマは待合室で16時間激痛に耐えた末、ようやく「緊急手術」を受けた。
1948年に発足した国家医療制度「NHS」は誰もが無償で公的医療サービスを受けられ、英国民の誇りとなってきた。モーティマは元首相ボリス・ジョンソンらEU離脱派の約束を覚えている。「離脱すれば、EUへの週3億5000万ポンド(約550億円)の拠出金をNHSに回せる」。離脱の可否を決める2016年の国民投票を前に、この約束を掲げた赤いバスが全国を巡り、NHSを愛する国民の心を刺激した。
しかしEU側の首席交渉官だったミシェル・バルニエは「真実でない数字だった」と批判する。1日、ロンドンで回顧録出版の記者会見をしたバルニエは、離脱派の中心だった元英国独立党党首ナイジェル・ファラージに「あのバスの言葉はでたらめだ」と指摘したと振り返った。ファラージは「その通りだ。ボリスに『これは正しくない』と言った」と答えたという。
◆緊縮財政にコロナ禍の負担…看護師や救急隊員がスト参加
NHSは長年の緊縮財政に加え、新型コロナウイルス禍で負担が増加。さらに10%超のインフレが重なり、看護師や救急隊員らは賃上げと労働環境改善を求めてストに踏み切った。スナク政権はスト参加者の解雇も辞さない反スト法の成立を目指すが、モーティマは「過酷な環境で働く彼らを攻撃するのは間違いだ」と訴えた。
野党の調査では昨年、救急外来で12時間以上待った患者は過去最多の35万人に上った。王立救急医協会は「救急対応の遅れで毎週300〜500人が命を落としている」との見方を示し、衝撃が広がった。
英シンクタンク「ナフィールド・トラスト」は離脱によりEU諸国から来ていた医師4000人、看護師5万8000人が減ったと試算する。特に麻酔医不足の影響は大きい。ネット上には白内障やヘルニアなどの手術で「1年以上待ち」の経験を語る声があふれている。
首相のリシ・スナクは離脱3年に際し、「欧州で最速のコロナワクチン展開を実現し、独立国家としての道を切り開いた」と離脱の成果を強調した。しかし、3億5000万ポンドの約束に触れる政治家は誰もいない。
モーティマは「離脱の批判は、国民の意思を批判することになるため、野党も話題にしない」と指摘し、憤りを漏らす。「皆、離脱派の政治家がウソをついたと分かっているのに、責任はうやむやになっている」(文中敬称略)
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