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2022年8月29日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/198625
次々と届く子どもからの苦しみの声を、歌にし続けるシンガー・ソングライターがいる。千葉県我孫子市の悠々ホルンさん(35)。子どもの頃に不登校になり、自殺を2回試みた。夏休みが終わり、悩む子どもたちに「今の苦しみは一生は続かない。居場所は学校だけではない」と呼びかける。(鈴木みのり)
◆歌を聞いてくれた少年が自殺
2018年8月末、ある男子高校生が始業式前に自ら命を絶った。同級生からのいじめに苦しみ、ホルンさんの歌をよく聴いていたという。自殺後に届いた生徒の母親のメールで知らされた。母親は「なぜ学校に行かなくて良いと言わなかったのだろう」と、自責の念をつづった。
自分なりに子どもに向き合ってきたつもりだが、踏みとどまらせられなかった。「このまま活動していいのか」。半年間、ホルンさんは自問自答した。
◆自身も居場所なく、音楽が生きる支えに
両親から暴言を浴びながら育ったというホルンさんは少年時代、ストレスから慢性的な頭痛や腹痛に苦しんだ。「居場所がない」と自分を追い詰め、10代の時に2度、自殺を図った。
生きる支えは、ギターで音楽をつくる時間。思い浮かぶ言葉を口ずさみ、弦をはじくと曲ができた。不登校だった高校時代、バンドを結成し、卒業後の10年にソロデビューした。
ファンと交流するうち、親の暴力や学校での人間関係に悩む10代の声をよく聞いた。子どもの手紙やメールを受け付け、それをもとにつくった歌をユーチューブで公開するように。そんな時、男子生徒の自殺の知らせが届いた。
◆少年自殺の翌年、願い込め新曲公開
「親には子どもの苦しみを知ってほしい。子どもには同じ思いの仲間がいると感じてほしい」。翌年、こう願いを込め、新曲「助けて欲しいなんて誰にも言えなかった」を公開した。
平気そうな顔つくっているけど
本当はつらかった
逃げればいい相談すればいいと言われても
それができない できないんだ
ネットで「死にたい」と検索し、ホルンさんの曲にたどりつく子も多い。「リスカ(リストカット)してます」「生まれてこなければよかった」。寄せられた相談は8000件を超える。
◆「ゆっくり自分の道を探して」
内閣府自殺対策白書によると、18歳以下の自殺者数は夏休み明けの9月1日前後が突出して多い。学校の再開で動揺が生じやすいことが原因とされる。
ホルンさんは10代を振り返り、訴える。「生きるのが向いていないと思ってたけど、人生何があるか分からない。学校に行っても行かなくても、生きていれば失ったものを取り返せる可能性は残る。ゆっくり自分の道を探してほしい」
◇
夏休み明けのこの時期、NPO法人「フリースクール全国ネットワーク」などは9月9日まで、自殺防止キャンペーン「#学校ムリでもここあるよ」を実施し、子ども向けの相談窓口などを特設サイトで紹介。文部科学省や法務省も電話相談を受け付けている。
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