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アメリカの「銀行連鎖破綻」が、ソフトバンクグループに与える「意外な影響」に気づいていますか?/現代ビジネス
真壁 昭夫 によるストーリー ? 8 時間前
https://www.msn.com/ja-jp/money/other/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%81%AE-%E9%8A%80%E8%A1%8C%E9%80%A3%E9%8E%96%E7%A0%B4%E7%B6%BB-%E3%81%8C-%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%83%90%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97%E3%81%AB%E4%B8%8E%E3%81%88%E3%82%8B-%E6%84%8F%E5%A4%96%E3%81%AA%E5%BD%B1%E9%9F%BF-%E3%81%AB%E6%B0%97%E3%81%A5%E3%81%84%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%8B/ar-AA18LMOb?ocid=hpmsn&pc=EUPP_LCTE&cvid=83a17dbc812547fda6a5c633bd06e1ea&ei=14
ソフトバンクへの打撃
3月8日、米シルバーゲート銀行は事業を清算した。
10日には全米16位のシリコンバレー銀行、12日には同29位のシグネチャー銀行が破たんした。
特に、シリコンバレー銀行の破たんは、IT関連のスタートアップ企業に積極的に投資してきたソフトバンクグループ(SBG)にとって大きな環境変化だ。
規模は小さいもののシリコンバレー銀行などと取引を行った本邦企業に何らかの負の影響が及ぶ恐れは高まった。
「SVB」は、シリコンバレー銀行の略称〔PHOTO〕Gettyimages
「SVB」は、シリコンバレー銀行の略称〔PHOTO〕Gettyimages
c 現代ビジネス
一連の銀行破たんの背景には、2022年3月以降のFRBによる急速な利上げによって米金利が上昇し、過度なリスクテイクが裏目に出たことがある。
IT先端分野のスタートアップ企業の株価高騰など、強気相場は終焉を迎えつつある。
それは、過去にも繰り返されてきた。
ただ、今回は米国を中心に物価が高止まりしている。
それは2000年9月の米ITバブル崩壊、2008年9月のリーマンショック発生時の状況と決定的に異なる。
今後、米国で中小の金融機関の追加的な破たんが発生する可能性はある。
ITスタートアップ企業の業績も悪化するだろう。
それによって今すぐに米国経済が腰折れになるとは考えづらいものの、先行き不透明感は高まる。
投資環境の不安定感高まる中でSBGがどのようにリスク管理を強化し、新しい成長分野を開拓するかが注目される。
SBGとシリコンバレー銀行の共通項
SBGは創業者である孫正義会長の企業家の資質を見抜く力(眼力)を頼りに、人工知能=AIやシェアリングなど、高い成長が見込まれるITスタートアップ企業への投資を増やした。
一方、10日に破たんした米国のシリコンバレー銀行は、IT関連のスタートアップ企業との取引を強化して業績を拡大してきた。
業態は異なるが、シリコンバレー銀行とSBGには共通する部分がある。
2008年9月のリーマンショックの発生から2022年3月まで、一時的な利上げはあったが、米国では事実上の超低金利環境が続いた。
超低金利環境が長引くと考える主要投資家は増えた。
より高い利得を求め、事業規模が小さく、より高い成長が見込まれるIT関連のスタートアップ企業などに投資資金は流入した。
群集心理は膨張し、シルバーゲート銀行やシグネチャー銀行が取引を強化した暗号資産関連企業の高成長期待も高まった。
コロナ禍によってより大量の資金が金融市場に流入すると、ITスタートアップ企業などは株式の新規公開(IPO)を実施して資金を調達した。
調達された資金の一部は、預金としてシリコンバレー銀行に流れ込んだ。
一方、強気相場の鮮明化という大波に乗るようにしてSBGの投資事業も急拡大し、2021年3月期の純利益は4.9兆円に達した。
しかし、2022年春ごろから世界的にインフレ圧力は強まり、2022年3月以降、FRBは急激に利上げなどを行い金融を引き締めた。
米金利は大きく上昇し、株価は下落した。
ITスタアップ企業の資金繰りは悪化し“高成長神話”はしぼみ始めた。
SBGは投資資金の回収を急ぐなど、守りを強化している。
一方、シリコンバレー銀行は金利上昇リスクを軽視した。
その結果、保有債券の価値棄損、貸倒引当金の積み増しや預金流出などによって資金繰りは急速に悪化し、経営破たんに陥った。
アーム上場を急ぐSBGの狙い
一連の米銀破たんは、過度な強気相場が終焉を迎えたことを示唆する。
3月10日時点の予想ベースの株価収益率(PER)はナスダック100指数で24倍、S&Pで18倍と、過去の平均的な水準を上回っている。
相場の調整が本格化するのはこれからだろう。
そうした見方に基づき、SBGはリスク管理体制をさらに強化しつつ、英半導体設計企業のアーム上場に集中し始めた。
2023年にアームはナスダック市場への単独上場を目指す。
SBGは上場によって現金を積み増して財務内容を強化し、新しい投資機会を狙おうとしているはずだ。
注目される戦略の一つは、昨年11月末以降、急速に利用が増えている“チャットGPT”などの生成型AI関連企業への投資だ。
AIの能力向上には、より高性能なチップの設計技術が欠かせない。
そのためにアームの果たす役割は増えるはずだ。
先行き不透明感の高まる中、SBGは既存の投資先からの資金回収をさらに急ぎ、よりよい条件でのアーム上場を目指すだろう。
そう考える一因として、現在の世界経済の状況は、過去の相場調整局面と決定的に異なる。
鈍化はしているが、インフレ圧力は依然として強い。
2月、米国の消費者物価指数は前年同月比6.0%上昇した。
政策金利の引き下げは難しい。
インフレ鎮静化のためにFRBは慎重に金融引き締めを続けつつ、金融機関の破たん処理と景気後退リスクの高まりにも対応しなければならないだろう。
FRBにとって、金融政策運営の難しさは急速に高まっている。
世界的に株式市場の不安定感は一段と高まるだろう。
状況によっては、世界的に株価が下げ、SBGへの逆風が強まる恐れもある。
同社経営陣発言などを確認する限り、そうしたリスクへの備えを強化しなければならないという危機感は一段と高まっている。
それは、他の本邦企業にとっても他人事ではない。
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