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原油価格高止まりで「1バレル=100ドル超」予測続々…インフレ長期化でどうする植田日銀
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/319685
2023/03/08 日刊ゲンダイ
「楽観見通し」も黒田路線を継続か?(日銀次期総裁の植田和男氏)/(C)日刊ゲンダイ
植田日銀にとっては誤算か──。ちょうど1年前の7日、米国産WTI原油価格が一時、1バレル=130ドルを超え、13年8カ月ぶりの高値水準になった。ロシアのウクライナ侵攻が原油価格を直撃したのだ。
足元の原油価格は70ドル台後半で推移しており、インフレ鈍化の一因になっている。しかし、ここへきて、原油の供給不足への懸念が広がっている。
脱炭素の動きの中で、石油メジャーは石油など化石燃料への投資を絞ってきた。他方、世界第2位の石油消費国である中国がゼロコロナ政策を続けていたため、石油の需要は弱かった。需給はバランスしていたのだ。
ところが一転、中国がゼロコロナ政策を解除。原油の購入を急拡大させている。国際エネルギー機関(IEA)は今年の世界の石油消費量は過去最高を更新すると予想している。
中国需要「非常に強い」
6日付の米ブルームバーグは、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコのナセルCEOの「中国からの需要は非常に強い」との発言を報じた。アナリストらからは、今年下期までに原油市場が供給不足に直面するとの見方が出ており、ゴールドマン・サックス・グループや資源商社ビトル・グループなどは、今年後半に原油相場が1バレル=100ドルに上昇すると予想しているという。
「昨年の1バレル=130ドルはウクライナ危機による一時的なものでした。今年は旺盛な中国需要に供給面が追いつかないという構造的な原油高です。ショックが過ぎれば落ち着くという性質ではありません」(金融ジャーナリスト・森岡英樹氏)
1バレル=100ドルという高値が定着する可能性があるということだ。中国の2023年のGDP成長率目標は5%前後。原油需要をグイグイ牽引するはずだ。原油需要の復活を見込み、一部、化石燃料への投資拡大の動きがあるものの、すぐに供給が増えるわけではない。一時的な需給逼迫ではないのである。
日銀の植田次期総裁は輸入物価高によるコストプッシュ要因は今後減衰するとして「消費者物価上昇率は来年度半ばにかけて2%を下回る」との見方を示している。
「植田氏のインフレ鈍化の見通しに原油価格の高止まりが考慮されているのか分かりませんが、楽観的と言わざるを得ない。原油価格は1バレル=100ドル超の高値水準が長引く恐れがあり、昨年にはなかった事態です。原油高騰はエネルギーだけでなくあらゆるモノの価格を引き上げます。値上げラッシュの長期化を覚悟しておいた方がいいでしょう」(森岡英樹氏)
財布の紐をさらにきつく締める必要がありそうだ。
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