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次の節目は「1ドル=160円」24年ぶり安値更新で止まらない円安
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/311059
2022/09/09 日刊ゲンダイ
どこまで下がるのか(C)日刊ゲンダイ
急激な円安進行に歯止めがかからない。7日の東京外国為替市場の円相場は、一時1ドル=144円台前半に急落。1998年8月以来24年ぶりの安値を更新した。このまま円安が続けば、国民生活は大打撃だ。
鈴木財務相は7日、「(円安が)継続するとなると必要な対応を取る」と牽制した一方、円買い介入の可能性については「コメントしない」と明言を避けた。
もっとも、政府が日銀を通じて円買い・ドル売りする為替介入に踏み切ったとしても、米国などとの協調介入でなければ効果は限定的だ。そもそも、金融引き締め策を堅持する米国がドル売りを容認するとは考えにくい。
急激な円安に対し、もはや口先介入は無意味で、岸田政権は「打つ手なし」なのが実情だ。経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
「米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを継続するとの見方が強まる一方、日銀に利上げする気配はありません。日米の金利差が拡大するとの見方から、円を売ってドルを買う動きが急激に加速しています。市場は円安の節目のひとつとして、98年の1ドル=147円66銭を意識しています。早ければ今週中にも、その大台を突破するのではないか。次の節目は90年の160円20銭。日銀が金融緩和策を堅持する限り、歯止めがかかる要素はなく、160円台までズルズルと下落する恐れがあります」
輸入物価の高騰が家計を圧迫
問題は、円安による輸入物価の高騰だ。企業努力で販売価格を抑えられる段階を超え始めている。
大手寿司チェーン「くら寿司」はきのう、全国488店舗で提供している税抜き1皿100円のすしを創業以来初めて値上げすると発表。およそ50品目を税込み110円から115円に値上げする。王子ホールディングス傘下の王子ネピアは、ティッシュペーパーなどの家庭紙製品全品を来月1日出荷分から15%以上値上げ。食品大手のマルハニチロも業務用食品270品目の値上げに踏み切った。
物価高の悪影響をモロに受けるのが、生活必需品の支出割合が高い、年金生活者や低所得者だ。年収200万円以下の低所得者層の消費支出に占める生活必需品の割合は6割近くに達するという。特に最近は、食料など必需品が値上がりしているからなおさらである。
「日銀は『円安は総合的に見てプラス』との立場ですが、大企業は利益を新たな投資に回す活力もなく、国内消費は弱体化する一方です。政府は住民税非課税世帯へ5万円を給付するようですが、5万円程度では焼け石に水。円安放置政策のツケは家計へと重くのしかかっていくでしょう」(斎藤満氏)
みずほリサーチ&テクノロジーズの試算によると、1ドル=140円の円安水準が続いた場合、今年の家計負担は前年より平均7.8万円増だという。1億総ビンボー社会の到来か。
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