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ウクライナ危機の家計への影響は?「戦争が終わった後の方が厳しい」と専門家が警鐘
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/302989
2022/04/04 日刊ゲンダイ
輸入小麦は4割アップ
日本の小麦は約9割が輸入、買いだめも視野に(C)日刊ゲンダイ
ウクライナ危機は日本人の家計のピンチに拍車をかけている。原油高はとどまるところを知らず、小麦粉などの原材料は高騰。そこに資源高が追い打ちをかける。家庭の“必要経費”はアップするばかりだ。
農水省は3月、新しい「小麦価格」を発表した。日本の小麦は約9割を輸入に頼る。政府が一括して買い付け、製粉会社などに売却している。売り渡し価格は4月と10月の半年ごとに見直されるが、今年4月以降の売り渡し価格が9日に公表された。
1トン当たり7万2530円。前回(2021年10月)に比べ17.3%の上昇となった。1年前と比較すると39.7%アップだ。ものすごく単純に考えれば、小麦中心の商品は1年前より約4割ほど値上がりしても不思議のない状況だ。
小麦の輸出量はロシアが全世界の17%(世界1位)、ウクライナは12%(同5位)を占める。
「日本の輸入の大半は米国、カナダ、オーストラリアですが、現在、ロシアやウクライナから輸入している国々は他の地域からの調達を加速させます。価格高騰はますます激しくなるでしょう」(市場関係者)
第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏は指摘する。
「小麦粉はパンや麺類、ケーキ、ドーナツ、ギョーザの皮、天ぷらなど多くの食品に使われます。こうしたものを含む弁当や調理食品、うどん、そば、ラーメンなどの外食も影響を受けます。日本は小麦の8割以上を輸入に頼っています。世界でも8位に位置する輸入国です。ウクライナ・ショックによる小麦高騰からは逃れられません」
熊野氏は、輸入価格の影響を受けやすい小麦関連をピックアップ(総務省「消費者物価」の分類)している。トップはパンで、以下、麺類、中華そば(外食)、ケーキ、ギョーザ(外食)、カレーライス(外食)、調理パン、調理カレー、ビスケット、だいふく餅と続く。
身近な食品のオンパレードで、こうした食品の値上がりは家計を直撃する。
熊野氏は、年内の家計の負担増が2000円にのぼる(2人以上世帯)という。この程度ならまあ何とかなるか……と思ったら大間違い。小麦だけで、この金額に達するのだ。
現在はトウモロコシ、大豆なども急騰。穀物の代表的指数となるシカゴ市場(先物価格)は3月に入り、トウモロコシは3割、大豆は2割上昇。小麦は5割もアップだ。
原油高の負担増は5万円弱 ガソリン価格は最高値に迫る
家計にかなりの負担増(C)日刊ゲンダイ
価格上昇は穀物ばかりではない。不気味なのは原油だ。代表的な指標である米WTI原油先物価格は一時、1バレル=110〜130ドル水準で推移。恐ろしい調査リポートも出ている。
<今後の原油先物価格が平均1バレル=110ドル程度に落ち着くとすれば、今年から来年にかけての家計負担額は年プラス3.9万円程度にとどまる。しかし今後の原油価格が平均120ドルもしくは130ドル程度で推移すれば、今年から来年にかけての家計負担をそれぞれ年4.4万円、4.8万円も増加させる計算。足元の原油高が持続すれば、家計に無視できない悪影響を及ぼす>(第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏)
資源エネルギー庁によると、ガソリン(レギュラー)の店頭小売価格は1リットル=170円台に突入。一昨年4月の133.7円、昨年4月の150.3円から急上昇し、08年8月に付けた185.1円の過去最高値に迫る勢い。ガソリンは1リットル=200円を突破し、210円、220円、230円と高騰を続けるかもしれない。家計負担は5万円増程度では済まなくなる。
パラジウムやアルミなども最高値圏だ。
パラジウムは自動車排ガス触媒、ジュエリー、それから銀歯に利用されることが多い。この先、歯の治療代が高くなる恐れがある。いまのうちに歯医者で虫歯をチェックしたほうがよさそうだ。アルミはビールや清涼飲料水の缶や、鍋、フライパンなどに使われる。LED電球の口先にも利用される。ビールあたりは買いだめしておいたほうが家計のダメージは少なくて済みそうだ。
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