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東京五輪とコロナの二重苦でどんどん追い込まれる中小企業の苦悩 アフターコロナ 新サバイバル生活の知恵
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/292835
2021/08/04 日刊ゲンダイ
休業や閉店が相次ぐ…(C)日刊ゲンダイ
オリンピックとコロナ――二重の苦悩が始まったのは、東京・豊洲で飲食店を経営する大山仁一朗さん(55歳=仮名)。
「オリンピックは盛り上がっていますが、緊急事態宣言で酒類の販売もできません。本来なら入ってくるべき収入が入ってこないわけです。だから無観客開催が決まってすぐに倒産の手続きを始めました。ただ店を閉めても、昨年6月に返済猶予1年で借り入れたお金の返済は残ります」と肩を落とします。
大山さんのようにコロナ対策の融資がピークだった昨年6月に借り入れた人は、その分の返済が始まっているのです。そのうえ、仕入れ・配達用に購入した自動車や、厨房用機器のローンもあるそうです。こうした製品を売却しても、購入金額の半額以下にしかなりません。手元資金は融資返済にまわすしかなく、家賃や生活費の見通しも立たないと嘆きます。
支援策は複雑で分かりにくい
政府はいろいろな制度により支援しようとしていますが、複雑で分かりにくいです。
これから申し込みをしたい中小企業向けには、政府系金融機関の「実質無利子・無担保の特別融資制度」(据え置き期間は最大5年)の申請を今年12月まで延長しました。
しかし、すでに昨年、融資を受けた大山さんの場合は、借りた金融機関にきちんと返済しなくてはいけません。大山さんは途方に暮れています。
最近は金融機関も融資の条件を厳しくしています。
私も21歳からマンション購入や親の会社の継続のため、銀行に何度も訪問し借り入れのために頭を下げました。私や親戚、仕入れ先など事業を引き継いでくれそうな若い従業員と同行すると、銀行のローンの担当者は安心したようです。大切なのは、資格取得証明書を見せるなど、返済能力があることをアピールし、返済の開始時期を1年から2年にするなどできる限り待ってもらうことです。
また、前述の制度とは別ですが、日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」制度で借りた場合は、「特別利子補給制度」(最長3年間の実質無利子)と併用できます。売り上げが下がるなどの条件に該当すれば、この制度を利用できます。
注意点は返済がスタートするまでの据え置き期間は最大5年間ですが、これは元本のことで、利子は最大3年間ですので4年目から払わなければならないことです。利子と元本の返済を分けて準備しておかなければなりません。
柏木理佳 生活経済ジャーナリスト
1968年生まれ。生活経済ジャーナリスト。MBA(経営学修士)取得後、育児中に桜美林大学大学院にて社外取締役の監査・監督機能について博士号取得。香港、シンガポール、豪州、中国に滞在し、世界15カ国の人と働いた経験を持つ。著書は「ひきこもりは“金の卵"」(日経BP)、「デキる女にはウラがある」(あさ出版)など多数。
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