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EU、35年にガソリン車販売禁止 50年排出ゼロへ包括案
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参照先 : http://gansokaiketu-jp.com/kaihen-kankyouhogo-kankyouihen-kokunaigai/kankyouhogo/kokkaya-kunigarenkeishiteno-kankyouhogo---kankyou-kaizen/wforum.cgi
【ブリュッセル=竹内康雄、フランクフルト=深尾幸生】欧州連合(EU)の欧州委員会は14日、温暖化ガスの大幅削減に向けた包括案を公表した。ハイブリッド車を含むガソリン車など内燃機関車の新車販売について2035年に事実上禁止する方針を打ち出した。環境規制の緩い国からの輸入品に事実上の関税をかける国境炭素調整措置(CBAM)を23年にも暫定導入する計画だ。
・・EUの主な気候変動対策・・
*2035年に内燃機関車の販売を実質禁止
*国境炭素調整措置の創設
*EU排出量取引制度で海運業も対象に
*道路交通・ビルを対象にした新たな排出量取引制度
*再生エネ普及目標を40%に引き上げ(現行は32%
、最終エネルギー消費比)
*エネルギー効率を36〜39%に引き上げ(現行は
32.5%、ベースライン比)
*航空燃料を対象にエネルギー税を改正
*炭素価格上昇に伴う弱者への救済基金設置
欧州ではEVの普及が進む(独フランクフルト)
https://gansokaiketu-jp.com/Gazou/nikkei-keisai_2021-7-15_1-6-33_No-00.gif
欧州委案が成立するには、原則として加盟国との調整や欧州議会の審議を経る必要がある。企業や域外国の反発も避けられそうにない。
欧州委の政策パッケージは、30年までに域内の温暖化ガスの排出量を1990年比55%減らす目標を実現するための対策だ。2030年目標は50年に排出実質ゼロにする目標の中間点となる。フォンデアライエン欧州委員長は14日の記者会見で「化石燃料に依存する経済は限界に達した」と述べ、速やかに脱炭素社会を実現すると表明した。
重点を置くのが自動車などの運輸部門の削減策だ。EUの排出量取引制度の対象である発電や産業部門の排出は減っているものの、対象外の運輸部門の排出は増えているためだ。欧州委はガソリンやディーゼルといった内燃機関車について、35年に事実上禁止することを提案した。自動車のCO2排出規制を同年までに100%減らすよう定める。自動車メーカーは対応を迫られる。
30年時点の乗用車のCO2規制も強化する。EUは19年に21年比で37.5%減らす目標を決めたばかり。だが50年に域内の温暖化ガス実質ゼロの実現に向け、目標の深掘りが欠かせないと判断し、55%に引き上げる。65%などの案も検討したが、自動車メーカーや一部の加盟国に配慮して水準を弱めたようだ。
欧州委の目標に自動車業界は反発を強める。ドイツ自動車工業会のヒルデガルト・ミュラー会長は7日の記者会見で「35年にCO2をゼロとすることはハイブリッド車を含むエンジン車の事実上の禁止だ。技術革新の可能性を閉ざし、消費者の選ぶ自由を制限する。多くの雇用にも響く」と訴えた。
独フォルクスワーゲン(VW)のヘルベルト・ディース社長は13日、「禁止への備えはできているが相当厳しい。電池生産の急激な立ち上げが必要になる」と述べた。VWは30年に欧州で新車販売の6割を電気自動車(EV)にする計画で、30年までに6つの電池工場を新設する。
トヨタ自動車は5月に30年の欧州新車販売に占めるEVの比率を40%にする計画を発表したばかり。前提が変わることで、同社幹部は「戦略練り直しは避けられない」と話す。ハイブリッド車がようやく浸透し、シェアが高まっているなかでの急激な戦略転換は痛手で、電動化で不要となる英国とポーランドに持つエンジンや変速機の工場への影響も避けられない。
EU内での地域間格差是正も課題となる。欧州自動車工業会(ACEA)によると、20年のEUの新車販売に占めるEV比率は5%。オランダの21%を筆頭にスウェーデンが10%、独仏が7%とけん引するが、ギリシャやポーランドは1%にも満たず、東欧や南欧の多くの国が2%以下にとどまる。充電インフラは7割が独仏オランダの3カ国に集中している。
欧州委は燃料面からも運輸部門の排出減を促す。自動車とビルの暖房用の燃料を対象にした新しい排出量取引制度を設け、CO2排出にかかる炭素価格を上乗せする。燃料の消費を抑える一方、電気自動車(EV)などゼロエミッション車への移行を促し、運輸部門の排出をゼロに近づける。
EUには産業や電力など大規模施設を対象にした排出量取引制度がある。だが炭素価格の上昇による燃料費の高騰が低所得層の家計を圧迫しかねないとの批判もあり、当面は別建ての制度とする。従来の排出量取引制度では海運を新たに対象とする。
欧州委が導入を目指すCBAMは国境炭素税とも呼ばれる。当初は鉄鋼、アルミニウム、セメント、電力、肥料の5製品を対象とする方針。2023年からの3年間を移行期間として暫定的に始め、事業者に報告義務などを課す。26年から本格導入され、支払いが発生する見通しだ。欧州委は30年時点でCBAMに関連する収入を年91億ユーロ(約1.2兆円)と見込む。
制度案では、EU域外の事業者が環境規制が十分でない手法でつくった対象製品をEUに輸出する場合、EUの排出量取引制度に基づく炭素価格を支払う必要がある。製品の製造過程における排出量に応じた金額を算出し、事業者に負担させる。EUの炭素価格を支払えば、EU域内外の負担が等しくなるという考え方だ。
制度の目的は、域内外で公平な競争環境を守ることだ。温暖化ガス排出削減の厳しい目標を持つEUと規制の緩い地域では、同じ製品をつくるにしてもコストに差が出る。規制の緩さを利用して廉価な製品がEUに流入すれば、EUに拠点を置く企業に打撃になる。EU企業が厳しい規制を嫌って域外に流出する「カーボン・リーケージ」の可能性も高まる。
〜画像〜〜〜
EUの主な部門の二酸化炭素、排出量
https://gansokaiketu-jp.com/Gazou/NIKKEI-KEISAI_2021-7-15_1-36-5_No-00.gif
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