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70歳まで働く時代で給料はどうなる?収入増で年金減額の可能性も…メリット&注意点を解説
https://biz-journal.jp/2021/04/post_218356.html
2021.04.06 18:20 文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト Business Journal
「gettyimages」より
2021年4月から、ビジネスパーソンにとって気になる法律が施行された。「改正高年齢者雇用安定法」、簡単に言えば70歳までの就労機会を確保せよ、と企業に“努力義務”を課すものだ。
これまでは事業主に対して、65歳まで定年引上げか継続雇用制度の導入、あるいは定年廃止のいずれかを義務付けていた。みなさんの会社でも、60歳を超えても会社に残っている先輩たちは多いのではないか。
「高年齢者雇用安定法」の背景にあるのは、やはり少子高齢化だ。この先、働く現役世代が減少するとなれば、元気な高齢者に働いてもらわないと社会の経済活動が維持できない。また、働くことで年金以外の収入を得てもらえば、多く消費する側にも回れる。そこで、60歳で定年を迎えたとしても働く意思があれば65歳までは会社に残ってもらいましょう、というのが企業に課せられた義務だったわけだ。
4月からの新たな制度はちょっと違う。上の2つ(定年引上げ・継続雇用)を70歳にするほか、社員ではない立場での業務委託や、自社や関連団体への社会貢献事業に従事させるなどの措置も含まれる。企業がずっと雇用をし続けなくてもいいということだ。
しかも、今回は努力義務ということもあり、企業側が対象者を限定する基準を設けることが可能という。残れる人材を企業側が決めていいのだ。とはいえ、「会社が必要と認めた者に限る」「上司の推薦がある者に限る」「男性(女性)に限る」「組合活動に従事していない者に限る」などは基準として不適切とされ、会社と過半数労働組合等との間で十分に協議した上で、労組等の同意を得ることが望ましいとしている。法律はできたが、無条件で70歳まで働けますよ、ということではなさそうだ。
また、働けるようになるといっても、給料はそのままとは限らない。「令和2年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)によれば、男性の給料のピークは55〜59歳で約42万円、女性は50〜54歳の約27万円となっており、そこから下がっていく。60〜64歳では男が31.4万円、女23.2万円と、特に男の減収が大きい。65〜69歳に至っては27.5万円にまで下降する。ピーク時の約65%ほどだ(年金受け取りとの兼ね合いもあるが)。
これはあくまで平均額であり、こういう数字はかなり高めに出ると思っておいた方がいい。しかも、まだ改正法施行前の数字なので、65歳以降まで給与をいただけているのは、かなり恵まれた待遇の人たちと推測される。
■70歳まで働くメリットとは
とはいえ、長く働けるのは幸いなるかな、である。まずはメリットを見ていこう。
なんといっても、年金以外の収入があることだ。そもそも年金は毎月振り込まれるわけではなく、偶数月に2カ月分がまとめて入ってくる。「お金が入ったらすぐ使う」タイプの人には若干不安だろう。毎月いただけるお金があれば、うっかり使いすぎても安心できる。年金は受給開始時期を繰り下げれば受取額を増やすこともできるので、働き方によってはそういう選択もありだ(ただし、繰り下げ方によって、その時期は配偶者への加給年金が受け取れないなどのケースもあるので、事前に年金事務所などに確認を)。
また、企業に雇用されて社会保険に加入し続けられれば、健康保険料は労使折半となり負担が軽くなる上、扶養家族の健康保険分もカバーできる。病気やけがで働けなくなったときには、傷病手当金も受け取れる。雇用保険に加入すると、スキルアップとして資格を取る際に補助金が使える教育訓練給付金制度の対象にも。介護のために休むときにも給付が出る介護休業給付金制度も、要件を満たせば使える。
ただし、社会保険に加入しない働き方、たとえばフリーランスや自営業者となって業務委託を受ける等の場合は、こうした制度の対象外だ。まだ先のことにはなるだろうが、よく理解した上で働き方を選択する必要がある。
何よりも、働くことで社会とつながり続ける、自分の居場所があるという安心感は大きいだろう。
■デメリットや注意点も考えておく
もちろん、いいことばかりではない。収入が増えると年金が減らされてしまう「在職老齢年金」という仕組みがある。そもそも年金とは生活を支えるためのお金なのだから、ほかに一定の収入があるなら減らしてもいいでしょうという理屈だ。65歳以上の場合、年金額+給与額が月47万円を超えると年金が支給停止(一部あるいは全額)になる。
また、収入が高くなれば税金などの負担も上がる。最近よく聞くのが「現役並みの所得がある高齢者には負担をしてもらいましょう」という声だ。70歳以上で現役並みの所得がある人は、健康保険の高額療養費制度(高額な医療費がかかった場合でも全額負担をしなくてもいい制度)の自己負担限度額が引き上げられた。75歳以上の医療費も、年収200万円以上の人を対象に2割負担とする方向だ。70歳を超えてまで働き続け、相応の所得を得ると負担も増えることになる。
とはいえ、これからどんどん高齢者が増え、医療費も膨大に増えていくのは自明で、「元気な高齢者は長く働いて、さらに上の高齢者を支えてほしい」というのが国の本音だろう。現役世代の若者が減っているのだから、仕方がないといえば仕方がないが……。
■“生涯現役”時代に突入、その前に必要なことは
日本の平均寿命は男81.41 年、女87.45 年となっている(2019年)。しかし、今年40歳の男性なら82歳超え、女性なら88歳までは生きられそうだ。60歳でいったんリタイアしても、まだ20年以上もある。確かに働けるなら働き続けた方がいい。
スムーズに働き続けるためには、最初の定年を迎える前に準備は必要だろう。もし、定年時と同じ会社のまま継続雇用や業務委託で働くつもりなら、職場といい関係を築いておかなくてはいけない。今の部下や後輩から仕事を回していただく立場になるかもしれないのだから、管理職時代の意識のままでは難しい。大した仕事もしないのに居座り続ける迷惑な先輩め、と陰口を叩かれるだけだろう。もし、今の職場にそういう先輩社員がいるなら、「やってはいけない働き方」の見本にさせていただき、それこそ他山の石としたい。
現在リモートワーク中で時間に余裕があるなら、今のうちに60歳以降でも役立ちそうな資格の勉強を始めるのもいい。この先も長く働くことを見据えたとき、何を身につけるべきかは若いうちから考え始めた方がいいだろう。筆者自身も、会社員を卒業して独立しようと考えてから、実際に退職するまでは2年ほど準備期間を置いたものだ。いざ60歳、65歳目前になってから新しいことを始めようとしても、体も頭も昔ほどは動かない。現役時代からの準備が大事、というのは資産形成も働き方も同じなのだ。
(文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト)
●松崎のり子(まつざき・のりこ)
消費経済ジャーナリスト。生活情報誌等の雑誌編集者として20年以上、マネー記事を担当。「貯め上手な人」「貯められない人」の家計とライフスタイルを取材・分析した経験から、貯蓄成功のポイントは貯め方よりお金の使い方にあるとの視点で、貯蓄・節約アドバイスを行う。また、節約愛好家「激★やす子」のペンネームでも活躍中。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)。Facebookページ「消費経済リサーチルーム」
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