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老後資金の必要額はこうして計算せよ…夫婦2人「平均的な生活」、やはり2千万円必要?
https://biz-journal.jp/2021/02/post_206980.html
2021.02.14 05:40 文=藤村紀美子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会 Business Journal
「Getty Images」より
安心して経済的に豊かな老後を送るためには、まず、どのような老後生活を送りたいのかを明確にして、その生活をするためにはどの位の費用が必要なのかを知ることが重要です。何も明確になっていないとただ不安ばかりが大きくなってしまいます。
目的を明確にして、収入と支出を知り、現実の収支に合わせた生活をするように心がけたら、安心な老後の生活が送れるのではないでしょうか。
■【どのような生活を送りたいですか】
あなたはどのような老後生活を送りたいと思っているでしょうか。“生命保険文化センター”の「生活保障に関する調査」(令和元年)によると、夫婦2人の老後の「最低日常生活費」は月約22万円、「平均的な老後の生活費」は約27万円、「ゆとりある老後生活費」は約36万円かかるという調査結果があります。
(1)贅沢をせず、つつましい生活をしたい(月約22万円)
(2)世間一般と同じ生活をしたい(月約27万円)
(3)ゆとりをもって豊かな生活をしたい(月約36万円)
上記1.2.3の老後の生活資金として、それぞれいくら必要でしょうか。老後に必要な資金を計算する前提として何年生きるかが問題です。現在、夫が65歳、妻が60歳とします。厚生労働省の簡易生命表によると、夫の退職時(65歳)の平均余命は18.86年、夫死亡時の妻(79歳)の平均余命は12年です。
※以下、イ.は夫の生存中の夫婦二人の必要生活資金、ロ.は夫死亡後の妻の必要生活資金。
(1)贅沢をせず、つつましい生活をした場合の必要生活資金
イ.22万円×12カ月×18.86年=約4979万円(生活費は2人分)
ロ.15万円×12カ月×12年=約2160万円(生活費は1人分で7割)
イ+ロ=7139万円
(2)世間一般と同じ生活をした場合の必要生活資金
イ.27万円×12カ月×18.86年=約6110万円(2人分の生活費)
ロ.19万円×12カ月×12年=約2736万円(1人分の生活費)
イ+ロ=8846万円
(3)ゆとりのある豊かな生活をした場合の必要生活資金
イ.36万円×12カ月×18.86年=約8147万円
ロ.25万円×12カ月×12年=3600万円
イ+ロ=1億1747万円
それぞれが希望する生活の必要な老後生活資金は以上のようになりますが、年金等の収入があるので、それを控除しなければ準備すべき老後資金はわかりません。そのためには、それぞれの年金等の収入を知る必要があります。
■【平均的な年金等の収入金額は】
平均的な年金額といっても、国民年金に加入していたのか、厚生年金に加入していたのか、加入期間は何年間か、月給はどの位もらっていたのかによって、受給する年金額は大きく異なります。たとえば、国民年金加入では月約5万円、厚生年金加入では男性は平均月約16万6000円、女性は平均月約10万3000円の年金となり、格差が大きく、それぞれの年金額で計算しなければ老後の必要生活資金はわかりません。ご自分の年金額を知るには、日本年金機構から毎年誕生月に送られてくる「年金定期便」を見るのが早道です。
<リタイア後の生活費(1.2.3の望む生活費)−リタイア後の収入(ご自分の年金額等)=リタイア後の生活必要資金(用意すべき必要生活資金)>
参考のために、一般的な家庭の夫婦2人の平均的な年金額(夫死亡後は遺族年金を受給)等の総額(約7000万円)を入れて計算してみると、以下のようになります。
(1)7139万円−7000万円=139万円
(2)8846万円−7000万円=1846万円
(3)1億1747万円−7000万円=4747万円
■【注意すべき点】
リタイア後の必要資金には生活資金しか含まれていないので、家の修繕費、子供の結婚資金、医療費、介護費等も考えておかなければなりません。
また、リタイア後の収入は各人バラバラなのでご自分の年金額が平均より多いのか、少ないのかを考えて、老後の生活をそれに合わせないと破綻する心配もでてきます。どうしても金銭的に豊かな老後生活を送りたいと考える方は、収入を増やす工夫をしなければなりません。
金融庁の公表した報告書(老後資金2000万円必要)は、上記(2)の平均的な年金を受給している人が、平均的な生活をした場合の介護費、医療費等を加味した金額を指していると考えたほうがよいでしょう。
■【今後の制度の活用】
年金制度改正法が2020年6月5日に公布されました。多くの人がより長生きし、長期間働くと思われるため、長期化する高齢期の経済的基盤の充実を図るものです。2022年4月から在職老齢年金の支給制限が大きく緩和され、働く人の年金額の削減が減少します。また、2021年4月から70歳までの人の就業を確保することが企業の努力義務となります。
その上、今まで退職するか70歳になるまで(65歳以降に就労して厚生年金保険料を納めても)年金額に反映されなかったのが、改正により毎年10月に年金額の再計算がされ、年金額が毎年少しずつ増えることになりました。
また、60歳未満の方は確定拠出年金に加入すれば、掛金が全額、所得控除の対象となり、所得税、住民税が軽減されます。そして分配金等の運用利益が非課税になります。その上、受け取り時に一時金で受取れば退職所得として、年金で受け取れば年金所得(雑所得)としての恩恵を受けることができるようになりました。NISA、積み立てNISAの運用利益も非課税になっています。
上記の年金制度改正法により、また確定拠出年金、NISA等の利用により、収入も年金額も増える可能性がでてきました。希望を持って前向きに頑張っていきましょう。
(文=藤村紀美子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会)
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