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住宅ローンを滞納した人の身に起きる「すべてのこと」と「正しい対応」お教えします 督促からブラックリスト登録、競売まで…
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/79772
2021.01.31 高橋 愛子 NPO法人住宅ロ−ン問題支援ネット 代表理事 現代ビジネス
コロナ禍のなか、住宅ローンの支払いが難しくなった人が増えている。ローンを滞納せざるを得ない状況に追い込まれたとき、何をすべきか。NPO法人住宅ローン問題支援ネット代表理事の高橋愛子氏が、滞納後に起きることを順番に確認しながら解説する。
全額繰り上げ返済を求められる
◇住宅ローン滞納1〜3ヶ月
金融機関によって異なるが、住宅ローンを滞納すると、電話や通知で督促が来る。1ヶ月くらいの滞納だと、普通郵便で、「今回引き落としができませんでしたので、次回引き落とし日までにご入金をお願いします」といった内容の通知が届き、まだ対応は優しい。
2〜3ヶ月になってくると、電話も厳しい対応になったり、自宅に訪ねてくる場合もある。通知の内容も、「このまま滞納が続くと法的措置を取らざるを得なくなります」といった内容で厳しくなってくる。
同じ頃、「期限の利益の喪失」予告の通知も届くようになる。
「期限の利益の喪失」とは何か? 住宅ローンを借りる時、返済は期限(35年など)を決めて、分割払いで払っていくという契約をする。その契約を守っていけば、とつぜん一括返済を求められることなどはなく、「期限」内に分割で支払っていける権利だ。借り手側からするとこの「期限」は「利益」になる。
途中で全額返済ができる場合は、借り手側から「期限の利益を放棄」して全額繰り上げ返済をすることも可能だ。ある一定の期間滞納をすると、契約違反となり、貸し手側から「期限の利益の喪失」がされ全額繰り上げ返済を求められることになる(※金融機関によって期限の利益の喪失の時期が異なるので注意が必要)。
ブラックリストに情報が…
次に行われるのは、「ブラックリスト」への延滞情報の登録だ。
世間で俗にいう「ブラックリスト」(金融機関が信用力の低い人をリスト化したもの)というリストは存在しない。
ブラックリストとは、実際には個人信用情報機関のことを指している。金融機関がお金を貸す時に必ずこの個人信用情報機関に情報を登録し、返済状況等を報告しているのである。この機関に問い合わせれば、どの人がどれくらいの信用力があるかが明らかになるという仕組みだが、返済の滞納が続くとそこに延滞情報が登録されてしまう。
個人信用情報機関は、3社ある。株式会社シー・アイ・シー(CIC)、株式会社日本信用情報機構(JICC)、全国銀行個人信用情報センター(JBA)の3つだ。
これらの機関に登録された情報は、金融機関の審査で必ず用いられ、多重債務や過剰貸し付けにならないよう、CRIN(CIC、JICC、JBAの相互交流ネットワーク)やFINE(貸金業務に基づくJICCとCICの相互情報交流ネットワーク)で情報流通がされている。
◇滞納4〜6ヶ月
滞納が4〜6ヶ月まで続くと、郵便も配達記録や内容証明郵便など記録の付いた郵便になる。
内容は、「期限の利益の喪失を●月●日に行う予定ですので、●月●日までに滞納分を全額お支払いください。」「代位弁済を行うことになりますので、●月●日までに滞納分を全額お支払いください。」などと厳しく、滞納分を全額払わないと期限の利益の喪失や「代位弁済」(以下で解説)がされてしまうことになる。
期限の利益の喪失とは、上記で説明したとおり、期限の利益の喪失をしてしまうと、今まで通り分割での返済ができなくなる。ここで何とか滞納分を準備して期限の利益の喪失を阻止しないと一括請求がされてしまう。
では、代位弁済とは何か。期限の利益の喪失後、銀行が保証会社を付けている場合、保証会社に対して請求をかける。保証会社とは住宅ローンの保証人に代わる会社で、最近では保証人を付けるのではなく、保証会社を付ける場合がほとんどだ。
保証人になってもらう手数料として「保証料」というものを、住宅ローンを借りる時に借り手側が払っている。保証料は、ローンを借りる時に一括で払うか、毎月の金利に含まれていて毎月支払っていく。
住宅ローンを借りた銀行(金融機関)にローンを返せなくなると、金融機関が保証会社を付けている場合、保証会社が債務者の代わりに銀行へ全額返済をする。保証会社が債務者の代わりに銀行に払ってあげたので、払ってもらう権利(求償権)は銀行から保証会社に変わる。
保証会社は今までの分割払いではなく、代わりに払ってあげた金額全額を一括で債務者に請求することになるのだ。
「遅延損害金」という悪夢
◇全額一括請求
その後、保証会社から、「●●銀行から、当社が代位弁済したので、●月●日までに全額●●千万円+延滞利息●●万円をお支払いください。お支払いが無い場合は、競売の申立てをします」という旨の通知が来る。
この段階になると滞納分を揃えても受け取ってもらえず、ローン残高全額を払わなくてはならなくなる。毎月の住宅ローン数万円が払えないのに、一括の数百万、数千万を用意できる人はいない。大体の人はここでお手上げ状態となる。
また、注意すべきは、代位弁済後には、ローン残高全額に対して「遅延損害金」がかかるということだ。利率は住宅ローンの利息と同じような1%や3%といったものではなく、残高全額に対して14%相当が加算されるのだ。例えばローン残高が3000万円だとすると、年利14%で420万円、月額35万円、1日に換算すると1万1500円ほどになり、借金がどんどん増えていくことになる。
◇ブラックリストに「異動」情報が登録される
この時、前述の通り、個人信用情報機関(通称、ブラックリスト)に「異動情報」(ネガティブな情報)が登録される。異動情報が登録されると、いわゆる「ブラック」となり、新たにローンを組むことは、少なくとも5年はできなくなると言われている。
ただし、ブラックであることは、他人には分からない。生活に支障が出ることはほぼない。デメリットとしては新たにクレジット審査やローンの審査に通らなくなる。
また今持っているクレジットカードが使用できなくなったり、更新ができなくなる場合もある。
そして競売へ
◇競売の申立て〜落札
全額一括請求をして、払われないと保証会社などの債権者は、担保に取っている不動産を「競売」にかけるため、裁判所に「競売申立て」の手続きをする。競売の手続きには書類を揃えたりするので、1ヶ月ほどかかり、「競売開始決定」がなされる。
競売開始決定がなされると、不動産の登記簿謄本に「差押」「競売開始決定」という登記がされ、登記簿謄本を見れば、その不動産が競売にかけられていることがわかってしまう。
それと同時に、債務者の元には裁判所から「競売開始決定通知」というものが届く。裁判所は、担保不動産を競売にかけて競売で落札した人からお金をもらい、債権者に分配する手続きをする。裁判所に何を言っても原則競売は止まらず、手続きが進んでしまう。
競売開始決定通知が届くと、次に来るのが執行官だ。執行官とは、競売を進めていくうえで手続きを執行する人で、自宅の調査をするため、不動産鑑定士を連れて家に訪ねてくる。その際、自宅の調査の日をいつが良いか確認が入るが、その自宅の調査を拒否し続けると鍵屋を手配して勝手に鍵を開けて室内に入ってくることになる。
また、競売物件は裁判所で「配当要求終期の公告」という公告がされるため、任意売却を勧めてくる不動産業者が自宅にDMを送ってきたり、訪問してきたりすることもある。後述するが、この段階で任意売却がうまくいくケースもある。
なお、執行官や不動産業者が自宅に来ることで競売になっていることが、近所の人にばれてしまう可能性もあるので注意が必要だ。
その後、競売の評価額、入札の日程が裁判所から届き、その2ヶ月後くらいに入札期間があり、開札日に一番高値で落札した人が所有権を得る権利を得る。競売開始決定〜競売の落札までの期間は、6〜7ヶ月間程度だ(※裁判所や物件の特性によって期間が異なる場合があるので注意が必要)。
◇競売による所有権移転
開札日に一番高値で落札した人に、開札日の約1週間後に売却許可決定が出る。そこで正式にその人に所有権を移転することが決定される。そこから1ヶ月か1ヶ月半くらいで代金が支払われ、それと同時に所有権移転登記がされ、自宅が他人の物になる。
自宅を追い出される
◇自宅からの退去
競売で落札した人から退去を要求される(そのまま賃貸で借りられるケースもあるが、交渉は自分でやることになる)。直接交渉して、退去日を話し合い決定することも多いが、ここで交渉が決裂すると、裁判所による強制執行手続きによって退去させられることになる。
退去してそれでおしまいならまだいい。住宅ローンの残債が残る場合、もちろん残債を返済していかなくてはならない。競売での売却代金は債権者に支払われるが、それでも住宅ローン残高全額がカバ―できない場合は、物件は手放したにもかかわらず、債務が残り、請求がなされる。そこには残高の元金に加え、先に述べた遅延損害金が加算されることになる。
◇競売になる前に「任意売却」という方法がある
ここまで細かく見てきた通り、住宅ローンの滞納から競売開始決定までの期間は、約6ヶ月間ある。そこから競売の落札までは、さらに約6ヶ月あり、住宅ローン滞納から競売で落札されるまで1年ほど時間があるということになる。
その間に督促が来たり、ブラックリストに登録されたり、競売の通知が来たり、執行官が来たり、不動産屋が訪ねてきたり、と様々なことがあるが、住宅ローンを滞納してすぐに自宅が競売にかけられ、追い出されるということはない。
言いたいことは、「時間はある」ということだ。その間に売却することもできるし、オーバーローン(ローンの残高が物件の価格を上回ること)で売れない場合は「任意売却」という方法で、債権者と合意をすれば、競売を回避することができる。
ただしオーバーローンの場合は、任意売却でも競売でも債務は残ってしまい、売却後も支払いは続ける必要がある。残債務については、自己破産など法的整理、私的整理といった方法で、自分の生活状況に合わせて整理する方法がある。
できれば、競売開始決定の前までに任意売却で解決ができれば、「差押」登記が付かず、売却が可能となり、周囲に訳アリで売るということはバレないというメリットがある。
競売開始決定後でも債権者と合意し、任意売却ができれば、競売は取り下げられる。また、ひと昔前に比べると競売は安く落札されるとは限らない。競売も一般の消費者も入札するなど競売不動産市場は価格が高騰している。競売になるまで自宅に住み続けて、支払いをストップしながら、生活を立て直すという方法もある。
コロナ禍での特例措置
では、いまコロナ禍の影響で、住宅ローンを滞納してしまいそうだという人はどうすればいいのか。前述の通り、金融機関はコロナの影響による滞納については、返済相談窓口を設けて、相談に応じてくれている現状がある。まずは、今住宅ローンを借りている金融機関に返済猶予等の相談をしてみることをしてほしい。
また、「コロナ版ローン減免制度」(正式名称:「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の新型コロナウイルス感染症に適用する場合の特則)が、2020年12月1日から適用開始となった。後編では、その内容を解説していこう。
【後編】「コロナで住宅ローン返済が厳しい人が「支払い減免」されるスゴい制度があった…!」
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