2020年10月29日 長崎大学による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対する5-アミノレブリン酸(5-ALA)を用いた特定臨床研究開始のお知らせ https://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/news/news3201.htmlこの度、国立大学法人長崎大学*1(長崎県長崎市文教町1-14、学長 河野 茂:以下長崎大学)とネオファーマジャパン株式会社*2(東京都千代田区富士見2-10-2、代表取締役 河田聡史:以下NPJ)は、NPJが研究・開発・製造を行う5-アミノレブリン酸*3(以下、「5-ALA」)を用いて、新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」)患者を対象とした特定臨床研究を開始することになりましたのでお知らせいたします。 5-ALAは、天然に存在するアミノ酸であり、ヒトや動物、植物の細胞内で作られています。また、食品中にも含まれており、日々の生活の中で摂取しているアミノ酸の一つです。また、高い安全性と機能性を備えていることから、すでに10年以上前から各種ヘルスケア製品に活用されております。 長崎大学熱帯医学・グローバルヘルス研究科長 北 潔 教授らとNPJは、この5-ALAの機能性に着目し、マラリア治療薬の開発を進めてきました。現在、国立国際医療研究センターの狩野繁之部長らとラオスでの臨床研究を進めております。5-ALAには幅広い感染症に対する効果が期待されるため、熱帯感染症研究に長い歴史を持つ長崎大学と5-ALAの熱帯感染症抑制効果を広く検討しております。 このような背景から、社会的要請の高いCOVID-19に関しましても研究を開始しました。原因ウイルスであるSARS-CoV-2ウイルスを用いて、試験管内における細胞の感染試験を行った結果、5-ALAに強い感染抑制効果を見いだしました。この細胞試験の結果は論文に投稿済みです。*4 また、長崎大学副学長(新型コロナウイルス感染症対策担当)泉川 公一 教授らはCOVID-19感染患者への5-ALA投与に関する特定臨床研究を計画し、2020年10月28日、長崎大学の認定臨床研究審査倫理委員会において正式に承認されました。本特定臨床研究の詳細は、後日臨床研究のデータベースに公開されます。長崎大学病院を核として、複数の病院で実施する多施設共同試験となります。 COVID-19は現在、世界的規模で公衆衛生上の脅威となっており、その治療薬の開発は喫緊に取り組むべき世界の最重要課題となっております。しかしながら、現時点ではCOVID-19に有効な治療薬はごくわずかしかありません。また、治療薬については、対象となる患者の症状に制限があり、副作用も含め経過観察が必要となっています。 一方、ワクチン開発においては、国内外の企業や研究機関で進められておりますが、当該ワクチンの有効性・安全性の確認や、一定の品質を担保しつつ、大量生産が可能かどうかの確認などを行う必要があるため、開発には年単位の期間がかかります。 そのため、感染拡大の収束が見えない現状においては、高い安全性、広範な患者に使用可能、懸念のない供給力、これらの条件が合わさった薬剤が待ち望まれています。 この度の特定臨床研究において、NPJは5-ALAに関する知見と技術を活かしながら、長崎大学が実施する研究を支えます。私たちは、5-ALAがCOVID-19に対する新たな予防、治療法の一つとなることを期待しております。 *3 5-アミノレブリン酸(5-ALA) ヒトや動物・植物は細胞内のミトコンドリアという細胞小器官でエネルギーを作り出すことで生命活動を維持しています。このミトコンドリアが機能するためには、5-アミノレブリン酸(5-ALA)が非常に重要な役割を果たしています。5-ALAは、最終的にミトコンドリアの中で「ヘム」という物質に変化します。ヘムは「シトクロム」というエネルギーを作り出すために必要不可欠なタンパク質の成分となります。 また、すでに10年以上前から健康食品、化粧品、ペットサプリメント、飼料、肥料に活用されている非常に安全性の高いアミノ酸です。5-ALAはがん分野では脳腫瘍や膀胱がんの可視化を目的とした医薬品としても承認されております。また、5-ALAは、ミトコンドリアの機能を向上させることが知られており、埼玉医大を中心としたミトコンドリア病の第3相医師主導治験が進められています。 http://5ala-journal.com/ イベルメクチンに超期待する人が知らない真実 _ 新型コロナ、長期戦の混沌 _ 東洋経済オンライン _ 経済ニュースの新基準 https://toyokeizai.net/articles/-/418791?page=3
現在、アビガンとイベルメクチンは、国内外で有効性を確認する臨床試験が進行中だ。未承認薬について岡教授は警鐘を鳴らす。 「アビガンが効く、というイメージが先行していますが、現時点では臨床試験で有効性は証明されていません。しかも重大な副作用の催奇形性があり、薬剤は精液にも移行するので、女性だけでなく男性にも注意が必要な薬です。断っておきますが、入院しているコロナ患者が全員アビガンを服用している事実はなく、使用するケースは限定的です。 最近、イベルメクチンも話題になっていますが、この薬もほとんど使用していません。これにも理由があります。 イベルメクチンの海外で行われた臨床試験の論文は、エビデンスレベルが低いものばかりで、ほかの治療薬を併用していたり、サンプルサイズ(対象の患者数)が小さかったり、投与量がバラバラであったりなど、まだ結果を鵜呑みにできない状況です。最新の比較的規模が大きい臨床試験では有効性が証明されませんでしたし、日本はもちろん、アメリカの主要なガイドラインでもまだ推奨されていません。 3月22日、EMA(欧州医薬品庁)は、イベルメクチンの新型コロナ治療での使用は、副作用の懸念を理由に臨床試験以外は支持しないと公表しています。つまり現時点でイベルメクチンは効くのか、効かないのか、ハッキリしていないのです。 臨床医が未承認で有効性が確認されていない薬を使用するのは、重症でほかに選択肢がないケースであり、その場合でも病院の倫理委員会から審査を受けます。 これまで私たちは、有効性が証明されているステロイドを中心に、レムデシビル、トシリズマブ(米国のガイドラインで推奨)を使用して、多くの重症患者を救命してきました。 コロナの治療にまったく関与していない、医師ではない方が、安易に未承認薬を勧めるようなコメントは悪影響が大きいので、現場としては避けてほしいのです。同時に専門性を理解していない、メディアの側にも責任があると感じています」
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