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[3074]新たな金融危機が始まった。野村證券は潰れるだろう。
投稿者:副島隆彦
投稿日:2021-04-07 07:44:18
http://snsi.jp/bbs/page/1/
副島隆彦です。今日は、2021年4月7日(水)です。
ニューヨークの金融市場で、“アルケゴス・ショック“と 呼ばれる、大規模な金融博奕(ばくち)取引での大損失が、発覚したのは、先週の月曜日、3月29日からだった。以下の30日の日経新聞の記事が、日本の投資家や 資産家たちの間で、大騒ぎとなった。
「野村證券が、3月29日に、20億ドル(2200億円)の実損を発表した。クレディ・スイス銀行も(その後、4月6日に、その額は5200億円と判明した)」」というものだった。
(転載貼り付け始め)
●「野村、2200億円損失恐れ 欧米金融機関に波及も 米投資会社の行き詰まり影響」
日本経済新聞 2021年3月30日
米投資会社に絡む損失への懸念が世界の金融機関に広がっている。野村ホールディングスは29日、米顧客との取引に関連して約20億ドル(約2200億円)の損失が生じる可能性があると発表した。スイスの金融大手クレディ・スイス・グループも同日、巨額の損失計上の可能性を発表した。
欧米メディアによると、投資会社のアルケゴス・キャピタル・マネジメントが先週、保有株の下落で打撃を受けて資産を投げ売りした。野村HDやクレディの損失はアルケゴスに関連しているとみられる。
アルケゴスは著名なヘッジファンドのタイガー・マネジメント出身のビル・ホワン氏らの資産管理会社。英フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、アルケゴスは保有するメディア銘柄の下落で打撃を受けた。担保の追加差し入れ(追い証)を求められたが対応できず、保有する米中のメディア銘柄などの投げ売りにつながったようだ。
米ブルームバーグ通信などによると、アルケゴスの売買注文を受けた米ゴールドマン・サックスは26日、バイアコムCBS など米メディア銘柄や、百度(バイドゥ)など中国企業の銘柄など計105億ドル相当の株式を相対で大量売却する「ブロック取引」をしていた。バイアコムや米ディスカバリーの株価は26日、前日比約3割下落した。
野村やクレディはアルケゴスへ融資や株式ポジションの一部引き受けなどをしていたようで、融資の回収やポジション解消で損失が発生するとみられている。FTによるとクレディの損失は30億〜40億ドルとみられる。
スイス金融市場監督機構(FINMA)は29日、「複数の金融機関が関わる国際的なヘッジファンドの問題」として状況の確認に乗り出した。クレディから損失発生の可能性について報告を受けているという。
野村HDの株価は29日、東京市場で前週末比16%安と急落。クレディ株も欧州市場で一時15%超下げた。野村HDは「事業運営に大きな支障がでることはない」が、リスク管理が適切だったかを見直すとした。
欧米の大手金融機関もアルケゴスと取引があるとみられ、今後関連した損失が広がる可能性もある。アルケゴスによる資産売却が一巡したかは明らかでなく、「過剰流動性相場のほころびが広がっていくことへの警戒」(SMBC日興証券の村木正雄氏)もでている。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。 韓国人の、博奕(ばくち)打ちが運営していた、Archegos (アルケゴス)という名の、ファミリー・オフィスが、こそこそとやっていた株式投資に、大手の銀行(証券会社でもある)が、密かに、大きな資金を出していたことが発覚した。それが、焦げ付いて、株の投げ売り(fire sale ファイア・セール)が起きて、大騒ぎになった。
3月26日(金)の朝の市場が始まる前に、ゴールドマン・サックスは、さっさと200億ドル(2兆円)を「ブッロク取引」という手法で、投げ売り(ファイア・セール)した。次いで、モルガン・スタンレーが、150億ドル(1.5兆円)を投げ売りした。
「しまった」と血相を変えた。「抜け駆けされた」、と、野村ホールディングスと、クレディ・スイスが、慌てて、「自分たちも、売る」と、アルケゴスから担保(プレッジ)として取っていた株を投げ売りしたのは、NY株式市場(NYSE)が始まってからだ。もう遅かった。売り抜けることは出来なかった。 野村證券の 東京本社は、経営幹部たちまでが、震え上がりながら、出てきて、この27日(東京では、28日になった明け方から)に、社内、大騒ぎで対応しただろう。
それで、29日に、「損失額は2200億ドル。経営基盤を揺るがすほどではない」という記者発表を出した。
野村よ。もう、お前は立ち直れない。せっかく、今度の3月決算で、4千億円とかの利益を無理やり出して、損を客たちに押しつける、いつものやり方で、好決算を出して、意気揚々と、今の経営陣で、やってゆこうとした。その矢先で起きた大惨事だ。
野村の本当の損失額は、5000億円(50億ドル)だ。なぜなら、出遅れ、頓馬(とんま)仲間のクレディ・スイスが、「損失、5200億円」(=44億スイス・フラン)と4月6日に発表したのだから。それと並んで、同じだけの、この奇妙な、コソコソ投資をしていたのだから。2港で、合計で、100億ドル(1兆円)の損、と言われているから、5000億円ずつ、でこれで、計算が合う。野村は、この大損を、「損金を圧縮記帳して」のやり方で、「2200億円で済んだ」と、汗だらだらで、発表した。
アルケゴスのビル・ファン(ホアン?)は、100億ドル(1.1兆円)の資金を運用していた。しかし、実際には、これに、レバレッジ(投資倍率)を5倍ぐらいかけていたから、500億ドル(5兆円)だ。これらの資金を、プライム・ブローカーと呼ばれる、ゴールドマンや野村たち、大手の金融法人(世界的な大銀行)から、軒並み借りていたのだ。
そして、それらの株式が、逆回転をして、3月22日から、暴落を開始していた。それが、バイアコムCBS( 日本のソニーは、ここの歴史的な子会社だ)や、中国の百度(バイドゥ)などに、投資していた。
野村証券 の破綻、倒産への道が、これではっきりした。もう、この日本一の、証券会社は、保(も)たない。あと3年後に迫った 2024年の、NY発の世界大恐慌(ワールド・デプレッション)の先駆け(ハービンジャー)となって、野村證券は潰れる。
今度の6月の株主総会で、今の経営陣は、クビ(解任)では済まない。彼らへの株主たちからの背任追及での代表訴訟が起きるだろう。 今の野村の経営トップは、きっと、いいやつだ。
3年前(2018年)から、「このままでは野村は、潰れる」と、公言して、喚(わめ)いていて、社内からは、迷惑がられ、兜町(かぶとちょう)の金融業界からは、「野村の、あの社長は、おかしいんじゃないの。でも、必死で頑張っているのだろう」と、言われていた。
そうしたら、その後の、3年間の 血のにじむような、努力で、野村は、何とか、実質も黒字決算に戻れて、この社長の、文字通り、体を張った、狂ったような経営再建手法で、何とかここまで盛り返していた。・・・そして、この悲劇に見舞われた。
もう、この野村の社長は、立ち上がることも出来ないぐらいの打撃を受けている。病院に入りたいのだが、それも出来ない。
私、副島隆彦の目からは、もう13年前の、2008年の9月15日からの、リーマン・ショックのあと、野村は、デイヴィッド・ロックフェラーから、「三菱銀行には、私の大事なシティ・バンクを助けてくれ、と押しつけた」( 表面の救済金、1兆円の銀行小切手だった。本当は、300億ドル、3兆円だった。シティ・バンクの株価は、1ドルを割って、94セントまで暴落していた)。「野村よ、リーマン・ブラザーズの社員たちを助けてくれ」と言われて、リーマンの世界中の社員の雇用を守った。そのときの出費が、いまも隠れ損失として、裏帳簿に残っている。
この他に、三菱UFJは、実質潰れていた、モルスタの株も、大量に買わされた。それで、今は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券 と名乗っている。だけど、NYのモルスタ本社は、そんなことは知ったことはない、という顔を今もしている。
あのあと、野村の社長が、怒り狂って、「リーマンの、あのインド人どもの、クオンツの、まだ、デリヴァティブをやめない。あいつらのクビを切れ−、損失金が止まらない。」と、“インド人の金融バクチ数学の天才たち”、に、怒り狂って、一気に大量に首切りしたのは、偉かった。
でも、こんなことしか、出来ない。属国の、奴隷経営者たちというのは、このように憐(あわ)れ
なものなのだ。
私、副島隆彦が、「野村証券は潰れるだろう」と、ここの重たい掲示板に、書いたのは、2011年3月の東日本大震災「3.11」 の翌年の、2012年だった。
この時、金融庁の強制検査が、野村証券の本社ビルにも入っていた。私は、この時の、野村NYの、裏幹部たちの、違法な金融取引が、すでに発覚していて、NYで大騒ぎになっていたので、その関連だと、書いた。
そうしたら、野村本社の 広報部長が、「その、金融評論家を名乗る人間を、(自社の経営に打撃を与える流言飛語で)裁判にかける」と、発言した。つまり、私、副島隆彦を訴えると、野村が騒いだのだ。 私は、新聞記者たちから、
意見を求められて、「ああ、そうですか。どうぞ、訴えて下さい。裁判所でお会いしましょう」と、答えた。 こういう事件もあったのだ。なつかしい。もう、あれから10年も経ったのか。
いよいよ、次の株式の大暴落が、起きる。それは、債券(さいけん)市場の、主要各国の国債の暴落で、長期金利の急上昇と共に起きるだろう。
今度の、“アルケゴス・ショック”から始まった金融市場崩れは、もう、止まらない。
表面上は、株式市場も、債券市場も、平静を保っている。 「コロナワクチンの配布の効果が出て、景気回復が進んでいる」と、ウソの 発表をして、乗り切ろうとしている。
3月26日に始まった“アルケゴス・ショック”、から、巻き起こっている、世界中の投資家たちの大きな不安と疑心暗鬼を打ち消すために、「 IMFの発表で、アメリカの経済成長率は、今年は、6%、日本は3%になる」と、花火をうちあげている。
NYの株価は、34,000ドル台にまで、上がろうとした。東京の株価も、3万円を越えて、さらに3万1千円まで、買い上げて、今度の金融危機を、政府と中央銀行の ジャブジャブ・マネー(
QE キュー・イー。 quantitative easing money クワンティテイティヴ・イージング・マネー.
緩和マネー)の威力で、乗り切ろうとしている。
だから、一旦は、今度の金融危機は、葉面上は、SECなどの米金融当局が、押さえ込んだ。関係者に、厳しい処罰をしなければいけない、という議論も表(おもて)には、出てこない。 だが、この危機は、さらにジワジワと市場を浸食して、広がっている。
Archegos アルケゴス と同じような危ない博奕(ばくち)投資をしているファンドや、市場に無登録のファミリー・オフォスが、他にもたくさんある。 その他に、SPAC(エス・ピー・エイ・シー。特別目的買収会社、「投資の箱」と呼ばれる)という、表に顔の出ない、博奕打(ギャンブラー)たちもいる。 彼らが、このあと、アルケゴスと同じように、破綻してゆくだろう。
「“アルケゴス・ショック”の 市場への影響は、全体で3000億ドル(30兆円)の株価の減少で済んだ」 と言って、アメリカの金融市場自体は、逃げを打っている。だが、そうは上手(うま)くゆかない。おかしなことをやって、内側に、累積の大損を隠し持っている、金融法人とかのボロが、どんどん出てくる。
表面に出てしまった、野村と、クレディ・スイスの両者は、今度の大損害を、自社の努力で、まず「出血を止め」なければならなかった。
まず、出血を止めて。“ staunch the bleeding ( of blood flow ) ” 「ストーンチ(止める)・ザ・ブリーディング(出血)・オブ・ザ・ブラッド・フロウ」して、何とか止血(しけつ) した。
それを、「何食わぬ顔をして」やった。“ as if nothing happens “ 「アズ・イフ・ナッシング・ハプンス」
で、まるで何もなかったかのような顔をして、スッとぼけ、をやった。
もう、野村の幹部たちの内心は、ボロボロだ。「ウチはもうだめだ。破滅に向かっている」状態だろう。私、副島隆彦が、このように書いても、「誰だ、そいつは。我が社の信用と落とそうとしているヤツは」と、手を振り上げることはしないだろう。そんな元気も、もうない。
以下は、私が、「よし、待っていた金融崩れがついに始まった。さあ次の金融本を書こう」と決めて編集長に書いたメールだ。
(貼り付け始め)
Sent: Thursday, April 1, 2021 3:13 AM
Subject: FW: 野村20億ドル損失、韓国系大口顧客に噛まれたウォール街
**社 ***編集長へ
副島隆彦から
いよいよ 株式と、債券の 暴落が起きます。NYで、として東京でも。 急いで、金融本を作りましょう。NYの暴落は、私は、6月だろう、と思っていたら、5月中におきるかもしれない。
私は、明日、****さんと、****本の増刷の訂正 をやろうとしていますが、それを、早く切り上げて、できれば、貴方に会って、急いで打ち合わせをしたい。
野村證券が、NYで失敗、20億ドル(2200億円)の損を出した、と、29日(月)に発表したと報道で知っていたが、それがどういう性質ものもか、まだ分らなかった。さっき起きて、以下の朝鮮日報と ハンギョレ新聞を読んで、はっきりと分った。
これは本物の金融危機(ファイナンシャル・クライシス)の始まりです。 この韓国人の ビル・ファン の失敗に 野村たちが、prime broker プライム・ブローカー 出資者として、秘密の融資をしていて、投資の種銭(たねぜに)の5倍ぐらいの資金を出していた。それが、26日に、NYで、ゴールドマン以下、担保で取っていた株を投げ売りした。
このことが、日本でも、30日(火)からの一斉の新聞記事で、はっきりした。 おそらく、株式だけでなく、債券(国債)市場も大暴落を起こします。 私は、次の大暴落は6月かな、と思っていた。が、もっと早まりそうです。 5月中に金融本を出せれば、「暴落が来るぞ。もう目の前に来ている 」で、きっと間に合います。
それに間に合わなくても、余裕を見て、6月でも構いません。 「ああ、もう、大暴落が起きてしまったよ。遅れたなあ」と、そのとき、“金融予言者、副島隆彦“は、笑って、やり過ごします。そのあとに本が出ても、一向に構いません。連絡ください。 関連する他の記事もどんどん送ります。 副島隆彦拝
(貼り付け終わり)
副島隆彦です。こういう感じだ。 情報と知識は、どんどん集まっている。一体、NYで、何が起きているか、私なりに、ガツガツ書くだろう。私の次の金融本が発売されるのを、乞うご期待、である。
以下に、数本、この “ アルケゴス・ショック” が引き起こしてる、その後の波紋と、業界不安の新聞記事を、何本か、載せる。 ひとつひとつの記事があまりに長いので、金融、経済に関心の無い人は、これらを読み進めることは無理だろう。それはそれで、人それぞれです。
野村ホールディングズ の株価は、29日(月)に、700円から急落して、今も下げ止まらず、575円まで下げたあと、必死の買い支えで、600円ぐらいを維持している。
私の予想では、6月の株式総会までに、ズルズルと 500円ぐらいまで、下がるだろ。
「野村100年の歴史」も 終わる。 時代の趨勢(すうせい)には、逆らえない。
過剰な金融バクチに振り回されながら、人類が、いつまでも生きてゆくことはないだろう。人類(人間)は、もうすぐ考えを大きく変える。
強欲(ごうよく)人間たちによる、強欲(ごうよく)資本主義、 greed capitalism 「グリード・キャピタリズム」が、このまま、いつまでも、この地上で続くとは、私は思わない。人類は、もう少しは、賢いはずなのだ。 副島隆彦記
(転載貼り付け始め)
◯「第2のアルケゴスは時間の問題、ねずみ算的損失増加も−マイナード氏 」
Minerd Sees Another Archegos-Style Blowup as ‘Highly Likely’
2021年4/6(火) ブルームバーグ
米投資運用会社グッゲンハイム・インベストメンツのスコット・マイナード会長は、ビル・フアン氏のファミリーオフィス、アルケゴス・キャピタル・マネジメントと似たような形で、ポジションが破綻を来す別の会社が現れるのは、時間の問題にすぎないとの認識を示した。
マイナード会長は5日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「そのような状況を再び目にする可能性は非常に高い」と発言。アルケゴス関連で生じたような多額の損失が「市場がリスクを是正し、システムから洗い流すまで、ねずみ算的に増え続けることになりそうだ」と分析した。
マイナード氏は「われわれは誰も全く予期しない不意を突く出来事に極めて脆弱(ぜいじゃく)だと感じられる」と述べる一方、ファミリーオフィスへの監視が強化される可能性があり、特別買収目的会社(SPAC)も予想通りの業績が達成できない場合には、規制・監督当局の調査対象分野になり得ると指摘した。
◯「SPACを激しく批判、個人投資家「略奪行為」の餌食に−ブロック氏 」
Carson Block Steps Up SPAC Attacks, Citing ‘Predatory’ Behavior
2021年4/6(火) ブルームバーグ Bloomberg
空売り投資家カーソン・ブロック氏は、より多くの特別買収目的会社(SPAC)を対象に市場価格の下落に賭ける投資を増やしていると述べ、一部の個人投資家が「略奪行為」の餌食になるとの見通しを示した。
マディー・ウォーターズ・キャピタル の最高経営責任者(CEO)であるブロック氏は5日の電話取材で、「怪しげなものが非常に多く存在する。市場は今や詐欺の時代だ」と発言。その一方で、空売りの最近のターゲットを特定することは避けた。
ブロック氏は最近、SPACを通じて株式を公開したXLフリートとマルチプランについて下落に賭ける投資を行っており、前者は年初来約70%、後者も約25%値下がりしている。
◯ 「アルケゴスに群がった金融機関 米当局・議会監視強める 」
2021年3月31日 7:24 日経新聞
【ニューヨーク=宮本岳則】米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントの巨額取引が波紋を呼んでいる。日米欧の大手金融機関が多額の手数料収入を目当てにリスクの高い人物に群がる――。騒動からはこんな構図が浮かび上がってきた。規制・監督当局も事態を注視している。
【関連記事】 三菱UFJ証券、330億円損失見込み 米顧客取引で
アルケゴス創業者ホワン氏と金融市場の死角(NY特急便)
アルケゴスの巨額投げ売り、盲点だった「個人」投資会社
「(創業者ビル・)ホワンとチームは最善の道を決めるべく、あらゆる計画を議論している」。破綻の瀬戸際にあるアルケゴスは米東部時間29日夜、騒動後初となる短い声明を発表した。大手金融機関による債権回収売りで突如、渦中の人になったホワン氏。ウォール街では知る人ぞ知る人物だった。
インサイダー取引で摘発の過去
ホワン氏は2000年前半に設立したアジア株専門のヘッジファンド、タイガー・アジア・マネジメントで高い運用成績を残し、一部では「天才」とも呼ばれていた。ただし12年に中国株のインサイダー取引で当局から摘発され、同氏は有罪を認めた。顧客離れによってタイガー・アジアは解散に追い込まれ、ホワン氏は個人資産を運用するファミリーオフィス、アルケゴスを立ち上げた。
大手金融機関は当初、アルケゴスとのビジネスに慎重だった。法令違反を犯した人物との取引は通常、認められないからだ。ただ「アルケゴスの法令順守体制が確認できた」などといった理由で、大手金融機関との取引が徐々に再開されたようだ。関係者によるとゴールドマン・サックスがアルケゴスに口座開設を認めたのは、20年に入ってからだという。
ここにきて、アルケゴスと取引関係を持つ大手金融機関が次々と明るみに出ている。ゴールドマンやモルガン・スタンレーといった米国を代表する投資銀行に加え、米商業銀大手ウェルズ・ファーゴも29日、アルケゴス関連とされるブロック取引を実施し、市場関係者の間で話題になった。
日本では野村ホールディングスに続き、三菱UFJ証券ホールディングスが損失計上の可能性を公表した。両社とも詳細は明かしていないが、アルケゴス関連と見られている。欧州ではクレディ・スイスが野村と同様、損失計上のおそれがあると開示した。UBSもアルケゴスと取引関係があったとされる。
多額の手数料を落とす「上客」
アルケゴスは金融機関にとって「上客」だったはずだ。米メディアによるとホワン氏の資産は100億ドル(約1兆1000億円)。金融派生商品(デリバティブ)取引を活用し、実際の運用規模はその数倍に拡大していたという。複雑な取引になればなるほど、相手方の金融機関にも多額の手数料収入が入る。
2008年の金融危機以降、金融機関は規制で自己売買を厳しく制限された。収入源として残ったのはヘッジファンド向け業務だ。投資資金の融資や借株の調達、証券管理・決済など運用に必要なサービスを提供する。金融機関同士の顧客囲い込み競争は激しい。ホワン氏は多数の金融機関を競わせながら、好条件を引き出し、取引規模を拡大させていたとみられる。
アルケゴスはデリバティブ取引の一種、「トータル・リターン・スワップ」を多用していた。株式を実際に保有せず、運用の損益のみを取引金融機関と交換する取引だ。現物株を買い持ちするよりも少ない資金で、巨大なポートフォリオを構築できる利点がある。
投資家に過剰なレバレッジ(借り入れ)を促し、市場を危険にさらすとして批判する向きも少なくない。著名投資家ウォーレン・バフェット氏は03年の株主への手紙で「金融版の大量破壊兵器だ」と述べた。
ホワン氏と金融機関の蜜月は先週、終わりを迎えた。アルケゴスは米メディア大手株の取引で損失を抱え、複数の金融機関から追加の担保要求を突きつけられていた。関係者によると25日、突然の破綻で市場が混乱に陥るのを避けるため、ホワン氏側と取引金融機関の間で話し合いの場が持たれた。ゴールドマンやクレディ・スイス、野村、モルガン・スタンレーなどが出席したという。
出席者たちの脳裏には90年代後半の苦い記憶があった。ヘッジファンド、ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)による巨額損失が発覚、取引の相手方となっていた金融機関も損失を被った。市場が大混乱に陥ったことで、さらに損失は膨らみ、金融システム不安に発展した。
「最初に引いた者が勝ち」
アルケゴスを巡る25日の会合では解決策を見いだせなかったようだ。会合後に一部の金融機関がアルケゴスにデフォルト(債務不履行)を通告し、担保差し押さえに動いたとされる。金融機関の間で疑心暗鬼が深まるなか、26日午前、ゴールドマンが債権を回収するため、担保にとっていたアルケゴス保有株の売却を始めた。噂は市場内ですぐに広まり、モルガンが追随した。
「『清算』は最初に引き金を引いた者が勝ち」。ウォール街のベテラントレーダーはこう解説する。ゴールドマンは105億ドル規模のブロックトレード(市場外の相対取引)をわずか1日で執行した。担保を十分にとっていたため、損失は軽微だった――。市場関係者によるとゴールドマンは外部にこう説明しているようだ。
大口注文処理に欠かせぬ顧客基盤
ゴールドマンはリーマン危機時も市場の異変を察知し、早めにポジション見直しに動いたことで知られている。大型ブロックトレードは政府系ファンドや富裕層、財団など世界中の有力投資家を顧客にもつ同社ならではの取引といえる。このネットワークがなければ、大量の株を短時間でさばけなかった。一方、巨額損失懸念の浮上した野村やクレディは、顧客基盤で米銀大手に見劣りする。
当局は監視を強めている。米証券取引委員会(SEC)はすでに金融機関から情報を集めていると明かした。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、米欧の当局が25日に開かれたホワン氏と取引金融機関の会合について関心を示していると報じた。今後、金融機関のリスク管理体制が問われることになる。
ウォーレン議員、「ファンドの透明性向上を」
バイデン米政権は31日、政権発足後初となる金融安定監督評議会(FSOC)を開く。米連邦準備理事会(FRB)やSECなど規制・監督当局の関係者が一堂に集まる重要会合だ。アルケゴス騒動前から予定されていた会合だが、議論のテーマとしてヘッジファンドの監視・監督が挙げられていた。
「次のヘッジファンド破綻が経済に悪影響を及ぼさないよう、透明性の確保と強力な監視が必要だ」。民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員は30日、ツイッターにこう投稿した。ウォーレン氏を含め民主党内にはヘッジファンドに批判的な議員が多い。1月下旬のゲームストップ騒動でも大規模な空売りがやり玉にあげられた。与党議員の圧力で当局も動かざるを得ない。
バイアコムCBS、ディスカバリー、百度(バイドゥ)――。30日の米株式市場では「アルケゴス保有銘柄」の上昇が目立ち、金融機関による処分売りが一巡したとの見方が広まってきた。ただし警戒感は残る。ある米銀関係者は「アルケゴスと同様の取引をしていたファンドが存在しても全く驚かない」と語る。トレーダーの間ではすでにホワン氏の元同僚が運営する投資会社の名前が流布されている。市場は新たな火種を抱えた。
◯ 「 野村とクレディ、巨額損失懸念 欧米金融に拡大も 」
2021年3月29日 日経新聞
米投資会社に絡むとみられる損失への懸念が世界の金融機関に広がっている。野村ホールディングスは29日、米顧客との取引に関連して約20億ドル(約2200億円)の損失が生じる可能性があると発表した。スイスの金融大手クレディ・スイス・グループも同日、巨額の損失計上の可能性を発表した。
欧米メディアによると、投資会社のアルケゴス・キャピタル・マネジメントが先週、保有株の下落で打撃を受けて資産を投げ売りした。野村HDやクレディの損失はアルケゴスに関連しているとみられる。
アルケゴスは著名なヘッジファンドのタイガー・マネジメント出身のビル・ホワン氏らの資産管理会社。英フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、アルケゴスは保有するメディア銘柄が下落したことで打撃を受けた。担保の追加差し入れ(追い証)を求められたが、対応できずに保有する米中のメディア銘柄などの投げ売りにつながったようだ。
米ブルームバーグ通信などによると、アルケゴスの売買注文を受けた米ゴールドマン・サックスは26日、バイアコムCBSなど米メディア銘柄や、百度(バイドゥ)など中国企業の銘柄など計105億ドル(約1兆1500億円)相当の株式を相対で大量売却する「ブロック取引」をしていた。バイアコムや米ディスカバリーの株価は26日、前日比約3割下落した。
野村やクレディはアルケゴスへの融資や株式ポジションの一部引き受けなどをしていたようだ。アルケゴスの行き詰まりにより、融資の回収やポジション解消で損失が発生するとみられる。FTによるとクレディの損失は30億〜40億jとみられる。
スイス金融市場監督機構(FINMA)は29日、「複数の金融機関が関わる国際的なヘッジファンドの問題」として状況の確認に乗り出した。クレディから損失発生の可能性について報告を受けているという。
野村HDの株価は29日、東京株式市場で前週末比16%安と急落。クレディ株も欧州市場で一時15%超下げた。野村HDは「事業運営に大きな支障がでることはない」が、リスク管理が適切だったかを見直すとしている。
欧米の大手金融機関もアルケゴスとの取引があるとみられ、今後関連した損失が広がる可能性もある。アルケゴスによる資産売却が一巡したかは明らかでなく、「ヘッジファンドがレバレッジを落とす動きが継続する可能性があり、過剰流動性相場のほころびが広がっていくことへの警戒」(SMBC日興証券の村木正雄氏)も高まっている。
◯ 「 米SEC「事態を監視」 投資会社の巨額投げ売りで 」
2021年3月30日 5:39 日経新聞
SECは投資会社の巨額の投げ売りによる損失問題を監視している=ロイター
【ニューヨーク=後藤達也】米証券取引委員会(SEC)が米投資会社の資産投げ売りによる株式市場の騒動を注視している。米メディアによると、SECは「先週から事態を監視しており、市場関係者と連絡をとっている」という。ホワイトハウスも関心を寄せている。
投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントは米中のメディア株などで損失を被り、先週に大量の持ち株の売却を迫られた。米バイアコムCBSや中国の百度(バイドゥ)などの株価が26日に急落した。この取引に関連したとみられる損失懸念が金融機関に連鎖しており、野村ホールディングスは29日に約20億ドル(約2200億円)の損失が生じる可能性があると発表。クレディ・スイス・グループも30億〜40億ドルの損失を受ける可能性がある。
野村やクレディ・スイスの株価は29日、10%以上値下がりした。一方、アルケゴスの保有資産の大口売却に携わったとされるゴールドマン・サックスは1%安、モルガン・スタンレーは3%安だった。米CNBCによると、モルガン・スタンレーは今回の騒動に伴う追加の株式売却はないという。ダウ工業株30種平均は29日に続伸し史上最高値を更新しており、現時点では株式市場全体に動揺は広がっていない。
◯ 野村株急落 米巨額「追い証ショック」波及か 日経編集委員 永井洋一
2021年3月29日 18:34 日経新聞
29日の東京株式市場で野村ホールディングスが急落した。米顧客との取引で多額の損失が生じる可能性が浮上し、下落率は一時17%を超えた。空前のカネ余りを背景にハイリスク・ハイリターンを求める投資家の綻びが日本の証券大手を直撃したとの見方が広がっている。終値は前週末比117円70銭(16.3%)安の603円。QUICKで株価データを遡れる1974年以降、1日の下落率としては最大となった。
米ファンドがメディア株投げ売り?
損失額は20億ドル(約2200億円)に上る可能性がある――。寄り付き前の野村の発表に、市場関係者は凍り付いた。金額の大きさもさることながら、26日の米株式市場で話題となった「謎のブロックトレード」が脳裏をよぎったためだ。
米ブルームバーグ通信など複数の海外メディアによれば、26日の米市場で米金融大手ゴールドマン・サックスが105億ドルに上る巨額の相対の市場外取引(ブロックトレード)を執行した。同モルガン・スタンレーなどからも同様の取引があったとされる。
対象銘柄は米メディア運営のバイアコムCBSやディスカバリー、中国検索大手の百度(バイドゥ)の米預託証券(ADR)など。バイアコムやディスカバリーは26日、3割近く急落した。
ブロックトレードの正体は、米ヘッジファンド、アルケゴス・キャピタル・マネジメントの巨額のマージンコール(追加証拠金の差し入れ義務=追い証)に伴う持ち高や担保の投げ売りとされる。銀行から200億ドル相当の株式売却を強いられたとみられている。アルケゴスはタイガー・マネジメントの元トレーダー、ビル・ホワン氏が2001年に設立し、米国や中国、さらに日本や韓国の株式に特化したファンドだ。
保有するバイアコムとディスカバリーの株価はいずれも昨年末から3月19日までに2.5倍以上に上昇していた。ところが22日にバイアコムが増資計画を発表すると株価が急落。それをきっかけにアルケゴスのポジションが急速に悪化したようだ。
金融取引規制の強化、加速も
問題は、ファンドの運用実態がよく分からない点だ。アルケゴスは複数の銘柄の保有比率が10%を超えていたとみられる。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、「保有比率が10%を超えると内部関係者とみなされ、より厳格な情報開示が求められるが、アルケゴスはスワップ取引を利用することで、ポジションを秘密にしてきた」という。
バイデン政権に代わってから米国は金融規制強化に転じているが、今回の一件をきっかけにデリバティブ(金融派生商品)を利用した不明朗な金融商品取引への米証券取引委員会(SEC)の監視強化が加速する可能性がある。
今年1月には、赤字の米ゲームストップ株を空売りしていた米ヘッジファンドのメルビン・キャピタルが個人投資家の「共闘買い」による急騰で窮地に陥るなど、ハイレバレッジ運用の綻びが相次いでいる。バブルへの警鐘といえるだろう。
ブルームバーグによるとアルケゴスは野村の顧客の1社で、「野村の損失の可能性はアルケゴスの取引と関連している」というが、実態は不明。野村は日経QUICKニュース(NQN)の取材に対して「現時点で個別の取引についてはコメントを控える」(グループ広報室)としている。だが今後、ヘッジファンドに貸株や資産管理サービスを提供するプライムブローカレッジ業務への風当たりが強まることも考えられる。
◯ 「 米メディア株、投げ売りで急落 投資会社が苦境か 」
2021年3月29日 12:12 日経新聞
大規模な投げ売りが市場参加者の不安をかき立てた=AP
前週末26日の米株式市場で娯楽関連の銘柄に大規模な投げ売りが出て、市場参加者の不安心理をかき立てている。メディア運営のバイアコムCBSや同ディスカバリーは26日、そろって前日比27%安と急落。ある投資会社が米ゴールドマン・サックスなどを通じて巨額の売り注文を出したもようだ。持ち高整理を示唆する動きで、余波への警戒が広がる。
米ブルームバーグ通信によると、ゴールドマン・サックスは26日、バイアコムCBSなど米メディア銘柄のほか、百度(バイドゥ)や騰訊音楽娯楽集団(テンセント・ミュージック・エンターテインメント・グループ)といった中国企業の銘柄もあわせて計105億ドル(約1兆1500億円)相当の株式を相対で大量売却する「ブロック取引」を行っていた。米モルガン・スタンレーを通じたブロック取引もあったという。
英フィナンシャル・タイムズ(FT)によれば、売り注文を出したのは投資会社のアルケゴス・キャピタル。著名なヘッジファンドのタイガー・マネジメント出身のビル・ホワン氏が運営する資産管理会社だ。先週に保有するメディア銘柄が下落したことで打撃を受け、担保の追加差し入れ(追い証)を求められたという。結局、追加担保を差し入れずに、保有銘柄の投げ売りにつながったもようだ。
アルケゴスによる資産売却が一巡したかは明らかでないことが市場の疑心暗鬼を生む。今後も売り圧力が継続するようなら、ほかのファンドの運用成績も直撃し、投げ売りが連鎖する可能性もある。新型コロナウイルスのワクチン普及への期待感から26日のダウ工業株30種平均が最高値を更新したが、株高のトレンド持続に黄信号がともりかねない。
スイスの金融大手、クレディ・スイス・グループは29日、一連の取引に関連する損失額について「現時点で見積もるのは時期尚早」だとしながらも、1〜3月期の損失は「巨額になる」との見通しを発表した。
◯「米国 バイアコムなどメディア株が大幅安、米アルケゴスの投げ売り警戒」
2021年3月30日 日経新聞 (米東部時間11時40分)
29日の米株式市場でメディア運営株への売りが続いている。バイアコムCBSは一時、前週末比10.8%安の43.00ドルを付けた。米投資会社のアルケゴス・キャピタル・マネジメントが前週に保有するバイアコムCBS株を投げ売りしたと伝わっており、持ち高解消がきょうも続いているとの懸念が出ている。
同じくアルケゴスの投げ売りの対象になったとされるディスカバリーは5.0%安の39.82ドル、メディア株以外でも売却が伝わった中国検索大手の百度(バイドゥ)は6.0%安の196.00ドルを付ける場面があった。
前週末26日にバイアコムとディスカバリーはともに27%安と急落した。欧米メディアによると、アルケゴスは保有するメディア株の下落で打撃を受け、担保の追加差し入れ(追い証)を求められたが対応できずにメディア株などを投げ売りしたようだ。
米ブルームバーグ通信は金融のゴールドマン・サックスは26日にバイアコムや百度などあわせて105億ドル相当の株式を相対で大量売却する「ブロック取引」をしていたと伝えた。モルガン・スタンレーやドイツ銀行などもアルケゴスとの取引があったという。野村ホールディングスは29日、米顧客との取引で約20億ドルの損失が生じる可能性を発表した。スイスのクレディ・スイス・グループも大幅な損失計上の可能性を明らかにした。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。以上の通りの大事件です。
人間(人類)は、真面目に 物作り、英語でも、monozukuri モノズクリ と、日本語を使って、言うようになった、をすることが、大事だ。
額(ひたい)に汗して、sweat on the brow「スウエット・オン・ザ・ブラウ」で働いて、初めて、人間なのだ。バカな、金融バクチ(博奕)人間たちは、やがて滅んでゆく。
人類の新しい時代が来る。
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