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イギリスの長期戦略に基づいて日本では明治維新が仕掛けられ、琉球併合、台湾派兵、江華島事件を経て韓国を併合、そして満州国を建設した。アメリカやイギリスの支配層から見ると満州国はソ連を侵略する拠点であり、現在、ロシアを侵略するためにウクライナをNATOに組み込もうとしている戦略に通じる。
日本は現在でも米英金融資本の支配下にあり、与那国島、奄美大島、宮古島、石垣島に中距離ミサイルを配備して中国の工業地帯を攻撃できる態勢を整えようとしている。さらに韓国の済州島もミサイルの発射基地になるだろう。これらの場所は中国の攻撃目標になるということでもある。
アメリカのナンシー・ペロシ下院議長が台湾を強硬訪問したことで台湾周辺の軍事的な緊張が急速に高まっている中、9月11日に沖縄県知事選挙の投開票があり、現職の玉城デニーが再選されたようだ。言うまでもなく、沖縄の軍事基地は台湾情勢と深く結びついている。
玉城は「オール沖縄」が推す人物で、アメリカ軍普天間飛行場を名護市辺野古へ移設させる問題やCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)対策による経済への打撃が争点になったというが、アメリカ軍や自衛隊にとって辺野古より重要な問題は中距離ミサイルの配備だろう。
本ブログでは繰り返し書いてきたが、日本は1995年2月に「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」が発表されてから日本はアメリカの戦争マシーンへ組み込まれ、自衛隊はアメリカの戦略や方針に従って動くことになった。そうした戦略や方針はアメリカ国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」が報告書などで明らかにしている。
このシンクタンクが今年出したレポートによると、アメリカはGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようと計画しているのだが、インド太平洋地域でそうしたミサイルの配備を容認する国は日本以外にないという。
しかし、その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、アメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備に協力するという形にすることになるとしている。そのASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画のようだ。
アメリカ軍はインド洋から太平洋にかけての海域を一体として対処するため、2018年5月に「太平洋軍」を「インド・太平洋軍」へ作り替えた。日本を太平洋側の拠点、インドを太平洋側の拠点、インドネシアが領海域をつなぐと拠点としているのだが、インドはアメリカとの距離を置き始めてロシアや中国へ接近して関係を深めている。中国とインドには領土問題があり、両国が軍隊を出して対峙していたが、ここにきて双方とも部隊を引き上げることで合意したと伝えられている。インドネシアもアメリカの思惑通りには動いていない。つまり、インドから太平洋にかけての地域でアメリカに従属しているのは日本だけだ。
この動きと並行して自衛隊は2016年に軍事施設を与那国島に建設し、19年には奄美大島と宮古島に作り、そして23年には石垣島でも完成させる予定。これらの島にASCMを配備することになるだろう。日本政府は射程距離が1000キロメートル程度のミサイルを開発、艦艇、戦闘機、そして地上から発射できるようにすると読売新聞は伝えている。地上発射の改良型は2024年度にも配備する方針だという。辺野古ではなく、こうしたミサイル配備計画が重要な問題のはずだ。
安倍晋三は首相時代の2015年6月、赤坂にある「赤坂飯店」で開かれた官邸記者クラブのキャップによる懇親会で「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの」と口にしたと報道されている。安倍政権下、着々と対中国戦争の準備が進められていたのだ。
こうしたアングロ・サクソンの戦略は19世紀から始まり、それをアメリカが引き継いでいる。
イギリスの支配層はロシアの制圧を目指して南コーカサスや中央アジア戦争を19世紀に開始した。いわゆる「グレート・ゲーム」だ。これを進化させ、理論化したのがイギリスの地理学者、ハルフォード・マッキンダー。ユーラシア大陸の周辺部を海軍力で支配し、内陸部を締め上げるという戦略を1904年に「歴史における地理的要件」というタイトルで発表した。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もマッキンダーの理論に基づいている。
マッキンダーの理論はユーラシア大陸の周辺部を海軍力で支配、「三日月帯」を形成し、内陸部をその帯で締め上げ、最終的にはロシアを制圧するというもの。この戦略を成立するためにスエズ運河が大きな意味を持つ。この運河は1869年に完成、75年からイギリス系の会社が所有している。
当時、西アジアを侵略しようとしていたヨーロッパ諸国にとって目障りな国が存在した。オスマン帝国だ。そこでイギリスのマーク・サイクスとフランスのフランソワ・ジョルジュ・ピコが中心になって協定を結んでいる。ヨルダン、イラク南部、クウェートなどペルシャ湾西岸の石油地帯をイギリスが、またトルコ東南部、イラク北部、シリア、レバノンをフランスが支配する取り決めだ。
協定が結ばれた翌月にイギリスはオスマン帝国を分解するためにアラブ人の反乱を支援し始める。工作の中心的な役割を果たしたのはイギリス外務省のアラブ局。そこにはサイクスやトーマス・ロレンスも所属していた。「アラビアのロレンス」とも呼ばれている、あのロレンスだ。
ロレンスが接触していたフセイン・イブン・アリにイギリスのエジプト駐在弁務官だったヘンリー・マクマホンは書簡を出し、その中でイギリスはアラブ人居住地の独立を支持すると約束している。フセイン・マクマホン協定だ。このイブン・アリを追い出したイブン・サウドを中心として1932年に作られた国がサウジアラビアだ。
その一方、イギリスのアーサー・バルフォア外相はロスチャイルド卿に宛てに出した書簡の中で、「イギリス政府はパレスチナにユダヤ人の民族的郷土を設立することに賛成する」と約束している。1917年11月のことである。なお、この書簡を実際に書いたのはアルフレッド・ミルナーだと言われている。シオニストはパレスチナに住むアラブ人を虐殺し、1948年にイスラエルの建国を宣言した。
三日月帯の東端にあり、中国侵略の拠点として最適な場所にあり、侵略用戦闘員の供給源としても有望な日本への工作もイギリスやアメリカはアヘン戦争の後に行なっている。そして出来上がった明治政権は1872年に琉球を併合、さらに台湾へ派兵、江華島事件を引き起こし、日清戦争、日露戦争と突き進む。その背後にイギリスやアメリカが存在していたことは本ブログで繰り返し書いてきた。明治時代と似たことをアングロ・サクソンと日本は繰り返そうとしている。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202209120000/
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