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関東温泉紀行 / 関東周辺の新設日帰り温泉レポ 水上温泉
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投稿者 中川隆 日時 2022 年 4 月 26 日 11:01:47: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

関東温泉紀行 / 関東周辺の新設日帰り温泉レポ
水上温泉 2011年03月10日
〔水上温泉について〕
水上温泉は、湯宿20軒弱の北毛ではもっとも規模の大きな温泉地。
高度成長期には交通の便を活かし、鬼怒川とならぶ北関東有数の歓楽温泉地として賑わいました。
水上温泉の中心は利根川と阿能川が合流する湯原地区で、ここから北側のJR上越線「水上」駅にかけての細長いエリアに湯宿や飲食店が並びます。

【写真 上(左)】 下流から水上温泉
【写真 下(右)】 中心部

メインエリアは旧湯系の共同配湯泉で、「天野屋」の湯づかいが秀逸。

すこし離れた利根川下流には独自源泉(天狗の湯)の「きむら苑」や、石膏泉の名湯として有名な日帰り施設、諏訪峡温泉「諏訪ノ湯」があります。


【写真 上(左)】 天野屋
【写真 下(右)】 きむら苑

【写真 上(左)】 諏訪ノ湯
【写真 下(右)】 松の井ホテル

また、国道側には自家源泉の松の井ホテル(入湯済未レポ)と塩屋温泉館があります。

また、2009年7月、川古方面に向かう県道沿いに日帰り温泉「仏岩温泉 鈴森の湯」がオープンしています。

【写真 上(左)】 塩屋源泉
【写真 下(右)】 鈴森の湯

近年は上流の谷川、うのせ、湯檜曽、向山、さらに藤原エリアの宝川、上の原、湯の小屋までを含め”水上温泉郷”としてPRすることが多く、数年前には冬季に「スノーキャンペーン in 水上」が企画され、入浴料の割チケなどが配布されていました。

【写真 上(左)】 路地
【写真 下(右)】 温泉街と右手がふれあい交流館

団体客受け入れに対応した大ぶりな宿が多いのが特徴ですが、「天野屋」のような小規模な宿もあります。

以前あった共同浴場は廃止されてしまいましたが、2004年7月、「湯原のシンボル」「地域振興の起爆剤」を標榜し町営の日帰り施設「ふれあい交流館」が開設されました。

しかし、味気ない浴場と循環利用のお湯は温泉好きから評価を得られず、こぶりで露天もない内容では観光客の集客力にも欠け、性格のあいまいな施設になってしまったのは残念。

このあたりにも水上温泉の迷いが出ているような気がします。


【写真 上(左)】 照葉峡の紅葉
【写真 下(右)】 春の谷川岳

周辺は名峰谷川岳をはじめとする上信越国境の山岳地帯で自然の宝庫といわれます。

とくに秋の紅葉は周辺の諏訪峡、谷川岳一ノ倉沢、藤原周辺などで見事。最奥の照葉峡は関東を代表する紅葉の名所です。

また、湯檜曽以北、天神平にかけては関東でももっとも雪の深いところで、壮大な雪景色が広がります。


歴史(水上観光協会・水上温泉旅館協同組合HP等を参考)

かつて「湯原の湯」といわれた水上温泉発祥の湯は、古来、「藤屋」の崖下、利根川右岸の中腹に湧いていて、このお湯を崖上まで引き上げたふたつの開湯伝承が伝わっています。

永禄六年(1563)、湯原建明寺の二代目住職海翁和尚は、利根川沿いの崖の中腹にあがる湯けむりを見、調べてみると洞穴から熱湯がこんこんと湧き出していた。

和尚はこのお湯を衆生に授けるために崖上に引き上げるさまざまな工夫をされたが事成らず。そこで、粘土の中に経文を書いた小石を積み上げながら読経をし、仏の加護をもって見事にお湯を引き上げられたという説。

四百余年前、村を訪れた1人の旅僧が利根川の崖から湯煙の立つのを見て、三年近い歳月を費やして石を積み上げ、ついに崖上にお湯を引き上げた。そのすぐ後、この旅僧は一足のわらじを残し、こつぜんと姿を消してしまったというのがもうひとつの説。

どちらの伝承からも、約400年の古い歴史をもつ湯場であることがうかがえます。

維新後、現水上温泉郷は奥利根温泉郷と呼ばれ、その紅葉は当時から定評があったらしく、与謝野晶子、太宰治、若山牧水、北原白秋などの文人が訪れています。

ちなみに奥利根最奥の照葉峡の11の滝は、俳人、水原秋桜子による命名といわれています。

昭和3年、上越南線が水上駅まで開通、昭和6年清水トンネル開通ののちも水上は関東側の基幹駅として賑わい、特急「とき」が停車し、週末には東京方面から行楽列車が運行されました。

関越自動車道前橋〜湯沢間の開通は昭和60年と意外に遅かったため、北毛方面の交通アクセスはながらく上越線メインであり、鉄道アクセスにすぐれた水上は発展を続けました。

昭和57年秋、上越新幹線が開通し、北毛エリアの玄関口は次第に水上駅から新幹線上毛高原駅に移っていきました。

さらに、バブル期以降の経済環境や観光志向の激変により、団体客向けの大温泉地として名を馳せた水上温泉も苦境に立たされることになりました。

水上きっての老舗「藤屋ホテル」が2009年3月に経営破綻したのは、象徴的なできごとでした。


【写真 上(左)】 藤屋の内湯
【写真 下(右)】 新湯を単独使用していた藤屋の露天

平成17年10月、水上町、月夜野町、新治村が合併して誕生した「みなかみ町」は、水上温泉郷に加え、川古、法師、猿ヶ京、湯宿、上牧など錚々たる温泉地を擁する一大温泉町となりました。

秘湯系、行楽系、湯治系など多彩な温泉地があるので、今後どのような観光振興策をとっていくのか、興味がもたれるところです。

近年、上越国境の山々から流れ下る急流がラフティングの適地として注目され、

ラフティングを切り口とした活性化も模索されています。


お湯本来のよさと、周囲の雄大な自然を活かして、新たな活性化を図っていってもらいたいものです。

温泉
takayamaさんの「群馬の温泉ページ」に掲載されている県薬務課作成の温泉統計(平成11年度温泉利用状況)によると、

水上温泉で源泉総数9(内 利用源泉8)となっています。


利用源泉8のうち、独自源泉と思われる、諏訪峡(諏訪ノ湯)、きむら苑(天狗の湯)、塩屋温泉館(塩屋源泉)、松の井ホテル(3源泉)をのぞく源泉が湯原地区を中心に使われていると思われます。


【写真 上(左)】 利根川と泉源
【写真 下(右)】 泉源上の祠

調べのついた範囲ではほとんどの宿が「旧湯」(共同)利用で、何本かの源泉を混合し共同配湯しているのかもしれません。

また、「藤屋」は共同配湯とは別ルートで「新湯」「旧湯」を引いていたという情報もあります。

なお、かつて「旧湯」「新湯」「不動の湯」「稲荷湯」があったという情報がありますが、現在の源泉との関連は定かではありません。


【写真 上(左)】 松葉屋の湯口
【写真 下(右)】 温泉公園の足湯

中性の含食塩-石膏泉系のお湯は無色透明で、ほのかな湯の香とやわらかな湯ざわりをもつ良質なもの。

団体向け大温泉地には意外に硫酸塩泉系のお湯が多いのですが、むしろ通好み湯治向けの渋い泉質なので、団体旅行などでは「これってホントに温泉?」状態となり、損をしがちなのは残念なことです。

(ちなみに団体様向け泉質No.1は、白濁硫黄泉だと思う ^^ )

参考までに入手済の各源泉分析データをあげておきます。

■ 旧湯
Ca・Na-硫酸塩・塩化物温泉 46.2℃、pH=7.6、700L/min動力、総計=1.08g/kg

■ 新湯
単純温泉 29.5℃、pH=7.5、総計=0.34g/kg

■ 諏訪峡(諏訪ノ湯)
Ca-硫酸塩温泉 44.1℃、250L/min(掘削自噴)、総計=1905.05mg/kg

■ きむら苑(天狗の湯)
Ca・Na-硫酸塩温泉 42.5℃、pH=8.0、総計=1.45822g/kg

■ 塩屋源泉(塩屋温泉館)
単純温泉(Ca・Na-SO4型) 32.2℃、pH=8.1、総計=0.81g/kg

■ 荒木・松の井共有泉(松の井ホテル)
アルカリ性単純温泉(Ca・Na-SO4・Cl型) 34.8℃、pH=8.6、総計=0.30g/kg

■ 松の湯(松の井ホテル)
アルカリ性単純温泉(Ca・Na-SO4型) 40.1℃、pH=8.7、150L/min掘削自噴、総計=0.30g/kg

■ 松の井源泉(松の井ホテル)
Ca・Na-硫酸塩・塩化物温泉 38.0℃、pH=7.7、45L/min動力、総計=1.46g/kg
http://blog.goo.ne.jp/akizzz1/e/c38008255c586d39a3119f22098dd86b  

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