MMT論者で誤解している人が多いのですが、日銀当座預金口座から必要に応じていつでもお札を引き出すことができます。銀行は、日銀当座預金と、人々から預かっている預金という2つのものを使って、中央銀行と私たちとの間にお札を行き来させています。 民間銀行は顧客への貸し出しだけでなく、民間銀行は自社での株式購入や外債購入用に日銀当座預金口座からいくらでもお金を引き出せます:日本国債を持っているよりは、ドル建ての米国債を購入した方が儲かるという判断が働いて、日銀が金融緩和すればするほど米国債買いが加熱して、海の向こうに資金が流れ出していくことになっている。 円建ての日本国債を売り払って円を調達し、その円を売り払ってドルを買って米国債を購入するのが流れになり、あるいは国債を売り払った資金で株式市場に投機する動きとなった。 安倍政府、日銀による異次元の金融緩和は、米国債購入という形で吸い上げられ、あるいは国際金融資本の博打の源泉として食い物にされる仕組みになっている。 ヘッジファンドは保有しているドル国債を日本に売り、得た円で、出遅れていた日本株を買う。そして実は、総資金量が420兆円と日銀よりも巨大な政府系金融(現在名ゆうちょ銀行、かんぽ保険、GPIF:総資金量420兆円)は、日銀に国債を売って得た円で、米国債も買っています。 公的年金の残高139兆円(15年12月)を運用しているGPIFの、15年12月のポートフォリオ(分散投資)は、「円国債38%、国内株23%、外国債券(主は米国債)14%、外国株23%」です。 ※日銀がGPIFの国債を買いあげる→GPIFは得た現金で国内株、米国債、米国株を買う→GPIFに米国債を売ったヘッジファンドはそのマネーで日本株を買う 外国人の売買は、東証一部の年間売買額460兆円のうち320兆円(約70%:16年7月水準)です。国内勢(金融機関と個人投資家)は、1990年のバブル崩壊後の損失の累積で資産を減らしたため売買がとても少ない。国内勢の売買は140兆円です。
他方、多くがオフショア(タックスヘイブン:租税回避地)からであるヘッジファンドの売買が320兆円です。 東証はこのヘッジファンドの支配下です。 アベノミクスとは、インフレを目標にした、 1.日銀の国債買いによる通貨増発 2.ドル買い/円売りによる円安誘導 3.政府系金融とGPIFによる日本株買いと米国債買い 「アベノミクスの成果」(事実をいえば……) ドル-円が高くなる円安だと外資からは日本株が割安になるから日経平均が上がるんだよ: 安倍政権の発足直前(2012年10月〜11月)、政府は、80円台から105円(2013年12月)への円安を生むため、30兆円のドル買いを、秘密裏に、郵貯・かんぽ生命等の政府系金融機関に、行わせています。 25円(30%)の円安目的の、「円売り/ドル買い」マネーが、米国系投資銀行に入って、ヘッジファンドから、2012年末から日本株の買い越し(5兆円規模)になり、日経平均が8,500円台だった株価が、1万4,000円に上がっています(2013年末)。 これが、「アベノミクスの成果」とされたのですから、内実は白々しいことでした。 通貨と株価の大きな変化には、いつも、資金量をもっとも大きくできる政府と中央銀行、および政府系金融機関が関与する原因があります。 ▲△▽▼ 日銀当座預金には550兆円もブタ積みされてます それは殆どが投資用資金です。日本の銀行が円を売ってドルを買い、それで外債や外国の株を買う。 外資はドルを売って円を買い、それで日本の不動産や日本株を買う。 外資に日本の不動産や日本株を売った日本の投資家はその金をしばらく銀行預金にしておくから、最終的には日銀当座預金として保管される。 つまり、ブタ積みされている550兆円は投資用資金なので、起業や国内の設備投資には使われません。 それがマネタリーベースが増えてもマネーストックがあまり増えない理由です。 マネーストックも毎年増えていますが、それは新規日本国債と日本国債の利子の分です。マネーストックの増えた部分は起業や国内の設備投資には使われません。新規国債を発行するのは国債の利払いの為なので、国債を発行しても日本のGDPは増えません。 GDPは輸出額で大体決まってしまうので、プラザ合意で超円高になって輸出ができなくなったからGDPが頭打ちになってしまったのです。 公共事業費の金額はGDPで大体決まってくるので、国債を発行しても公共事業には使われません。 だから財務省は国債発行を減らそうと必死になっているのです。 MMT論者や財政破綻を否定する人は大西つねきの財政破綻論に耳を傾けた方がいいです: 大西つねきがやろうとしていること https://www.youtube.com/watch?v=Z0aesmYcl0U
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