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(回答先: 世界的インフレは株価暴落を引き起こす 2022年株式市場見通し 2021年11月23日 投稿者 中川隆 日時 2021 年 11 月 24 日 18:50:59)
アメリカは金融緩和・財政出動をした為にハイパーインフレになりつつある、日本も財政出動するとアメリカと同じ結果になる
紙幣印刷がもたらしたインフレ
ロジャーズ氏を含め、著名投資家はほとんど全員が金融緩和に反対だった。
ガンドラック氏、新型コロナでの企業救済とヘリコプターマネーを痛烈批判
ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶
彼らは筋金入りの資本主義者であり、紙幣印刷から利益を得ることが出来、実際筆者も含めてそうしたのだが、投資家にとって金銭は大した問題ではない。彼らは既にそれを十分持っているからである。
インフレを続ければまずは金融資産、次にエネルギー資源や農作物などのコモディティ、そして最後に日用品の価格が高騰し、社会に酷い混乱をもたらす。一番被害を受けるのは金融市場を使ってインフレから身を守る術を知らない普通の人々である。
それが分かっていたから筆者も含め金融家は中央銀行を痛烈に批判していたのだが、面白いことに量的緩和を支持したのは株式などほとんど持っていない、金融資産ではなく給与所得に依存する普通の人々だった。自民党が過半数を維持した件も含め、彼らはどうやれば政治家を利するために自分を害することが出来るかを本当によく知っている。見事なものである。
こうした人々が現金給付も支持した。そして当たり前のように物価が上昇している。日本では今はガソリン価格ぐらいだが、来年にはスーパーの日用品から電力価格まであらゆるものが上がっているだろう。
ポール・チューダー・ジョーンズ氏: インフレはどんどん酷くなる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/16629
中央銀行の問題
インフレは紙幣印刷する政権に投票した人々の自業自得である一方で、政治家や中央銀行の問題でもある。ロジャーズ氏は次のように述べている。
中央銀行家が自分のやっていることを理解していると信じてはならない。世界中どこでも彼らは紙幣を印刷し、資産の買い入れを行なっている。歴史を通してこれがインフレに繋がらなかったことはない。
リーマンショックから十数年、リフレ派の人々は紙幣印刷しても物価高騰や通貨暴落は起きないと言っていたが、事実アメリカではインフレになり、ヨーロッパではユーロの下落が始まっている。
10月の米インフレは年率12%近い高騰、来年は物資不足か
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17244
ヨーロッパのインフレ悪化でユーロ下落、スイスフラン上昇
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17417
ECB(欧州中央銀行)のラガルド総裁はいまだにインフレは一時的で緩和を緩める必要はないと言い張っているが、金融市場はそれを無視してユーロを下落させている。一方で比較的浪費をしない先進国スイスは勝者となるだろう。
紙幣印刷によってインフレは発生した。単に国の経済が大きいために、人々が困窮するレベルのインフレにまで発展するのに時間が掛かっただけの話なのである。大きいものは少しずつしか動かない。しかし動き始めれば止まることもないのである。リフレ派の人々は巨石を転がしてしまった。
大英帝国のポンドやオランダ海洋帝国のギルダーが紙幣印刷で基軸通貨地位を失うまでにどれだけの膨大な時間が掛かったかを考えれば、リーマンショックからの十数年のあいだインフレなしに紙幣印刷を続けられたことなどインフレ発生までの短期的なラグに過ぎなかったのだと、人々は物価高騰が本当に酷くなってから気付くだろう。
世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10953
世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10903
インフレから身を守る方法
ロジャーズ氏は次のように続ける。
現在、中央銀行は「インフレは来ない」「インフレは長期化しない」と主張し続けているが、彼らは単に自分がやっていることを理解していないだけだ。インフレはどんどん酷くなる。
アメリカでは一般の人々もインフレを懸念し始めている。これまでは金融市場で懸念されていただけだったインフレに、一般の人々のパニックが加わるようになるわけである。
インフレから身を守るためには何が出来るだろうか? 金属や農作物などのコモディティについて書籍も出しているロジャーズ氏の答えは次のようなものである。
シルバーやゴールドのようなものはいつもインフレから人々を守ってきた。他のコモディティも同じことができる。
ロジャーズ氏が以前から推してきたのは農作物である。例えばこれから物価高騰が酷くなるとすれば、とうもろこしの価格はこれくらいの上昇では済まないだろう。
一方で、コモディティに賭けるとすれば注意しなければならないのが中国の不動産バブルの崩壊である。とうもろこしも含め、多くのコモディティの主要な買い手は中国であることが多く、中国の不動産バブル崩壊に賭けるポジションを持たずにコモディティに賭けることは危険である。
ロジャーズ氏は中国については次のように述べている。
中国は不動産市場が過熱したためにそれを抑制しようとしている。中国の多くの都市で大きな不動産バブルが形成されていたため、それを抑えるのは正しいことだと思う。
しかし中国政府はそれを軟着陸させられるだろうか、それとも巨大なバブル崩壊となってしまうのか? 分からないが、歴史上バブルを軟着陸させられた政府はほとんど存在せず、崩壊は制御不能なものになることが多い。
よって中国の不動産バブル崩壊にも賭けておくことがやはり必要である。
結論
インフレに対処しようと思えば単にコモディティを買えば良いという状況でもないということが言えるのではないか。複雑なポジションを組める投資家はともかく、一般の人々にはどうしようもない状況である。
しかしそうした状況は紙幣印刷や現金給付を行う政治家を支持した彼ら自身の責任である。筆者を含め投資家は元々これが酷い状況を生むと分かっており、警告していたが、誰も聞かなかったのである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/17648
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