現在地 HOME > 掲示板 > 戦争25 > 982.html ★阿修羅♪ |
|
【キャンプ・フォックス(クウェート中部)井田純】対イラク武力行使で、米海兵隊の兵站基地となる「キャンプ・フォックス」が13日、報道陣に公開された。砂漠の真ん中にある基地では、強い風が吹き付ける砂が視界をさえぎり、呼吸を阻む。開戦となるかどうかの行方が見えない中、隊員らの陽気な表情にも物憂い空気が漂っていた。
海岸沿いからバスで2時間あまりの、クウェート中部の砂漠地帯。基地の周囲は360度、砂に囲まれている。砂ぼこりで黄色く霞んだ遠くを、ラクダの群れがゆっくりと移動していく。基地に向かうバスの窓越しに地面に目を移すと、砂にうもれるように黒いパイプが伸びていた。「50年くらい前の、古い石油パイプラインだ。港まで続いている」。隣のクウェート人記者が教えてくれた。
2カ月半前に開設されたキャンプ・フォックスは、各前線基地への武器・弾薬、燃料など物資を供給する拠点。兵士たちへ、家族からの便りを届ける郵便局や軍用車両などの修理を担当するセクション、様々なトラブルに対処する法務部門も置かれている。
バスを降りた途端、細かい砂塵が、間近で噴霧されているように口や鼻に飛び込んできた。風下を向いても、全く効果はない。テントの中に入り、やっと一息つけた。
同基地のレナ―ト准将が兵站基地の重要性を説明する。質問が国連安保理で対イラク攻撃に反対する意見が相次いでいることなどに及ぶと、「それはわが国の指導者が決めることだ」とかわし、「我々は準備はできている」と強調した。
外に出ると、再び砂の中。隣にいたフランス人記者のゴーグルも、表面にうっすらと砂をかぶっている。案内役の少佐は「確かに最適な日じゃないけど、最悪の日でもない。このくらいなら我慢できるようになった」と笑う。この日の風速15メートル。1週間前には、同33メートルもの砂嵐に見舞われ、100を超すテントが倒れたという。
ゴーグルにマスクと完全防備のグルドビッチ軍曹。携えた自動小銃を示し、「この砂のせいで、こいつの手入れは毎日必要だ。時には1日2回しなきゃならない」と肩をすくめる。通常の環境なら月1回程度で済む。「それにこれも毎日掃除する」。傍らの若い兵士が、腰の左に付けた生物・化学兵器用の防毒マスクを指さした。米軍の攻撃に対し、イラク軍が生物・化学兵器で反撃をする事態に備えた措置だ。
「いい環境とは言えないが、耐えられる」。随行した隊員からは判で押したような答えが返ってくる。だが、匿名で話を聞いた軍曹は「先がわからないのは正直つらい」と話す。駐留して約1カ月。「いつ作戦行動が始まり、いつ家族の元に戻れるのか全く見えないからね。士気にも影響はある」と漏らした後、「あくまで一般論だよ」と急いで付け加えた。
[毎日新聞3月15日] ( 2003-03-15-00:06 )