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★北朝鮮ミサイルの狙い★
北朝鮮というのはまったくわからない国である。もし本当に北朝鮮が経済的に危機に瀕していて、アメリカとの直接対話によって経済援助やら政権維持を保証してほしいなら、なぜわざわざこの時期に地対艦ミサイルの発射実験をやったりするのだろうか。もちろん弾道ミサイルの実験ではないので、小泉首相と交わした平壌宣言に違反するわけではない。地対艦ミサイル自体は防衛兵器であり、それ自体が周辺諸国に脅威となるわけではない。
しかし現在のような状況でミサイルの発射実験をやるのは、何らかの政治的メッセージと見るのが普通だろう。それでなくても、北朝鮮危機は核開発再開というところから始まっている。しかも北朝鮮はたびたび、いかなる経済制裁も宣戦布告と見なすと明言している。それはすべてアメリカを交渉のテーブルに引き出すための「瀬戸際外交」と解釈されてきた。
北朝鮮が本当に何を求めているのかは別にして、孤立感を深めているのはまちがいなさそうだ。中国からも厄介者扱いされているし、ロシアも距離を置いているようだ。韓国はいわゆる太陽政策の継続を表明しているものの、核開発をしているとなると独自に動くことはむずかしい。アメリカはイラク危機で手一杯になっている。こうなっては日本政府もまた身動きが取れまい。
地対艦ミサイルの発射実験は、もし米軍が空母を派遣して北朝鮮に軍事的圧力をかけるつもりなら、受けて立つという意思表示なのかもしれない。経済制裁ですら戦争だという論理なら、周辺への軍の配置はもちろん戦争である。イラクのフセイン大統領は、米英から軍事的圧力をかけられて、大量破壊兵器の武装解除を小出しにすることで国際世論の分断を図っているが、金正日総書記だといきなり暴発するかもしれないという恐さがある。
アメリカが北朝鮮に対してイラクに対するのとは違う「優柔不断さ」を示しているように見えるのも、北朝鮮の次の一手が読めないからだろうか。韓国の首都であるソウルは軍事境界線からあまりにも近く、もし北朝鮮が南に進攻したら相当の犠牲が出ることを覚悟しなければならない。さらにアメリカの軍備は、世界の2カ所で同時に戦争できることを前提としているが、実際にはそれだけの余裕はない。したがって当面は何もできないということかもしれない。
さて問題は日本の姿勢である。日本は、北朝鮮に軍事的圧力をかけるだけの能力はない。したがって経済的圧力をどう使うかということになるが、もし日本からの資金の流れを止めたりすれば、北朝鮮は相当の脅しをかけてくるだろう。そのとき日本政府にとってはあまり打つ手が残されていない。さらに経済制裁を強めることはできるだろうが、脅しに屈しないという姿勢を示すためには、もっぱらアメリカ軍の存在に頼るしかなくなる可能性もある。
もちろんここまで緊張するような事態になることを避けるというのが外交目標ではあるが、現に核開発を進めると宣言している国で、外交的パイプが極端に少ない相手ということになると、実際にはなかなかむずかしい。われわれ日本人は、太平の眠りから起こされることも覚悟したほうがいいかもしれない。
(藤田))