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2003年3月9日 日曜日
本書にあるPR企業の醜いスキャンダルが紹介されている。1990年10月、米議会下院の公聴会で一人のクウェート人少女が証言した。「病院に乱入してきたイラク兵たちは、生まれたばかりの赤ちゃんをいれた保育器がならぶ部屋を見つけると、赤ちゃんを一人ずつ取り出し、床に投げ捨てました・・・」この議会証言は全米のメデアを通じて報道された。だがこの証言は仕組まれた情報操作であった。少女はクウェートにいっておらず、彼女は在米クウェート大使の娘であった。PRとしては邪道であり、社会的信用をなくしてしまう。
ハーフは刻々にはいる最新情報を一枚の「ボスニアファックス通信」としてメディアなど関係先に配布するなど芸の細かいところをみせている。アメリカでは大統領に率いられる政権、連邦議会、メディアの三つがお互いに密接に結びつき影響しあっている。このうちの一つを動かしたければ他の二つを動かせばいいと言う。これは日本でも有効であろう。
更に巧みなのがキワードの使い方である。ボスニア紛争を有利に導いたのは「民族浄化」という言葉であった。PRの仕事は「メッセージのマーケティング」である。マーケティングには効果的なキャッチコピーがつきものである。それが民族浄化であった。バルカンの問題は米国の安全保障にはかかわりのないことがらである。それにもかかわらず、アメリカ人の心の奥底を直撃したのはこのキャッチコピーである。
(店主の書評より):http://ginbook.hb-arts.co.jp/shyou.html
マスコミ、政府、産業界のトライアングルは、日本のみならずアメリカでも猛威を振るっている。政府と産業界は広告代理店を通じてマスコミを思いのままに使いこなすことを覚えたのだ。大手マスコミはスポンサーの圧力に弱い。そのスポンサーとマスコミの中継が広告代理店の役割である。アメリカの4大テレビネットワークが、盛んにサダムフセインの独裁振りをアピールして、軍事介入を煽っているのも政府と依頼を受けた広告代理店なのだ。
昨日のサンデープロジェクト」で広告代理店のことを取り上げていた。アメリカ国民は何故好戦的なのか、その秘密を知る上で有益な放送だった。アメリカはベトナム戦争に懲りて反戦気運が高まっていた。だからグレナダやパナマの軍事介入には徹底したマスコミに対する規制を行い、安全が保たれないという理由で記者達は5日間も取材出来なかった。
記者達が取材をする戦場は、死体も負傷兵もいない米兵だらけの場所ばかりで、住民たちへの取材も「やらせ」ばかりだった。情報操作の効果が一番発揮されたのが湾岸戦争の介入であり、アメリカ国民は完全に騙されたのだ。クウェート人少女「ナイラ」の名演技により、ブッシュ大統領はじめマケイン上院議員はじめ、十数回もクウェート人少女の話が引用され、それがテレビに報道されるたびに、クウェート人美少女「ナイラ」の涙の証言シーンが、繰り返し流される。
その結果世論も変化して、52対47の僅差で米国議会は参戦決議を通すことが出来た。当時はクウェートはイラクに占領され事実を確かめることが出来なかった。後に人権団体が調べてそのような事実がなかったことが分かった。ニューヨークタイムズのジョン・マッカーサー記者がその事をすっぱ抜き、その仕掛け人はヒル&ノールトンという広告代理店が仕掛けたものだった。
その広告代理店の幹部は「我々はただプロとして仕事をしただけ」とうそぶいている。その広告代理店には600万ドルもの大金が支払われていた。その金はクウェート人団体から支払われたが、金には色がついて無いから出所は分からない。つまり600万ドルでアメリカ世論はひっくり返り、湾岸戦争にアメリカの大規模介入が決められた。ヒル&ノールトンの元会長グレイ氏は「民主国家では国民の支持なしでは戦争は出来ません。アメリカの国民は戦争を支持してくれたのです」と平然と答えている。
このようにしてでっち上げのニュースで国民を騙し、ブッシュ大統領は戦争に踏み切り勝利することが出来た。しかしブッシュは選挙で負けている。ニューヨークタイムズがクウェート人少女のでっち上げを暴露したのは戦争の1年後であり、それが国民の怒りをかいブッシュは落選した。このような陰謀は両刃の剣であり、暴露された時点で敗北する。
「陰謀」は極めて危険な賭けであり、騙し続けて真実を闇に葬ることが出来れば、これほど痛快なことはないだろう。しかし一旦暴露されて公にされると報復の非難を受けることになり、二度と信用されなくなる。事実というものは後になっても消すことが出来ないが、陰謀により作られた事実は、何時思わぬことが原因でばれて非難を浴びるようになるか分からない。そのことによって生ずる不利益は、陰謀を企てなかった時より大きなものとなる。
サンプロ特集の最後に、現在のブッシュ政権のビアーズ広報担当国務次官のことに触れていました。彼女は大手広告代理店のオギルビー・&マザーとJウォルター・トンプソンを渡り歩いた辣腕の広告ウーマンだ。国防総省もレンドン・グループという大手の広告代理店を利用している。アメリカのマスコミもこのような大手広告代理店から睨まれれば怖いから、政府のプロパガンダに協力せざるを得ない。
アメリカの国民からしてみれば、自分達が納めた税金が、広告代理店に流れ、マスコミを通じて国民世論が扇動されている。当然このような事に批判が集まり、国防総省も国務省も露骨なことは出来なくなってきている。ビアーズ国務次官は最近退任した。再びクウェートの少女のような陰謀が発覚するのを恐れたのだろう。毎日の「民主帝国アメリカン・パワー」のシリーズにビアーズ国務次官のことが出ている。
(6) 「国際世論を作れ」 民主帝国アメリカン・パワー:http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/nybomb/tokusyu/power_1/06.html
(4)力増すユダヤマネー 民主帝国アメリカンパワー:http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/nybomb/tokusyu/power_1/04.html
猛犬ブッシュに振り回される世界(漫画):http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu45.htm