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【米空母キティホーク艦上(ペルシャ湾)=本間圭一】爆音をとどろかせる戦闘機、精密誘導爆弾を最終点検する乗組員――対イラク戦に備えて、ペルシャ湾に展開する米海軍第7艦隊(横須賀)の空母「キティホーク」(満載排水量8万1123トン)に9日、記者は従軍取材のため乗艦した。甲板では、イラク南部の偵察のため、FA18戦闘攻撃機など主力戦闘機が昼夜を問わずに出撃、1部はイラク軍の抗戦を受け、前線の緊張は最高潮に達していた。開戦を待ち構える“海の要塞(ようさい)”では戦闘態勢が事実上スタートしていた。
「真珠の美しさ」と形容されるペルシャ湾北部に静けさはなかった。マッハ1・8の最高速度を誇るFA18戦闘攻撃機や、高性能ミサイルを持つF14戦闘機は、エンジンのごう音を上げると1秒もしないうちに甲板を飛び立ち、大空に吸い込まれた。海風に乗って燃料のにおいが強烈に鼻を突く。全長324メートル、幅77メートルの巨大な甲板では、4―5分おきに艦載機が発着し、その数は1日100回を超えるという。そのたびに、甲板には地響きが鳴り、爆風が全身を襲った。
30機以上の艦載機の多くが目指すのは、イラク南部の飛行禁止区域だ。現在、対イラク攻撃を想定してペルシャ湾に展開する空母はキティホークを含め3隻ある。米軍機は、発着訓練や偵察活動のほか、イラク軍の対空ミサイル施設や防空、通信施設を空爆。その報復として、イラク軍は対空砲で応戦し、戦闘は前哨戦と言える形で、すでに始まっている。先月末にはイラク軍の旧ソ連製戦闘機ミグ25が、南部飛行禁止区域に約100キロ入り込む事件もあった。米英軍機の反応を見る動きだった。
このため、キティホークの前後には、巡航ミサイル「トマホーク」を備えた巡洋艦「カウペンス」と、イージスシステムを持つ高性能駆逐艦「ジョン・S・マケイン」が護衛し、レーダーを発信して洋上でにらみを利かせていた。
9日夜には、甲板の脇で、水兵が入念に爆弾の点検を行っていた。昼間目にした同型の爆弾には「誘導システム」と刻印されていた。米軍が開戦当初の空爆で切り札とする精密誘導爆弾だ。約20人の水兵はずらりと1列に並んだ同爆弾を1つずつランチャーに乗せ、八方から見回して汚れを落とすほどの入念な手入れを深夜まで続けてきた。
16時間の仕事を終えた1等水兵(36)は、「ここに来て、1か月近い。おれたちの目の前ではもう戦争は始まっているのさ」と語気を強めた。
(2003/3/10/14:26 読売新聞 無断転載禁止)