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■イラク武装 欧米に責任
「仏核抑止論の父」ガロワ氏に聞く
【パリ=国末憲人】大量破壊兵器開発疑惑が持たれているイラクに対し、かつて欧米は軍事支援を競い合った。「フランス核抑止論の父」と呼ばれ、イラクの支援にかかわった経験も持つピエール・ガロワ氏(91)は今回のイラク危機について、欧米社会が引き起こした自業自得の結果であると主張する。
──イラクとのつきあいは。
77年、バグダッドに出かけて軍幹部に戦略論を講義した。「フランスが国家の独自性を維持できた背景には核戦力があった」と説明した。受講生の中に副大統領だったフセイン大統領がいて、私のもとにきて「1年間滞在して戦略大学を立ち上げてくれないか」と要請したよ。断ったけど。
──イラクの核開発も手伝ったのでは。
当時すでに、フランスはイラクの原子炉建設支援を決めていた。あれほど石油があるのに核を持とうとするのは、発電目的ではないことぐらい誰だって想像がつく。要するに、フランスは核兵器をイラクに持たせようとしたのだ。イスラエと均衡を保つための、アラブ側への贈り物だったのではないか。
──現在のイラクの大量破壊兵器疑惑の元凶はフランスか。
イラクの武装には欧米すべてが責任を負う。米独も化学兵器用の物質を売り渡した。兵器を買いあさるフセインは尊敬すべき人物として扱われた。みんなおべっかを言い、武器を売ろうとハグダッド入りを競ったものだ。それが何だ。金がなくなった途端、独裁者扱いして、手のひらを返したように「兵器を持っているから」と攻撃する。おかしくないか。
──米国はなぜ攻撃を決意したのか。
同時多発テロ以前、ブッシュ大統領就任以前から周到に練られた計画だ。そもそもなぜブッシュ氏が奇妙にも大統領になったのか。石油業界が自らのエネルギー政策を推し進める代表者をトップに据えたかったからだ。石油を支配すれば、米国は世界に圧力をかけ続けることができる。すでに頂点を極めた米国には、下り坂しかない。没落を防ぐには、自国に取って代わろうとする地域、特にアジアを抑え込む必要がある。
──戦争は不可避か。
経済制裁、相次ぐ空爆、劣化ウランの被害と、イラクの人々の苦難はすでに大きい。攻撃には反対だが、米国はやめないだるう。やめたらブッシュ大統領の再選に影響する。国際社会全体を敵に回してでも、超大国としての地位を固めようとするだろう。
──「仏も最後には石油利権のため攻撃支持に転ぶ」との声もあるが。
転ばないね。石油の利権は米国が全部押さえ、どっちみち仏への分け前はない。シラク大統領だって3選を狙うには、国内のイスラム教徒の支持が欠かせない。だから、彼は最後まで攻撃に反対するだろう。
★ガロワ氏
北大西洋条約機構(NATO)欧州連合軍副司令官などを歴任。ドゴール大統領の下で核保有の理論を確立した。軍事評論家として著書、論文も多数。
(朝日新聞 3月5日)