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【ニューヨーク=勝田誠】対イラク武力行使を容認する新決議案の採決を目指してきた英国が5日、同決議案を修正する作業に入ったことが、英主要メディアによって明らかになった。英紙ガーディアン6日付は、英国が、国連査察団による国連安全保障理事会への報告が行われる7日、国連査察に「多少の時間を与える」修正案を提出する見通しだと報じた。米国は、トルコによる米軍駐留否決で生じた軍事日程の狂いを調整するためにも、英国の修正案を落としどころとして認める公算が大きい。
英メディアや英外交筋の情報を総合すると、英政府が検討している修正決議案は、イラクが国連査察団の要求に従うかどうかを明確にするため、一定期間の査察延長を認めるもの。この期間内に、イラクが、大量破壊兵器廃棄に関する重要な疑問点に答えられないなど、要求に応えない場合、武力行使を容認する内容となる。いわば、イラクに“最後通牒(つうちょう)”を突きつける案と言え、英紙ガーディアンは、開戦時期が「3月末まで」先延ばしされると伝えた。
英国が、新決議修正に動いているのは、このままでは新決議が早期採択される見通しが立たないため、土壇場での妥協を試みるものだ。
米、英、スペインが提出した対イラク武力行使の容認を求める新決議案について、現状では、他の安保理メンバー国のうちで、支持することがほぼ確実なのは、ブルガリアだけだ。これに対して、仏、露、独は依然として、査察の継続により武力行使の阻止を狙う姿勢を崩さず、中国もこれに近い立場だ。シリアも反対が確実視される。他の非常任理事国は板挟みの状態だ。
英国が修正案を検討するきっかけとなったのは、安保理のメンバーではないカナダが先月25日に配布した案だ。これは、査察を一定期間、延長して、国連査察団が3月28日に最終報告を出すというもの。安保理メンバー国のうち、メキシコ、チリなどは、米英などとの関係悪化を防ぎつつ、国内世論の反発を避けたいという事情から、このカナダ案に賛同している。
ワシントン発のAP電は、米国務省が「すべての可能性を再検討している」と報じた。米国も、舞台裏では、柔軟な対応を視野に入れている模様だ。
米国にとって、修正決議案の採択を目指す場合には、開戦時期が遅れるが、その間にトルコ駐留の可能性を追求することができる。
また、修正された新決議の採決を経た上で、開戦した場合には、戦後処理で国際的な協力を得やすいという利点がある。
ただ、開戦の遅れは、砂嵐の季節が近づくことを意味して、武力行使に不都合な面もある。パウエル国務長官は5日、ワシントン市内の講演で、安保理が現在の新決議案を採択しない場合、決議無しに攻撃に踏み切る可能性があるとして、強硬な姿勢を貫く選択肢をとる含みを残した。
(2003/3/6/22:38 読売新聞 無断転載禁止)