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2003年3月5日 水曜日
「米国が独断的になった。欧州は一体化したが、政治的な定義を欠いたままだ。ロシアは嫌々ながら西側に向かい、中国は政治面では不安定だ。私が『地球規模のバルカン半島』と呼ぶ地域、すなわち中東は民族紛争とテロの温床となった」
「すでに米国はその他の地域でアフガニスタンのタリバン政権、国際テロ組織アルカイダへの軍事行動に打って出た。今日直面しているテロリズムの問題は中東での紛争と緊張関係から生まれている」
「それ(イラクとアルカイダの連携)は単なる憶測だ。同じような憶測は北朝鮮の金正日総書記にも向けられているだろう。憶測に基づいて戦争を始めるならば世界は混乱し、世界における米国の指導力には強い疑問符が付けられるはずだ」
ーーつまり対イラク武力行使は正当性を欠いていると。
「国際的な制裁の枠組みの中で行うか、米国単独で行うかによって大きく違う。サウジとの関係なども左右するだろう」
ーー一方で米政府は、核開発計画を再開した北朝鮮には外交解決の姿勢を堅持している。
「日米韓にロシア、中国を加え、北朝鮮を外交的に封じ込めていく以外にない。国連などの枠組みを通じ、北朝鮮にアメとムチを見せる政策だ。中ロともこの地域の安定が自国の利益であると」認識している」
ーー北朝鮮問題は日米同盟や韓国にどう影響するか。
「日本の一部の人々が唱える『日本は独自の核抑止力を持つべきだ』との議論が過熱することになるのではないか。韓国も自己防衛の方策として核兵器を必要と感ずるかもしれない。あるいは北朝鮮に何らかの包容政策を実行しナショナリズムを共有した上で、『全朝鮮化』のような枠組みを模索するかもしれない」
『私は未来永劫、国際政治・軍事問題から身を引いていられるとは思わない。問題はそうした責任を果たす時、日本が軍国主義に戻ることや、極端なナショナリズムに走ることなくできるか、という点に集約される」
ーー米国から見ても日米同盟は今後も不可欠か。
「もし日米同盟を破棄したら、恐ろしく不安定な混乱をアジア太平洋や東北アジアにもたらすだろう。同盟の傘の下で、日本は『普通の国』として役割を拡大することができる。もちろん、それには安全保障分野での役割を含む」
(聞き手は春原剛)(2003・3・4・日経新聞朝刊より)
(戦略国際問題研究所CSIS副所長 ズビグニュー・ブレジンスキー)
日本には外交戦略や軍事戦略や経済戦略を研究する、アメリカのシンクタンクのようなものは無い。それらしい名前を名乗った機関は沢山あるが、機能はしていないようだ。だから日本で問題が起こると、日本の政治家や官僚たちはアメリカのシンクタンクの研究員にお伺いをたてに行く。日本の外交防衛はアメリカに丸投げしているから、そのようになる。
日本のシンクタンクとしては、核武装まで含む日本の防衛戦略を検討しておかなければならない。しかしブレジンスキー氏が言うような核武装論が過熱するような状況にはない。インタビューの行間を見てもブレジンスキー氏の苦悩が見てとれる。中東をバルカンと捉えていることは、一旦手を出したら抜けられない泥沼が待っている事がわかっているからだ。
現在、アメリカは外交戦で追い詰められている。イラクとの戦争で、アメリカお得意の情報宣伝戦で、アメリカ国内でしか効果を上げていない。これも世界的な反戦デモが繰り返されれば、アメリカ国民も気がつくだろう。ブッシュ政権の支持率やイラク攻撃賛成が50%を下回るようになれば、戦争は不可能だ。イラク国境に接している国で協力してくれる国はクウェートしかないのでは軍事作戦でもすでに破綻している。
ブッシュ大統領はどちらに転んでも最悪の結果になるという運命が待ち構えている。たぶんラムズフェルド国防長官やウォルフォビッツ副長官の首が飛ぶだろう。ブッシュの再選も不可能になる。そうなればアメリカの外交姿勢も180度転換する。おそらく孤立主義的になり、日本からも米軍撤退などというシナリオも考えておく必要がある。アメリカの経済的破綻がすぐ目の前に迫っているからだ。田中宇氏も私と同じような見方をしている。
反戦に動き出したマスコミ 田中宇の国際ニュース解説:http://tanakanews.com/d0305iraq.htm